第32号 小学校での牛乳配布事業(2009/7)

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ニュースレター

 

タンザニア・ポレポレクラブでは、2007年からキリマンジャロ山麓にあるテマ村のオリモ小学校(標高1,600m)で、1年生から7年生までの全校生徒(300人)に牛乳配布を行っている。

タンザニアの小学校では学校給食がない所もあるが、オリモ小学校のように給食がある所でも、給食用の食材(ウガリ=モロコシと豆)、そして煮炊きに必要となる薪は、親が現物で物納するのが原則である。

ところがもともとコーヒーに支えられていた村人たちの家計は、1990年代のコーヒー市場の自由化とそれに伴う生産者価格の低迷、そして2000年に入ってからの世界的なコーヒー価格の大暴落により、一気に苦しくなってしまった。そこに3年連続の降雨不足が重なり、作物の不作が追い打ちを掛けることになった。給食用の食材を持参できない子どもたちが増え、学校給食の量がどんどん減るという事態になっていった。

村人たちからは「このままでは子どもたちは空腹で勉強どころでなくなる」との声が上がり始め、「食べ物を持ってこない子は家に帰せ」とまで言われ始めていた。

村人と教師で組織される学校委員会から、当会に対して学校給食用の食材支援の要請がきたのもそんな時であった。TEACAと協議した結果、作物の生産は今後上向くこともあり、親や学校の依存体質を生み出さないためにも、栄養補助としての牛乳配布を実施することに決定した。

その後コーヒーの価格は持ち直してはきているものの、多くの村人たちはすでにコーヒー栽培を諦めるか栽培管理を放棄してしまっており、家計が上向く状況にはなっていない。限られた予算の中では仕方ないにしても、同じ学校に偏って配布を続けることには、そろそろ見直しが必要な時期に来ていると考えているが、牛乳の配布支援は今後も続けていく計画である。

話題が少し暗かったが、子どもたちは牛乳をとても楽しみにしている。学校の先生からも「牛乳の配布を始めてから、学校に来る子どもの数が増えた」との嬉しい報告を頂いている。飲んだ後のゴミをポイポイ道ばたに捨てるのはやめにして欲しいが(叱ってもすぐに元通りになってしまう・・・)、この牛乳配布は、村人同士の不調和を緩和し、子どもたちのひもじさの軽減や登校率の向上に役立っている。

 

〔No.32 その他の内容〕

 ●オピニオン: それでも未来は彼らの手に

 ●プロジェクトの現場から: 取り組み状況報告

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