2015年 植林活動の履歴


 ●2015年分  10月  大統領に届くか、地域の声
            7月 キリマンジャロ山での大雨季植林が連日取り組まれています
            4月 大雨季植林始まる
            2月 「自慢の森」アンケート調査こぼれ話





■ 大統領に届くか、地域の声 ('15/10) ■


地域住民達によってHMFSに植えられた木。ここはかつて政府の商業伐採により丸裸となっていた場所。

地域住民たちによってHMFSに植えられた木。ここは
かつて政府の商業伐採により丸裸となっていた場所


世界遺産でもあるキリマンジャロ山では、森林保護の名のもと、2005年にそれまで地域住民の生活を支えてきたバッファゾーンの森"Half mile forest strip"(以下、HMFSと表記)に対する国立公園の拡大政策が断行されました。その目的は、地域住民の森林資源利用からの完全排除であり、またそのことにより森林保護を達成しようとするものです。

しかしこの政策は地域住民の生活を破壊するばかりか、長年にわたる植林などを通して実際には森を守ってきた彼らを森から排除することとなり、かえってキリマンジャロ山の森をより深刻な破壊の危機へと晒すこととなっています。

 詳しくはこちら→ ・ "消えた住民たちの森"
             ・ "世界への訴え"

そこで私たちタンザニア・ポレポレクラブは、モシ県下(Moshi rural district)のHMFSに沿う39の村々と協力し、以下を目的とした39村の協議体"KIHACONE"(Kilimajaro Half mile forest strip Conservation Network)を設立しました。

 (1)政府に対しHMFSを国立公園から外し、地域に返還することを求めていく
 (2)返還後のHMFSの森を地域の手で守っていく新たな森林保全・管理の枠組みを構築する

私たちはHMFSが国立公園に取り込まれた2005年以来この問題に取り組んでいますが、タンザニア政府は「森林破壊の元凶は地域住民である」として、地域の声にも一向に耳を貸そうとはしません(実際はHMFSの森林の最大の破壊原因は、過去政府が行った商業伐採)。

そこでKIHACONEは、3月末、大衆集会のために全国を遊説していた同国政権与党CCMのAbdulrahman Kinana書記長がモシ県を訪れた機会を捉え、HMFSからの住民排除を目的とした国立公園の拡大が、地域住民そしてキリマンジャロ山の森林にもたらしている問題を直訴しました。問題の深刻さを知り書記長は、その場において大衆を前に、HMFSの地域への返還を約束したのです。彼はまた、この問題を「然るべき人物」にも伝えることを約束しました。それは天然資源観光省の大臣か、あるいは10月に大統領選挙と総選挙を控えた同国の状況では、大統領の耳に地方の訴えの声が届けられることもあるでしょう。これまで無視され続けてきた地域住民の声が、ついに中央政府を動かすかも知れないところまでたどり着いた瞬間でした。

さらにKIHACONEは、地方政府にも働きかけます。キリマンジャロ山のお膝元であるモシ県議会(District council)において、「HMFS返還決議」の可決を目指したのです。そしてこの5月末に開催された県議会において、ついにこの決議が可決されました。

しかしこうした書記長の約束や県議会での決議にも関わらず、事態は予断を許しません。キリマンジャロ国立公園を管理するKINAPAは、国立公園法を盾に頑強にHMFSの返還を拒否しており、地域住民たちがその中で植林することさえ、違法行為であるとして拒絶しています。

先のリンク「消えた住民たちの森」や「世界への訴え」でも詳述しているように、キリマンジャロ山の森(HMFS)を今日の姿のように破壊したのは地域住民ではありません。それどころか、彼らは「キリマンジャロ山の森の最大の守護者」として、地道に森林回復のための植林に取り組んできました。森を守る知恵と力を持っているのは、森から追い出されたまさに地域住民たちだと言えます。そして自然(森)を守ることが大切であるのと同様に、その地に長く暮らしてきた住民達の生活もまだ大切であることに疑いの余地はありません。森は守るが人の生活はどうなっても良いという政策は、決して良い政策とは言えず、また良い結果も生み出さないでしょう。

私たちはこれからも地域住民と力を合わせ、キリマンジャロ山の森を守り、地域住民達の生活を守るための活動に取り組んでいきます。世界の皆さんには、ぜひいま世界遺産でもあるキリマンジャロ山で起きている、この知られざる国立公園の強権的拡大政策と、それによる住民排除という不幸で不条理な事実を知って頂きたいと思います。そしてこの問題の解決のために、声を上げて頂きたいと思っています。


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■キリマンジャロ山での大雨季植林が連日取り組まれています('15/7)■


キリマンジャロ山の植林地に搬入された苗木 多くの村人達によって植林が取り組まれています

キリマンジャロ山の植林地に搬入された苗木   多くの村人達によって植林が取り組まれています  


キリマンジャロ山ではまもなく大雨季が明けますが、現地カウンターパートのTEACA(Tanzania Environmetanl Action Associaition)からは、連日のように村人たちによって植林が取り組まれているとの報告が入っています。

当初の計画では、今年の大雨季植林は国立公園に取り込まれた旧バッファゾーンの森"Half Mile Forest Strip"(以下HMFSと表記)において実施する予定でした。この植林は、政府に対して地域による森林保全努力の実態とその能力を実証的に示していくため、森林に沿った39の村々が連携して大々的に取り組む計画でした。しかし国立公園を管理するキリマンジャロ国立公園公社(KINAPA)への度重なる植林許可要請にも関わらず、同公社はまったく対応しようとしない状況が続いています。

同公社は自らの植林計画があるとしていましたが、実際にそのような植林が取り組まれることはなく、裸地化したHMFSはそのまま放置される事態が続いています。

そこで39村およびTEACA、39村の協議体であるKIHACONE(Kilimanjaro Half mile forest strip Conservation Network)は、大雨季植林をキリマンジャロ山の裸地化した村落エリアの尾根で実施することに計画を変更しました。現在取り組まれている植林はそこでのものとなります。

当会が入手しているデータは5月末までのものですが、そこまでに2,359人の村人たちが参加し、15,823本の植林が取り組まれました。7月現在の今もこの植林は続けれらており、また各地域の学校や教会などへの苗木の配布もされています。

TEACAからはKINAPAがまもなくHMFSでの植林許可を出すことになるだろうとの情報が寄せられています。そうなれば今後再び地域がHMFSでの継続的な植林の主役となる道が開けると考えています。

当会はキリマンジャロ山の森林保全のためには、こうした地域主体による取り組みこそが持続的であり、必要とされていると考えています。そして多くのみなさまに、キリマンジャロ山での地域主体による森林保全・管理の実現を目指す当会の取り組みを応援いただきたいと思っております。


●キリマンジャロ山での植林支援に対するご寄付も受け付けております

 ・ネットでのご寄付 → こちら
 ・郵便振替での寄付→ 口座番号:  00150−7−77254
                加入者名:  タンザニア・ポレポレクラブ
 ※ 郵便振替の場合は、備考欄に「植林指定」とご記入ください


こうした息長い住民たちの植林活動が、キリマンジャロ山の森を守ってきました

こうした息長い住民たちの植林活動が、キリマンジャロ山の森を守ってきました



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 ■ 大雨季植林始まる ('15/4) ■


植林中 植林後

(写真1)植林中                 (写真2)植林後  



キリマンジャロ山麓での大雨季植林がいよいよ始まりました。植林用の苗木は植林に取り組んでいるそれぞれの村で、その村の環境グループなどが中心になって育てています。しかし昨年の降雨不足からどのグループも育苗に苦しんでおり、今回の大雨季植林では苗木の確保が出来たTEACAの苗畑(写真3)から多くの苗木を供給することになりました。


TEACAの苗畑で育つ苗木

(写真3)TEACAの苗畑で育つ苗木



タンザニア・ポレポレクラブは現在キリマンジャロ山の39の村々と協力して、国立公園に取り込まれたかつてのバッファゾーンへの植林を進めていますが、その成果は本記事最上部の写真1、2のように、すでに目に見える結果となって現れています。

ただし残念ながら、この大雨季の植林では旧バッファゾーンに対する植林許可が、国立公園を管理するKINAPA(キリマンジャロ国立公園公社)から出されていません。そのため先日実施された第一次植林は、村のエリア内の裸地で実施されました。この植林には県知事代理、森林局長、郡長など約120人が参加し、計1,200本の苗木が植えられました。またこの植林の模様は現地報道でも取り上げられました(写真4、5)。


今年大雨季の第一次植林のスタート

(写真4)県知事代理の記念植樹から今年大雨季の第一次植林がスタート



大雨季植林の模様を伝える現地報道

(写真5)「キリマンジャロ山で30万本の植林を目指す」
         とのタイトルで大雨季植林の模様を伝える現地報道



現地で大雨季植林は6月一杯まで続けられます。村人たちの生活を支え、また多くの水源がある旧バッファゾーンへの植林については、KINAPAに対し引き続き許可を出すよう求めており、その結果はまもなく出るとの感触を得ています。




(写真) KINAPAによる植林の阻止を報じる現地紙




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 ■「自慢の森」アンケート調査こぼれ話 ('15/2)■


当会では、これまで一生懸命森を守ってきたキリマンジャロ山の村人たちがこれからも息長く自分たちの森を守る取り組みを続けていけるように、彼らの森への思いを形(視覚化)する活動に取り組んでいます(Rafikiプロジェクト)。

この取り組みの一環として、キリマンジャロ山の東南山麓、標高約1,300m〜1,800mにある3つの村、テマ村、キディア村、モヲ村で、村の人たちに彼らにとって大切な木、後世に伝えていきたい木のアンケート調査を実施しました。そこで得られた樹木の回答数は総数で1,858件にもなりました。

現在当会ではそのデータの精査、分析に取り組んでいますが、これがなかなか大変な作業になっています。なぜかというと、たとえば回答にはキリマンジャロ山に暮らしている村人たち(チャガ民族)の母語であるチャガ語での回答もあれば、広く東アフリカで話されている共通言語スワヒリ語での回答あり、たまに英語もあり。それくらいはまだ大したことはありませんが、スペルはめちゃくちゃ、それ以前に判読自体が不可能なもの、回答欄をまったく間違えて書いてきている者など、暗号や謎を一つ一つひもとき、解明していくような根気のいる作業になっています。

なかでも最大の難敵は、チャガ語のバラエティの広さ(地域間相違の大きさ)にあるといえます。隣尾根同士でもう違うチャガ語での単語や言い方になったりします。日本の方言のように東京と大阪くらい離れていればその地域の方言があるのも頷けるのですが、キリマンジャロ山という同じ山の中で、しかも尾根が違ったらもう違うのですから参ります。しかも標準チャガ語というものが存在しないため、すべての言い方が「正統で美しい標準チャガ語」ということになります。これは日本語の国語辞典で言えば、すべての方言を網羅しない限り、それは辞書として機能しないということを意味します。


では具体的にどんなものか、今回のアンケートから一つの樹木を例に取って見てみましょう。 テマ村で"Ihahana"と呼ばれる木があります(学名:Agauria salicifolia、ツツジ科、スワヒリ語名:Myunguvo)。これが別の尾根に行くと、Mhahana/Muona/Mwaana/Mwadai/Mwana/Mwane/Ngwaana/Ngwoana/Yaana等々になります。「これはもしかたしたら同じ木のことを言っているのでは?」と推測がきくものもありますが、もはや同じものとは想像もつかないようなものまであります。そこで資料を総動員して樹木を同定していくという作業が必要になります。しかもテマ村の"Ihahana"(単数形)は複数形では"Mahahana"となり、村人からの回答はその単数形と複数形までもが混在しています。これが上記のすべての言い方で発生するため、同定作業はさらに困難なものとなります。

もう一例、今度は動物の名称で見てみましょう。ディクディク(英語名Dik-dik)という小型のアンテロープがキリマンジャロ山の森にはたくさん棲んでいます。スワヒリ語ではDikidikiあるいはDikudikuといいますが、これはチャガ語では多くの場合Digidigiといいます。ところが村人たちの答えはそれ以外にDick dick/Digi_digi/Digi disi/Dighi disi/Digidisi/Digh dis/Digidido/Digli disi/Dingidingi/Digodigi/Pigli disiといった具合です。明らかにスペルミスと思われるものも中にはあるのですが、はてさてどうしたものか、苦悶の日々は続きます。

しかし、当会ではこれまでこうしたデータを4年をかけて丹念に調査し蓄積してきました。いまようやくその集大成とも言える段階に辿り着いており、まだ現地での最終チェックを受ける必要がありますが、そこで抽出されたデータはすべて村人たちが「これが私たちの森の自慢だ、見てくれ!」と胸を張って言えるものになります。もちろん、最終的にまとめたデータや結果はすべて村人たちに還元し、彼らに役立ててもらいます。

「私たちの自慢の森」。彼らが長く守ってきた森をますます自慢に、誇りに思ってもらえたら。彼ら、彼女たちのそんな森に対する気持ちや思いを側面から支えていくお手伝い。それが当会の大切な、そして最も重要な役割と言えるかも知れません。そう思えば、苦悶の日々もなんのその・・・でしょうか!?



「森の自慢」アンケートの実物

(写真)「森の自慢」アンケートの実物 



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