今年も4月から始まる大雨季に合わせ、キリマンジャロ山の村々で植林が取り組まれました。その一方でいま世界を揺るがしている新型コロナウィルスの影響は、植林にも大きく影響することになりました。当初州と協力して進めることにしていた植林キャンペーンは、3月に初感染者が確認されると早々に中止が決定され、政府からは密集を避けるようにとの指示が出されました。当会としても新型コロナウィルスがどういう病気なのかよく分からない中で村人同士での感染を避けるため、ほぼすべての現地活動を一旦停止せざるを得なくなりました。現地カウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Association)とも大雨季植林は実施を見送り、配布に切り替えることもやむを得ないだろうと話し合っていました。
しかしその後タンザニアでは大統領によるコロナウィルスに対する勝利宣言が出され、閉鎖されていた教育機関も再開されるなど、表面的には平時とあまり変わらない日常が取り戻されつつあります。こうした中でTEACAと村々は植林について話し合いを持ち、その結果、これまで30年以上続けてきた植林をここで途切れさせてはいけないとの意見が大勢を占め、一転して大雨季植林の実施が決定されました。
とはいうものの例年のように多くの村人が集まって一斉に取り組むという形での実施はやはり無理で、日にちを分散して少しずつ取り組むことにしました。じつは8月となったいまも植林は終わっていません。大雨季はキリマンジャロ山中でも7月には終わってしまい、8月はその残り雨が降る季節です。十分な雨が降らなければ植林はできず、残っている村での植林を完了できるかはお天気次第になります。また今回は植林開始のタイミングが遅れに遅れたことから育ちすぎの徒長した苗木が多く、活着率にも影響してきそうです。
このように植林の遅れや活着率への懸念があるとはいえ、一時は諦めていた大雨季植林をTEACAも村人たちもよく頑張って実施したと思っています。キリマンジャロ山の急斜面での植林作業は本当に大変です。それを何十年も続けている彼らはまさに鉄人だと常日頃感じていますが、森林回復にかける彼らの情熱をあらためて感じました。
一方、コロナウィルスへの警戒は続けざるを得ません。近隣諸国の状況はタンザニアが勝利宣言とはまた別の状況にあることを物語っています。したがって現地活動は来年の新学期に向けて止めることのできない寄宿舎建設など、ごく一部に限定して進めることにしています。
〔No.58 その他の内容〕
● タンザニアにおけるコロナウィルスの状況
● 活動の現場から
・植林活動: 大雨季植林実績
・生活改善: テマ診療所にもコロナウィスルの影響
・自立支援: 裁縫教室、寄宿舎建設作業始まる
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