タンザニア・キリマンジャロ植林ワークキャンプ2005報告
(ニュースレターからの一部抜粋版)

    朝6時。まだ薄暗い外に、うっすらとキリマンジャロ山の姿が浮かぶ。 深い藍色をした空は、やがて赤紫色に染まり始める。日の出だ。 輝く氷雪、朱に染まった山肌が、今日も一日が始まったことを告げる。


現地の人たちとの集合写真
現地の人たちとの集合写真


【不安定な降雨】
     ワークキャンプが開催されたのは、2月9日〜3月2日までの22日間。参加者は事務局1名を含め26名(男性12名、女性14名)。 タンザニア(キリマンジャロ山麓)では、11月〜12月が小雨期、3月〜6月が大雨期になり、このワークキャンプは、大雨期入りの直前を狙って開催している。現地では年末の小雨期が総雨量ベースではまずまず確保されたものの、降雨が一時に集中して終わってしまったため、実際には村でもかなり乾燥が進んでいた。例年だとワークキャンプ期間中に2回くらいは、ある程度まとまった量の雨に降られるのだが、今回はそれもなく、植林後にすべての苗木に対して灌水作業が必要になった。

【植林地レカラ】
   ワークキャンプの開催地は、キリマンジャロ山の東南部山麓、標高約1,600mに位置しているテマ村。ここでは現地カウンターパートであるNGO・TEACA(Tanzania Environmental Action Assosiation)が、15年以上にわたって村人と共に植林活動に取り組んでいる。
   植林地は2000年から継続して植林に取り組んでいる、“レカラ”および“レカラ・マムンダ”と呼ばれる、合計約6haの山麓に広がる裸地である。
   このワークキャンプでは、新規地への植林にだけ取り組むということはしていない。植えられた苗木が100%根付くということはまずなく、村人たちは継続的に補植を繰り返しながら、少しずつ失われた緑を取り戻してきた。ワークキャンプでも苗木が草に負けてしまう状況や、枯死した苗木の植え替えなどをすることによって、はじめて緑が取り戻せるということ、また一見緑が残っているように見える村でも、そうした村人たちの努力の積み重ねの上に、緑が守られているということを理解してもらいたいと思っている。


2002年/2003年植林地での下草刈り
【植林作業】
   毎朝、村でベースにしている宿泊所を8時頃出発し、植林地には9時過ぎに到着する。運が良ければ途中サルを見かけたりするが、今年は残念ながら遠くにちらりと見えただけであった。昔は象や豹、ガゼルも多くいた(※1)というが、今のキリマンジャロ山にその面影はない。
   作業する人数はその日の作業内容によっても異なるが、私たち日本人を合わせて毎日約70〜80人ほどである(子供たちが参加すると120人くらいになる)。だいたい私たち日本人が先に到着し、村人たちは三々五々連れ立ってやってきて、気付いてみるといつの間にか植林地いっぱいに広がってやっているという感じだろうか。村人たちは牛の世話など、朝の仕事を終えてからやってくるのだ。
   植林作業の最初は、雑草に覆われた既植林地の草の刈り払いである。この作業は少なくとも、苗木の樹高が草丈を超えるまでの3〜5年間は続けなくてはならない。また苗木と雑草との水分競合を避けるためにも、欠かせない作業だ。雑草といっても有刺性のものが多いうえ、中には背丈ほどもあるものもあり、日本の草刈りのイメージとは随分異なる。

(※1) かつて村人たちはガゼル類の肉を食べていた


子供たちに囲まれて
【ママたちとの会話】
   植林地に繁茂する雑草の全面刈り払いが終わると、今度は植え穴掘りである。補植地は、過去に一回掘り起こされているので比較的掘りやすいが、新規の植林地は裸地化して長い年月がたっているため、土が硬くしまっており、この植え穴掘りには相当難儀する。掘ると石ばかりゴロゴロ出てくるところもあり、そんな場所ではクワが使えず、一つ一つ手で除けていくしかない。
   午前中の作業にはママさん達もたくさんやってくる(午後は家事があるため、早めに帰る)。作業の合間の休憩時間などは、そんなママさんたちとの会話がまた楽しい。「日本で結婚するときにはやっぱり牛がいるの?」とか「アンタ、早くタンザニアに引っ越してらっしゃいよ、うちの畑貸してあげるからさ。でもタダじゃないヨ!」とか、まあ結構言いたい放題である。 女性が臆することなくものを言え、外出も自由にでき、グループで様々な活動に取り組むこともできる。タンザニアの素晴らしいところだ。たわいもない会話の中に、そうしたこの国の良さや、この国の人々の姿勢が重なって感じられ、とても心地よい。(※2)

  構成比(%) 世界順位
タンザニア 21.4 32位
日本 7.1 98位
(※2) たとえばジェンダーギャップや女性の社会進出の度合いを測る一つの指標として、国会における女性議員の比率を見てみた場合、タンザニアと日本とでは右表のようになる。


2004年植林地に植えられたCroton Macrostachys
【TEACAの足跡】
   そしていよいよ植林。パンガのような危険な道具を使わない苗木の植え付け作業には、子供たちもたくさんやってくる。昨年は穴を掘っているそばから、子供たちがどんどん苗木を植えてくれたものだから、“植林”ワークキャンプなのか“穴掘り”ワークキャンプなのか分からないという笑い話もあったが、今回子供たちは、苗木の水やりにとても頑張ってくれた。家から水の入る容器を手に手に持ってやってきたのだ。
   また今回の植林作業には、地元の中学校から環境クラブの生徒たちも参加していたが、彼ら彼女たちも、かつて一緒に植林に加わっていた子供たちの一人であった。今も彼らの生活を取り巻く環境のことを、忘れず考えていてくれるのが嬉しい。よくTEACAのリーダーたちが、村で若者を見かけると言う言葉がある。「彼らもTEACAのMatunda(=果実)だよ」と。分かるような気がするのである。
   今回の植林作業には、村人と私たち日本人を合わせて、のべ636人が参加した。期間中に植えた苗木は4樹種、計1,142本であった。(下表)


2005年ワ−クキャンプ植林データ
植 林 地 内 容 樹 種 本 数 プロット
レカラ
補 植
Grevillea Robusta(ヤマモガシ科:シノブノキ)
61
Grevillea Robusta
100
Cedrela Odorata(センダン科:セドロ)
80
 
Grevillea Robusta
20
レカラ・マムンダ
補 植
Ficus Thonningii(クワ科:Mkuyu)
154
Acrocarpus fraxinifolius(マメ科)
100
 
Ficus Thonningii
23
新規植林
Acrocarpus fraxinifolius
13
 
Grevillea Robusta
591
合   計
1,142

各プロットの対前年比活着率(%)
PLOT 対前年比活着率 PLOT 対前年比活着率
▲27.2(※)
▲51.5(※)
今回未補植のためデータなし
(+27.1)
今年度初植林
+31.2
 
 
+40.7
   

(※)前年の新規植林地。植林時点での活着率を100%として、そこからの減少率。



村にいる間は、食当を編成しての自炊生活だ

【村の様々な側面を知る】
   このワークキャンプでは、植林活動に参加するだけでなく、村で取り組まれているその他の活動への参加や視察も、プログラムに取り入れている。森林減少や環境問題だけが、村人たちが直面している現実のすべてではないからである。彼らが置かれている状況をより深く理解するためにも、彼らを取り囲む様々な現実の存在を知り、またそれらに対して彼らがどう行動していこうとしているのか、より広い視点から捉えられるようにしたいと思っている。
   そのため、ワークキャンプでは価格低迷に喘ぐキリマンジャロコーヒー栽培の現場と、それに対する村のコーヒー生産農家グループの取り組みの見学,新たな収入源と雇用機会の創出を目指して村人たちが取り組み始めた、手工芸品活動のワークショップなども行っている。 これらは、私たちに身近な存在であるはずのコーヒーが、実は栽培の現場では、私たちには伝わってこない危機的状況を迎えていることや、ワークショップでは、適正技術(地域にある資源を利用し、現地で入手可能な道具を使い、誰でも使える技術によって)について、体験を通して学ぶことにも繋がっている。
   村を離れ、モシの町から見上げるキリマンジャロ山に、多くの村人やママ、そして子供たちの生活の息吹を感ずることは難しい。それでも町で買うペットボトルの水も、彼らの努力によって守られているのかも知れないと思うと、透明な水の向こうに植林に励む彼らの姿が重なって見えるのである。

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◆このワークキャンプには、現地の人々の考え方や生き方、伝統や習慣を尊重し理解しようという気持ちのあ  る方ならどなたでも参加できます。ワークキャンプに関するご質問、資料請求等は、以下までお気軽にお問  い合わせ下さい(資料請求の方は、住所等の連絡先を忘れずにご記入下さい)。


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