イベント: 「横浜国際フェスタ」に参加しました

  1. TOP
  2. 投稿
  3. イベント: 「横浜国際フェスタ」に参加しました
国内活動/イベント

会場の様子

会場の様子

 

11/18(土)~19(日)にパシフィコ横浜で「横浜国際フェスタ」が開催され、タンザニア・ポレポレクラブも飲食ブース(キリマンジャロコーヒー販売)で参加しました。

今回はほかの2つのイベントとの合同による3者共同開催であったため、会場面積も昨年の3倍、来場者数は主催者発表で65,000人にのぼったそうです。

飲食販売には、一般ブースとはまた違ったおもしろさや役割があります。まず何と言っても、飲食物はそれ自体、活動対象国の(食)文化にその人自身の味覚、嗅覚、視覚などを通して直接触れ、知ることに繋がるものです。実感をもって身近に体験し、理解できる機会は案外ないものです。さらに料理に使われている食材や調理法、道具などの説明を通して、その国の気候、風土、人々の暮らしぶり、知恵などについても幅広く知り、思いを巡らせることができます。

ポレポレクラブのキリマンジャロコーヒー販売では、酸味が強い等といったコーヒーの特徴の説明から、「なぜコーヒーを販売しているのか」、「現地とどう繋がっているのか」といったコーヒー販売の背景や目的などについてご説明するようにしています。生産農家の危機的な状況から、「20年後にはキリマンジャロコーヒーはなくなるとさえ言われている」といったお話をすると、多くのお客さんはとても驚かれます。

 

キリマンジャロコーヒー販売の様子

キリマンジャロコーヒー販売の様子

 

キリマンジャロコーヒーがそこまで追い詰められてしまった理由の多くは、その低い生産者価格に求めることができます。そして生産者価格を低くしている要因は、大きく分けて次の3つがあるといえます。一つ目は、世界全体のコーヒーの需給バランスが崩れたことから、コーヒーの生豆価格(先物価格)が低迷していることです。収入が生産コストを下回るようでは、生産を続ける農家はいなくなります。これは一部の希少性のある高級銘柄を除いて、世界全体のコーヒー生産とその農家について言えることです。

二つ目と三つ目は、キリマンジャロコーヒーに特有の問題です。まず、構造調整政策によってタンザニアのコーヒー市場が自由化され、そこに参入してきた多国籍企業によって行われた談合があります。業者同士の談合によって農家からの買付価格と競売価格は低く抑え込まれてしまいました。自由化とそれに伴う市場原理によって実現するはずだった価格上昇は完璧に裏切られ、農民たちは以前より苦しい状況に追い込まれてしまいました。

三つ目は、キリマンジャロコーヒーという希少性が考慮されない価格決定にあります。全世界のコーヒー豆貿易量に占めるキリマンジャロコーヒーの生産量はわずか0.9%。しかもその位置づけは、マイルド・アラビカという高級品種です。それにも関わらず、キリマンジャロコーヒー生豆の買付価格は、キリマンジャロコーヒーそのものであるより、むしろ圧倒的に生産量の多い、低品質のコーヒー生豆価格に連動させられています。

 

多くの来場者の方に関心を持っていただけました!

多くの来場者の方に関心を持っていただけました!

 

コーヒーの栽培は非常に手間のかかるものです。収穫の時などは徐々に熟していくコーヒーの実を、赤くなったものだけ選びとって摘んでいく必要があります。私たちが活動しているキリマンジャロ山の標高1,500m付近では、こうした作業が9月から12月まで続きます。また現在のキリマンジャロコーヒーは病害虫に非常に弱く、品質維持のためには化学農薬の使用が欠かせません。

こうした栽培管理にかかる手間や高い生産コストから、農民たちは現在のような低い生産者価格では到底やっていくことができません。多くの農民たちは適切な栽培管理を放棄し、それがまた生産されるコーヒーの低品質化に繋がっています。低品質のコーヒーでは、高い生産者価格の実現など、もはや望むべくもありません(一方で、調達難からさらに希少性を増した高品質豆は、比較的高価格が実現しています。こうした高品質豆の殆どは、タンザニア人小農民とは無縁の、大規模プランテーションで栽培されています)。

多くのキリマンジャロコーヒー生産農家にとって問題なのは、栽培放棄したからといって、それに代わる収入の道がないことです。キリマンジャロ山中とはいえ現金収入がなければ、学校に子どもを通わせることも、病気になっでも医者に診てもらうことも出来ません。

そこで私たちは、病害虫に強い新品種の立ち上げと、栽培管理に必要となる道具の支援を通して、小農民によるキリマンジャロコーヒー生産の再生と、それによる収入源の確保を目指しています。また、そのことでコーヒーが再び村の産業としての地位を回復し、若者の離村による村の過疎化などに歯止めがかけられるようになることを目指しています。

イベントなどでのコーヒー販売による収益は、このうち道具の支援のために役立てられています。支援しているのは、キリマンジャロ山麓で高品質コーヒーの栽培に情熱を傾けているコーヒー生産農家グループ”KIWAKABO”です。そしてイベントで販売されているコーヒーは、彼らから仕入れてきた生豆を使っていれたコーヒーなのです。

一覧へ