地域によって多少のズレはあるが、タンザニアでは一般的に4~5月が大雨期である。今年の大雨期の雨量は東高西低の傾向があるようで、東部のダルエスサラームではつい最近まで、キリマンジャロ山麓では今も雨が降り続いている。一方、中西部のセレンゲティあたりでは、小雨のため、草を求めて移動する野生動物たちに影響が出ているようである。
さて、この事務局日誌でもときどきキリマンジャロ山麓の雨量状況についてご報告しているが、その雨量を計っているのは、実は小学校の子どもたちである(テマ村の場合。タンザニア全土の雨量を、小学生が計測しているわけではない)。
全国の雨量計測地点を定めているのは気象局であるが定点観測地として申請する事も出来る。テマ村では村人たちが長く植林活動に取り組んでおり、雨量動向は不可欠な情報だといえる。そこで気象局に申請した結果、晴れて認可がおり、1997年からオリモ小学校での雨量計測を開始した。当然のことながら、定点観測地として雨量データは毎月提出が義務づけられている。
日本の小学校では、理科の授業で百葉箱を使って温度や湿度の計測方法や推移データの取り方、その意味等を教わるはずである。 夏休みの宿題に、毎日の温度変化を記録した記憶など、結構みなさんお持ちなのではないだろうか。しかしタンザニアの小学校には百葉箱どころか温度計すらないので、子どもたちが具体的に自分たちに身近な環境のデータを集めたり取ったりできる機会はない。
そこで雨量データの計測開始にあたって、雨量計を小学校に設置し、子どもたちの中から「雨量計測係」を決めてもらった。1997年以来、毎年係を引き継ぎながら10年以上、彼ら、彼女たちが毎日データを取っているのである。日本の小学校でもここまで地道に続けているところは、なかなかないのではなかろうか?
雨量の正しい計り方を学ぶ
とはいってもそこはタンザニア。校庭を牛が駆け回り、設置されている雨量計を破壊すること数度。「日本ではありえん話だ」とは思うものの、現地ではかなり日常的光景。くわえてタンザニアの子どもたち。結構アバウト・・・。政府に提出するデータが「アバウト」でいいのか??もしや国策を誤らせるのでは??(笑)などと思いつつ。
そこでTEACAは、子どもたちに正しいデータの取り方やその意味を学んでもらおうと、空港の気象観測所を訪ねるミニスタディツアーを実施しました。当日はキリマンジャロ山麓と半乾燥地の小学校3校から代表の子どもたち2名ずつ選んでもらい(そのうち2校には、TEACAが雨量計を支援している)、気象担当官から直接教えてもらうことができました。もちろん「正しい雨量の計り方」の実技演習ははずせないテーマでした(笑)。
自然災害や環境調査に使う飛行機も見学させてもらい、子どもたちには滅多に出来ない、良い体験学習になったことでしょう。今後もぜひ毎年続けていきたいと思っています。
初めて間近に見る飛行機。「かっこいい!!」