水の確保の難しい半乾燥地での野菜づくりを目指して取り組んでいる野菜省水農法。キリマンジャロ州ヒモ市近郊の半乾燥地にあるマワンジェニ村、リアタ小学校でのデモ展示の実施状況調査を行った。
同地は昨年干魃に見舞われ、水不足のため多くの家畜が死に、住民が家を捨て移住するなど厳しい状況であった。牛の草を求めてマサイ民族が侵入し、キリマンジャロ州では60年振りとも言われるマサイ民族とチャガ民族の衝突にまで発展した。省水農法もさすがに水がまったく手に入らない状況ではどうにもならず、結果を出すことが出来ずに終わった。
今年の大雨季は数年ぶりにやっとまともな雨が降り、省水農法のデモ展示も再開した。リアタ小学校では校長先生、環境担当の教師ともとても熱心で、野菜の種類を新たに増やすなどし、生育も順調であった。昨年試しに取り付けてみた日覆いの効果も確認された。
ただし問題もあり、とくに害虫被害が激しい。省水農法は袋の側面に野菜を植え付け、小面積に少ない水で多くの野菜収穫を可能とする栽培方法であるが、密植するとそれだけ害虫被害が大きくなり、学校側では側面への苗植え付けを見送っていた。しかしこれでは省水農法のメリットが大きく減退してしまう。
同校では害虫被害を抑えるため、灰やタバコの葉汁を使って害虫忌避を行っていたが、あまり効果がないとのことであった。葉面散布が徹底できていない可能性があったため、当会では現地で簡易スプレー(大きめの霧吹き)を調達し、ピリピリ(トウガラシ)、石鹸、牛乳をそれぞれ希釈した溶液を、駆虫剤として試してみるようアドバイスを行った。また、カウンターパートのTEACAでも、半乾燥地と山岳での違いはあるものの、省水農法を実施し、自然農薬による害虫忌避、駆除の効果を確認してみる予定である。
リアタ小学校でデモ展示中の省水農法