タンザニア・キリマンジャロ植林ワークキャンプ2014報告

(開催概要は→こちら


【自然か、人か。新たなワークキャンプの視点】

「キリマンジャロ植林ワークキャンプ」は過去15回開催し、これまでに300人を超すみなさんが参加されました。5年ぶりの再開となった今回のワークキャンプは、従来のテマ村からロレ・マレラ村に場所を移し、また日程の後半ではンゴロンゴロ、セレンゲティの2つの世界遺産を巡るなど、まったく新しいコンセプトと内容のもとに実施しました。

プログラムを刷新した背景は、現在キリマンジャロ山で起きている問題を、限られた村の中での森林減少やその回復のための取り組みという局地的な視点で捉えてしまうことなく、広く地域住民と自然保護政策のあり方といった視点からも考えられるようにしたためです。

世界遺産でもあるキリマンジャロ山では、森林保護の名のもとに地域住民の利用排除を目的とした国立公園の拡大が実施されました。自然はかけがえのないものであり、なかでも世界遺産はわたしたち人類にとって宝ともいえる存在です。しかしその自然、人類の宝を守るために、そこに長く住み暮らしてきた人々の存在は無視されても良いのかという問題が、いまキリマンジャロ山では問われています。

一方、同じ世界遺産であるセレンゲティでは、1951年の国立公園化にともない、関東平野にも匹敵する広大な土地から、そこを生活の場としていたマサイの人々が排除されてすでに久しく、ンゴロンゴロでは、人と自然の共存という未来に向けた壮大な実験が、多くの課題を抱えながらも続けられています。

したがって新たなワークキャンプでは、この地域住民と自然保護政策のあり方という問題を、現地において過去にも起こり、いまも現在進行形で進み、そして未来に向けた模索が続けられている3つの現場を訪れることで学び、考えられるコンセプト、内容としたものです。

ロレ・マレラ村位置図
ロレ・マレラ村位置図

【阻止される植林】

こうしたコンセプトのもとに実施された今回のワークキャンプでしたが、拡大された国立公園内で予定していた植林が、キリマンジャロ国立公園公社(KINAPA)の介入にで遭い、取り組むことができないという事態になりました。国立公園法のもとでは、そのエリアには何人も入ってはならず、何事をしてもならないからですが、KINAPAを管轄する天然資源観光省から植林許可を得ているにも関わらず、植林は阻止されることになりました。

最終的に植林は国立公園外の村のエリアで実施し、予定通り4千本の苗木を植栽しましたが、このことはワークキャンプに参加された皆さんに、現地が抱える「地域住民と自然保護政策のあり方」という問題の大きさ、深刻さを、強烈に投げかけることになりました。

一方、今回初めてワークキャンプを受け入れていただいたロレ・マレラ村は、勤勉なチャガ民族の人々を絵に描いたような村といえ、家はおろか敷地、畑の隅々まで良く手が入れられ、美しい村の風景とバナナや木々の緑、紺碧の空のコントラストが目に焼き付くようでした。穏やかで礼儀正しい村人たちの森林回復への意欲もとても高く、自分の畑にもどんどん木を植えたがる姿は、テマ村を上回るのではないかと思えるほどでした。

また今回のワークキャンプでは、参加者のご理解を得て、当初の予定より日程を延ばし(15日間→17日間)、ンゴロンゴロ、セレンゲティの日程が終わった後に、再びキリマンジャロ山に戻りテマ村に入ることができました。同じキリマンジャロ山とはいえ、森林を含めロレ・マレラ村とは大きく環境の異なるテマ村に足を運ぶことは、現地理解の上でも大きな意味がありました。またKINAPAの重圧が広くキリマンジャロ山の村々を覆っている現実の姿を、さらに実感を持って感じていただけたのではないかと思っています。




〜 参加者の感想文から 〜

『 ポレポレの時間に身をおいて 』

I・Oさん(60代男性)


コケコッコーの声で目を覚ますのは何年ぶりだろう。車の音はまったくせず、大自然にどっぷりとつかっている感覚である。これこそが人間本来の自然との共存生活か。

日本ではどうか。私の暮らしている田舎でさえ、車の音で目を覚ます毎日である。経済発展、効率化を押し進めるあまり便利な社会になり、何一つとして不自由なく暮らせる社会になる一方で、人間本来の営み、絆、助け合いの心をいつしか失ってしまった気がする。この村での生活が本来の人間の生き方であり、自然の中に身を置くものの姿ではないかと、つくづく感ずる。

私自身、田舎育ちであり三ツ石カマドほどではないが、煮炊きをするのに工夫をしながら火をおこした経験があり、そうした中から工夫をして何かをやるという心が生まれて来るのではないだろうか。機会があったらこのような村での体験をして、いまの自分を生活と照らし合わせてみて欲しいと思う。日本人が置き忘れて来てしまったこことが見えてくる気がする。村での静かなポレポレの時が大好きです。村人の暖かさ、星空の美しさが印象的でした。

植林地が当初の予定地から変更になった。私は植林をするとき思い出すことがある。国際的な森林ヒーローと呼ばれる畑山重篤氏のことである。彼は養殖カキが赤潮で全滅したとき以来、漁師でありながら山への植林活動を続け、森を再生させ、豊かな海を取り戻したのである。いかに森が大切かということだろう。今回の植林も大雨季を迎え、村人も自分の畑の作付け、種まき等で多忙な時期だろうと思うが、毎日多くの人々が参加していた姿を見ていて、村の皆さんがいかに森の大切さを理解しているか、頭が下がる思いだった。また驚いたのは自分の畑を削ってまで植林をしてくれと言った多くの村人がいたことである。この苗木が大きく育って、いつしか大きな森になるように願わずにはいられない。森を滅ぼす国は、国をも滅ぼす。 レカラ植林地に筆者がかつて植えたパトゥラ松 過去植林地を見にテマ村のムシンガ地区に入った。大きく育ったグレビレアの木に大感激。しかしパトゥラ松を見てがっかりした。間伐の時期なのにまったく手が入らず、やせ細った木。枯れている木も見られた。あまりにも残酷である。国立公園化され村人が入れず管理ができない。KINAPAに任せておいたら過去植林地は、みなこのような状態になってしまうのではないかと、とても心配である。

次にレカラ地区へも向かい、自分が植林したパトゥラ松に出会った。15メートルくらいまでに生長していて思わず抱きついてしまった。長年の経過で土壌環境が変わってしまい、植林しても全滅してしまう場所もあると聞いた。樹種選びでも大きな苦労があるんだなと感じた。そのような中でこのパトゥラ松が大きく育ってくれたのを見ると、本当にうれしく、さらに大きく育つように願うと同時に、枝打ち、間伐等の保全管理の緊急性を感じたのである。


←( 写真 : レカラ植林地に筆者がかつて植えたパトゥラ松 )


KINAPAの問題についてはニュースレターで概要は知っていたが、現地に入りあらためて村人にとって大きな問題だということを認識した。何人も国立公園内に入ることは出来ないいま、私は村滞在中に草刈りのために、村人たちが公園内に入っていく姿を何回も見た。村人は違法を承知で入っているし、村人とすれば国立公園法を破ってでも生活していくためには入らざるを得ないのではないか。それだけ今までのハーフマイル・フォレストストリップ(HMFS)は村人にとってはとても重要な場所だったのではないか。ただ単に薪取りや家畜のエサ取りの場所だけでなく、それ以上に水源確保の森という大切な場所である。

KINAPAはこうした状況を理解しているのか、非常に疑問である。すぐに国立公園法を改正して、今まで通り村人が管理できるようにするというのは困難な状況と思われる。今後は37村の村人たちの一致団結した行動により、新たな仕組みづくりに取り組んでいくとのことである。
そのためにポレポレクラブの会員として何ができるだろうか、自分にできることがあるだろうか、少しでも力になればと思うのである。

苗木を植える筆者 植林実績表

苗木を植える筆者                           植林実績表




◆このワークキャンプには、現地の人々の考え方や生き方、伝統や習慣を尊重し理解しようという気持ちのある方ならどなたでも参加できます。ワークキャンプに関するご質問、資料請求等は、以下までお気軽にお問い合わせ下さい(資料請求の方は、住所等の連絡先を忘れずにご記入下さい)。


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