ポレポレクラブも支援している、テマ村で高品質キリマンジャロ・コーヒーの生産を目指している、コーヒー生産農家グループ “KIWAKABO TEAMA”。
彼らはこの5月、自分たちが生産したコーヒーを、初めて組合(KNCU)を通さずに競売にかけ販売した。組合を通さなかった理由は、ここで書きだすと長くなるので割愛するが、端的に言うと “組合を通すと品質が正当に評価されず、従って低い生産者価格に甘んずるしかない” という背景がある。
高品質豆の生産を目指した結果、彼らの生産した豆の品質は、最高級グレードである“AA”、そして高級グレードである“A”クラスが、全体の約52%を占めるという素晴らしいものであった。(昨年度の一般農家の“AA”クラスの占有率は10%程度だったと聞く)。
ポレポレクラブでは、来夏にそのキリマンジャロ・コーヒーをテーマとしたスタディーツアーを開催する予定であるが、今後 KIWAKABO TEMA に対する支援、協力のあり方も、現在の栽培面、すなわち“川上”部分での支援、協力のみならず、販売面、すなわち“川下”部分の協力も検討してみる価値はあるかも知れない。ここでいう販売面とは、彼らの生産したコーヒーを彼らから直接買い取り、日本で販売するということである。KIWAKABO TEMAが直接競売にこぎつけたことで、その道も手の届かない夢ではなくなってきた。
ただ、実際問題としていまのポレポレクラブの実力では、そこまで手を広げるのは厳しいといえる。しかし私たちの協力が例え小さくとも、一つの完成した循環の輪、流れとなって、彼らと手を携えていけるのなら、その方がより望ましい協力(協働)のあり方なのかも知れない。
と同時に、その時には受け手、すなわち消費者としての私たちの意識にどう訴えるかも、難しい問題として問われそうである。生産されるグレードは“AA”や“A”クラスばかりではなく、その他のクラスとの混合になる可能性は十分ある。 “AA”クラスのみ買い取って、それを売り(=付加価値)にし、その他のクラスは切り捨てるというやり方もあるだろうが、日本人の消費行動をそのまま持ち込むようで、今ひとつしっくりこないものがある。それに悪いグレードを残された農家は、安くても総量として組合に売った方が最終的には収入になったといったことにもなりかねない。
かといって品質にある程度目をつぶる一方で、生産者に対する公正な貿易を訴えるだけでは、恐らくほとんどマーケットは確保できない筈である。おそらくそこには、“新たな付加価値”の付与が必要になってくるだろうと思っている。その辺はスタディーツアーの中で参加者と話し合ってみても面白そうである。