1.苗畑グループ支援
2007年度もタンザニアの3州(キリマンジャロ州/アルーシャ州/ダルエスサラーム州、図1)において、計11カ所の苗畑グループ(表1)に対する村落植林活動協力を継続実施した。
ここ数年、種子調達しているNational Seed Bank(モロゴロ)の種子品質が悪く、低発芽率によって各苗畑グループの育苗計画に大きな支障を来している。
2007年度の育苗総数は約15万本であったが、これは計画の70%程度に留まるものである。今後何らかの手だてを講じないと毎年苦しめられることになりそうであり、対応に苦慮している。
各苗畑グループによって取り組まれた植林は、以下の通りとなっている。
・TEACA、Olimo、Foyeni、Kiranga苗畑
キリマンジャロ山の裸地化した森林保護区への森林回復のための植林
・Fumvuhu、Kidia苗畑
キリマンジャロ山麓の住民の生活圏における土地利用者植林
・Magereza、Sambarai、Msufini苗畑
半乾燥地及び地元中学校との共同植林
・Meru苗畑グループ
アルーシャ州メルー山麓において、Mbolele、Urisho、Songoro、Mwangazaの4グループ共同に よる、ソンゴロ丘の森林回復のための植林。
・ダルエスサラーム苗畑
テゲタ市マブウェパンデ植林地に対する、受託植林。
2.オールドモシ土地利用者植林
尾根全体が丸裸となっているオールドモシ地区は、キリマンジャロ山麓における植林活動の主力地となっている。同地における植林では、地元のFumvuhu小学校苗畑とKidia女性グループ苗畑が、協力して苗木生産に取り組んでいる。
生活圏での植林となるオールドモシでは、近隣住民の積極的な関与が欠かせない。2007年度はこれまでの苗畑グループ主導による植林から、従来以上に村(キディア村)との連携を強め、徐々に「村の取り組み」としての植林活動に移管する方向性を打ち出した。
植林そのものも村側にとりまとめ役を担ってもらい、出稼ぎなど、不在利用者の存在による歯抜け植林の防止などに、きめ細かく対応した。 但し土地利用者植林でも種子の発芽不良は大きく影響し、村人へのニーズ調査に基づく苗木供給が出来ず、大幅な樹種変更が必要となった。
3.バガモヨ新規受託植林事業調査
ダルエスサラーム州マブウェパンデ植林地での受託植林事業は、今後補植を除いて2007年度でほぼ完了した。1997年にテゲタ市に苗畑を開設して以来、足かけ10年にわたって運営されてきたダルエスサラーム苗畑は、これで基本的にその役目を終えることになる。
マブウェパンデでの植林は1998年からの実施であるが、その間に植えられたチークを主力とする苗木は全部で10万本近くになる。大きなものはすでに樹高10m近くに育っている。 2007年度は、ダルエスサラームを拠点とした事業継続の可能性を見極めるため、隣のプワニ州バガモヨにおける新規植林事業の形成調査を実施した。
調査対象としたマクルンゲ植林地は、総面積4,454ha。このうち2,584haが植林の対象となる。付近は牛などの放牧エリアと重なっており、植えた苗木が根付くか、植林後の管理をどうするかなどの難題は多い。事業実施に当たっては、TEACAは苗木供給と植林指導を分担とする方向性で詰めているが、契約面での調整がついておらず、2007年度はそれ以上の具体的進展は図れなかった。
4.苗畑グループ対象スタディツアー
2007年度はノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんの主宰する、ケニアの「グリーン・ベルト・ムーブメント」を訪問する予定であった。しかし同国の大統領選後に発生した暴動のため、残念ながら実施を見送らざるを得なかった。
5.パソコン研修
2007年度もTEACAリーダーに対するパソコン研修を継続実施した。今回は会計担当のムチャロ氏、プロジェクト担当のンジャウ氏の2名が受講し、これで2006年度に研修を終えている副代表のムチャロ氏と合わせ、リーダー5名のうち3名までがパソコンの基本操作を学んだことになる。これまで現地からのメールは、手書きしたものをネットカフェのスタッフに打ち込んでもらっていたが、最近ではワードを使って自分たちで送ってくるようになった。
6.村人を対象とした植林ワークショップ実施
キリマンジャロ山麓のテマ村において、これまでの20年間の植林活動を概観するワークショップを、村人を対象に開催した(参加40名)。 TEACAにはこれまで植林活動の普及、啓蒙にあたって有用なツールが不足していたが、今回パネル約20枚を整備し、植林による植林地の変化など、村人自身が植林活動の成果と効果を分かりやすく理解できるようにした。