2014年 植林活動の履歴


 ●2014年分   11月 キリマンジャロ山を取り囲む植林体制の構築
             10月 キリマンジャロ山の森を守る地域連合がついに始動します
              5月 旧緩衝帯での植林拒否に出る政府
                 (キリマンジャロ国立公園公社)
              3月 キリマンジャロ山の森林破壊と植林現場の様子
              1月 キリマンジャロ山の森林減少と気候変化




 ■キリマンジャロ山を取り囲む植林体制の構築 ('14/11)■


これまでも本欄で触れている通り、当会はキリマンジャロ山において、国立公園に取り込まれてしまったかつての住民の生活林を再び地域の手に取り戻し、その管理を地域の住民たち自身が行えるようになることを目指しています。

現在すでに森が返ってきた"その後"に向けた取り組みにも着手しています。生活林の広さは対象としているモシ県だけでも5,120haあり、帯状に広がっている生活林は長さ45km以上にわたっています。

この広大な森を管理するためには、森に隣接するすべての村が協力してその管理に当たる必要があり、そのための基盤を構築していく必要があります。そこで当会は現地カウンターパートのTEACA(Tazania Environmental Action Associaiton)と協力して、これまで重点的に植林を進めてきたキリマンジャロ山の南山麓、東山麓に加え、南西山麓に1箇所拠点苗畑を立ち上げることにしました。まだ場所は確定していませんが、キフニ・ジュー村、ンジャリ村、東ウル区のいずれかの地域に立ち上げる計画です。今後更に南西部での拠点構築を進めていく計画ですが、これによりキリマンジャロ山を広くカバーする植林体制を築くことが出来ます(画像参照)。



苗畑拠点の候補地の位置

(写真)苗畑拠点の候補地の位置 



これまで当会がキリマンジャロ山で取り組んできた植林活動は、カウンターパートのTEACA及び南山麓のテマ村を中心に進めてきましたが、今後この植林体制は規模も質も大きく転換していくことになります。それは(NGOや個別のグループが先導するものではなく)、広域の地域や村々がお互いに連携してキリマンジャロ山の森を全体として守っていくものとなります。主役となるのは地域であり村であり、そして何万という村人たちになります。

当会の拠点苗畑構築は、こうした彼らの取り組みをサポートしていくものになります。




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 ■キリマンジャロ山の森を守る地域連合が
                       ついに始動します ('14/10)■



当会では2010年から、キリマンジャロ山における新たな森林保全・管理の仕組み構築を目指してきました。それは従来の政府のトップダウンによる強権・強圧的な手法では、森林を守ることが出来なかったことによります。

過去の歴史を紐解くと、森林をもっとも良く守れていたのは地域の住民たちであったことが知られており、当会が目指すのも、その地域が主体となって取り組む森林保全・管理です。そのためにはまず森林に沿った村々が森を一体のものとして守っていけるようにするための基盤整備が必要となってきます。

そこでこの5年をかけて取り組んできたのが、モシ県下の森林に沿う37の村々を地域横断的に繋ぐ連合組織KIHACONE(Kilimanjaro Half-mile forest strip Conservation Network)の立ち上げでした。そしてこのたび、そのKIHACONEに対してついに政府認可(地方自治政府)が下りることになりました。このことはKIHACONEが公的に「地域代表」としての地位を得たことを意味しており、政府はその主張を地域の人々の主張として重く受け止める必要が出てきます。

これまでトップダウンによる強権・強圧的な森林管理を受け入れるしかなかった地域の人々が、ボトムアップによる新たな森林保全・管理を目指していくための大きな力を得たことになり、KIHACONEの政府認可はこれまでの取り組みの大きな成果といえます。

今後当会では、KIHACONE、カウンターパートであるTEACA、そして地域の人々ともに、ボトムアップによる新たな森林保全・管理、すなわちキリマンジャロ山での「統一的指針に基づく」、「地域主導による」、「広域の」森林保全・管理の実現というさらに次の段階を目指して取り組んでいきます。



現在の強権的な政策に対し、森林を地域の人々の管理に戻すよう政府に求めるKIHACONEの声明を報じる現地紙「Nipashe」(9/10付)

(写真) 現在の強権的な政策に対し、森林を地域の人々の管理に戻すよう政府に求めるKIHACONEの声明を報じる現地紙「Nipashe」(9/10付)




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■旧緩衝帯での植林拒否に出る政府(キリマンジャロ国立公園公社)  ('14/5)■

この2月から3月にかけて、5年ぶりに植林ワークキャンプが再開されました。開催地は従来のテマ村から離れ、今回が初めてとなるキリマンジャロ東南山麓の標高約1,800mにあるロレ・マレラ村。

当初の予定では、植林は村の上部に広がるかつての緩衝帯(バッファゾーン)の森、現地でハーフマイル・フォレストストリップ(以下HMFSと表記)と呼ばれるエリアで実施することにしていました。ところが今回、このHMFSでの植林が、政府(具体的にはキリマンジャロ国立公園公社、以下KINAPAと表記)によって阻止される事態となりました。

このHMFSは、住民による天然資源の利用と森林保護を両立させるための、まさしく「緩衝帯」としての重要な機能を果たしていた森であり、それゆえ地域住民たちにとっては、彼らの生活を維持するために必要欠くべかざる森でした。また同村のHMFSでは2000年代半ばまで、政府(天然資源観光省)による天然資源管理プログラム(Management of Natural Resources Programme)が実施されており、HMFSは村人たちに個別に分割され、各々による利用と植林が奨励されていました。

ところがタンザニア政府は2005年、森林保護の名のもとにこのHMFSを国立公園に編入し、住民利用の一切の排除に乗り出しました。この措置の後も、TEACAは天然資源観光省からHMFS内での植林許可を得て、ロレ・マレラ村を含む各地域と協力し、同エリアで植林を続けてきました。この植林には、州知事、県知事も参加してきました。

この植林が、今回KINAPAによって阻止されることになったのです。そしてこれはワークキャンプのみならず、旧HMFSにおける植林の全てが対象となるものです。KINAPAは「何人たりとも入ってはならず、何事もしてはならない」という国立公園法を盾に、断固阻止の姿勢を貫徹していますが、ではKINAPAを管轄する天然資源観光省の出した植林許可は何なのかということになります。またそもそも、HMFSの森は、それへの管理強化という手法(国立公園への編入と住民排除はその最たる姿)によっては守れなかったのが過去の歴史であり、それを守れたのは、今回排除された地域自身にその管理が任されていた時代でした。したがって私たちは地域の力をこそ、キリマンジャロ山の、そしてHMFSの森林保全・管理の仕組みの中で活かされるべきであると考え、その実現を目指した取り組みを展開しています。今回の植林ワークキャンプもその一環としての位置づけでした。

HMFSでの植林さえ認めないとする今回のKINAPAの態度は、地域の村々の強い反発を生むことになりました。それは、自然を守るためには(私たちは守れないと考えていますが)そこに長く暮らす地域住民の犠牲を厭わないとする政府の姿勢への反発だといえます。

国立公園が住民の生活の森にまで拡大された背景には、キリマンジャロ山が世界遺産となり、その森の保護への世界的圧力があった事実があります。その意味で実は私たちこそ、このキリマンジャロ山に暮らす人々にもたらされた厄難を取り払い、人と自然の双方に目を向けた、本来あるべき森林管理の実現へと向かわせる力があると考えています。

キリマンジャロ山で起きているこの現実を少しでも多くの方に伝え、知っていただき、現実を変える声の力に繋げていきたいと思っています。




(写真) KINAPAによる植林の阻止を報じる現地紙




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■キリマンジャロ山の森林破壊と植林現場の様子('14/3)■


今年もまもなくタンザニアに大雨季が訪れます。キリマンジャロ山での植林活動も、この大雨季を待って実施されますが、今年その先陣を切るのは、日本人からのボランティアも参加して実施される植林ワークキャンプになります。

ワークキャンプで植林が取り組まれるのは、キリマンジャロ山の東山麓、標高約1,700mにあるロレ・マレラ村です。ここに掲載している衛星画像で、森林にあたる緑色の濃い部分が中央に向かって突き出していますが、その先端部分がロレ・マレラ村との境界になります。



(写真) ロレ・マレラ村に接するキリマンジャロ山の森林の状況


画像の左側に向かって広がっている、やや緑の薄い部分が村になりますが、この緑は村人たちの主食である料理用のプランテンバナナや、あのキリマンジャロコーヒーの畑になります。

そして森林である濃い緑と、村である薄い緑の間に、茶色に帯状の部分が広がっていますが、ここがかつてのバッファゾーンの森、「ハーフマイル・フォレスト・ストリップ」と呼ばれていた場所になります。いまや「森」と呼べるようなものが残っていないことが、衛星画像からも良く見てとれます。

このロレ・マレラ村に限らず、当会がキリマンジャロ山で地域の人々と取り組んでいる植林活動は、このハーフマイル・フォレスト・ストリップに、かつてのような森を取り戻すことを目的としています。

また木を植えるだけでなく、現在キリマンジャロ山でも最も大きなハーフマイル・フォレスト・ストリップが存在している、モシ県下の37の村々と連携して、森林の保全・管理のための新たな仕組み作りに取り組んでいます。



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■キリマンジャロ山の森林減少と気候変化('14/1)■


最近アメリカでの異常寒波のニュースがよく報道されていましたが、ここ日本でも「今冬一番の寒波が・・・」という出だしのニュースがまるで繰り返しでも見るように流されていました。こんなニュースを聞いていると、「本当に地球は温暖化しているの?」と言いたくもなります。

もっともこの寒さ、やはり地球温暖化が影響しているとの報道もあり、北極圏での気温上昇が、それを取り巻くように吹いていたジェット気流を弱めてしまい、そのことで北極圏に閉じこめてられていた寒気が南下してきているせいだとか。そうなると、これからは毎年厳冬ということになるのでしょうか?

一方、私たちの活動とも深い関わりのあるキリマンジャロ山の麓の町モシでは、近年平均気温が上昇しており、「アフリカ一番の暑さを経験」といったショッキングなニュースが流れたのは2012年のことでした(2012年1月25日付タンザニア・デイリーニュース)

ではこの気温の上昇が、地球温暖化によるものなのかと言えば、最近の現地の認識は少し違ってきています。ひところキリマンジャロ山の山頂氷河の消失を中心として、その原因は地球温暖化にあると言われていましたが、どうもその原因は、よりキリマンジャロ山の森林の消失に起因しているようです。この記事の中でも、モシでの気温上昇と降雨の減少は、キリマンジャロ山の森林減少が原因であると述べられています(モシ県都市・環境計画局長アレックス・ポテカ氏および国会議員のグレース・キウェル女史の発言)。

同様に昨年も、モシは気温上昇により平均気温が約40度となり、最高気温は43度に達するだろうと報じられました(2013年4月8日付タンザニア・デイリーニュース)

ここでも気温上昇は、キリマンジャロ山の森林帯における野火、違法な大量伐採等による森林の消失が原因であると報じられています。

現在2月末に開催予定の植林ワークキャンプに向けて、参加者への資料を作成しているのですが、これまでモシの気候については「東京の夏と同じ」と説明してあったのですが、平均気温40度ともなれば、この説明は書き換えなければならないでしょう。

新聞記事も口だけで何もしない政府関係者の発言ばかり取りあげないで、たいして光も当てられない中、キリマンジャロ山の森林を回復しようと、長年地道に植林に取り組んでいる地域の人々の行動をこそ取り上げるべきでしょう。



(写真) キリマンジャロ山の裸地化した斜面で植林に取り組む村の女性たち




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