植林地の過去と現在

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(1) 1994年植林地

・植林地名: ムレマ(Plot D,E,F)

・面 積 : 2ヘクタール

・植林樹種: Casuarina montana/Grevillea robusta/Pinus patula

・植林本数: 1,873本

・状 況 : Casuarina montana(モクマオウ)とPinus patula(パトゥラ松)の2樹種はほぼ全数活着。樹高はすでに15mを超えており、一帯はすでに森のようになっている。ただし、Grevillea robusta(ハゴロモノキ)は荒廃土壌に耐えられず、数本を除いてほぼ全滅。(Pinus patulaで補植が完了している)。

(写真左)1995年、植林1年後の植林地

(写真左)1995年、植林1年後の植林地

(同右)2005年現在の植林地の様子

(同右)2005年現在の植林地の様子


(2) 1995年植林地

・植林地名: キタンガラ

・面 積 : 1.1ヘクタール

・植林樹種: Casuarina montana/Grevillea robusta

・植林本数: 1,713本

・状 況 : 前植生のBlack wattleの影響(注1)で、TEACAがもっとも苦労した植林地の一つ。これまでに20種類以上の樹種を試しているが、ほとんど活着しない。Cauarina montana(注2)はかろうじて育っているが、幹が細い上に、根元から曲がって真っ直ぐに伸びていないものが多く見られる。その後松科のPinus patulaを用い、何とか活着させることに成功した。しかしこれも生長はかなり抑えられている。

 

(注1) Black wattleはかつて政府がタンニンを得るために植えた。収穫のため皆伐され、その後裸地のまま放置。Black wattleは、根から土壌中に他の植物の生育を阻害する物質を出す。

(注2) 荒地にも強い樹種

1995年の植林時

1995年の植林時

2005年現在の植林地

2005年現在の植林地


(3) 1996年植林地

・植林地名: タカギヒル

・面 積 : 0.8ヘクタール

・植林樹種: Pinus patula

・植林本数: 1,351本

・状 況 : TEACAが1988年以来取り組んできたキリマンジャロ山麓での植林の経験から、同山麓の荒廃裸地では、Pinus patulaによる植林が最も優秀な成績(=活着)を示すことが分かってきた。1996年が丁度その頃で、当時はほとんどの植林がこのPinus patulaに置き換わった(注)。タカギヒルも同樹種で植林が実施され、活着率もほぼ100%である。現在平均樹高は7m程になっている。

 

(注) その後TEACAは、このPinus patulaに偏重した植林のあり方を見直している。現在はより多様な樹種による植林を優先し、他の樹種ではどうしても根付かない場合に用いるようにしている。

1996年の植林時

1996年の植林時

2005年現在の植林地

2005年現在の植林地


(4) 1999年植林地

・植林地名: オサレ/ムシンガ

・面 積 : 2ヘクタール/1ヘクタール

・植林樹種: Albizia schimperiana/Cordia abyssinica/Grevillea robusta/Pinus patula

・植林本数: 1,206本

・状 況 : オサレは植林した翌年、植林地で土砂崩れが発生し、3分の1ほどの面積で植えた苗木が押し流されてしまった。その後補植をしたが細さが目立ち、生育状況はあまり良いとは言えない。斜面下部に植えられたCordia abyssinicaはほぼ全滅してしまったが、中腹部に植えられたGrevillea robustaは樹高6mほどまで育っている。

1999年の植林時

1999年の植林時

2005年現在の植林地

2005年現在の植林地


一方ムシンガは活着率90%以上を維持しており、育ったGrevillea robstaが整然と並んで、かつての裸地はすでに林のようになってきている。数年以内にムレマ植林地に続いて間伐が必要になってくるだろう。ムシンガは水源地に位置しており、やがて村の水を守る森として蘇るはずである。

1999年の植林時

1999年の植林時

2005年現在の植林地

2005年現在の植林地


(5) 2000年~2005年植林地

・植林地名: レカラ/レカラ・マムンダ

・面 積 : 2.5ヘクタール/1ヘクタール

・植林樹種: Acrocurpus fraxinifolius/Albizia gummifera/Albizia schimperiana/Cedrela ororata/Cordia abyssinica/Croton macrostachys/Croton megarocurpus/Ficus thonningii/Grevillea robusta/Macaranga kilimandsharica/Pinus patula/Syzygium cuminii/Syzygium guineese/Ehretia silvatica(Mnevu)

・植林本数: 7,276本/1,862本

・状 況 : 2000年から現在まで植林に取り組んでいるレカラおよびレカラ・マムンダ。森林が伐採されてから30年近くがたち、ちょっとした場所の違いで土壌が変化することや、さらに長期にわたって飼料用の草取りが行われ、継続的な栄養分の持ち出しになっていることから、村人たちは何度も繰り返し補植をかけながら森林を取り戻そうとしている。レカラはまだ広い裸地であり、彼らは今後さらに数年をかけて、裸地のすべてに植林を進めていく計画である。

(写真左)レカラ、2000年の植林時

(写真左)レカラ、2000年の植林時

(同右)同じ植林地の現在。斜面の下側からの写真。樹種はAcrocurpus fraxinifolius

(同右)同じ植林地の現在。斜面の下側からの写真。樹種はAcrocurpus fraxinifolius


(写真左)2001年植林地。樹種はPinus patula

(写真左)2001年植林地。樹種はPinus patula

(写真左)2001年植林地。樹種はPinus patula

(同右)2002年植林地。樹種はCroton macrostachys


(写真左)レカラ・マムンダ、2004年植林地。樹種はCroton macrostachys

(写真左)レカラ・マムンダ、2004年植林地。樹種はCroton macrostachys

(同右)1999年植林地(ムシンガ)。順調に生育するGrevilea robustaの脇に立つ、TEACAリーダーの一人、ンジャウ氏。村の回りに広がる裸地すべてを、かつてのような森に戻すのが、TEACA、そして村人たちの夢だ。

(同右)1999年植林地(ムシンガ)。順調に生育するGrevilea robustaの脇に立つ、TEACAリーダーの一人、ンジャウ氏。村の回りに広がる裸地すべてを、かつてのような森に戻すのが、TEACA、そして村人たちの夢だ。


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