2013年 植林活動の履歴


 ●2013年分    11月 キリマンジャロを守る地域ネットワーク
             10月 地域主導植林の地域への波及効果
              8月 国立公園内での大雨季植林実施
              5月 水源を守る
              3月 植林後の育林作業




■キリマンジャロを守る地域ネットワーク('13/11)■


タンザニア・ポレポレクラブはカウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Association)と共に、キリマンジャロ山における新たな持続的森林保全・管理の体制構築を目指した活動に取り組んでいます。

その根幹をなすのは、キリマンジャロ山の森林にそって存在する37の村々(Moshi Rural District)を横断的に結ぶネットワークの構築にあります。これは従来のように各村がバラバラに自村に接する森を管理するという方法ではなく、キリマンジャロ山の森林全体を視野に入れ、統一的な戦略のもとに森林全体の保全・管理を図っていこうというものです。それはまた国立公園の拡大による地域住民の排除によって森林を守ろうとする政府とは、対置されるアプローチ(地域主導による森林の保全・管理)だといえます。

2009年以来、このネットワークの立ち上げに全力を挙げて取り組んできましたが、彼らの取り組みがいよいよ本格化しようとしています。各村の環境規則を精査し、一本化を図っていくことを目的として10月末にネットワークが開催した会議が、現地新聞で取り上げれましたので以下にご紹介します。



(写真)11月7日付 現地新聞「Mwananchi」より


キリマンジャロ山の森を取り囲む37カ村で構成されるネットワークが、原生林を取り戻すために、それら地域の住民が守るべき環境諸規則の作成に着手した。

ネットワーク議長ボニフェス・ムバンド氏によれば、ネットワークは各村によって作成された環境諸規則のチェック作業を開始しており、その作業が完了し次第、県評議会法務担当官に提出し、正規規則として県の認可を求めていく方針である。

ムバンド氏はまた、人間による環境破壊行為により失われたキリマンジャロ山の原生林を保護することが、このネットワークの最大の目的であると説明した。そして森林の保護は、いまや消失の危機にある山頂氷河の増大・回復にも寄与していくだろうと続けた。「各村の住民たちがこのネットワークに賛同し、協力し合うようになれば、彼らこそが森林の保全・管理を目的とする国立公園法の守護者となるだろう。それはキリマンジャロ国立公園公社の管轄下にある現行体制から、我々の手に森を取り戻すということだ」と述べた。





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■地域主導植林の地域への波及効果('13/10)■


2011年からキリマンジャロ山の国立公園内で開始された地域のイニシアティブによる植林活動も今年で3年目を迎えました。ルワ村上部に位置する国立公園エリアで口火を切ったこの植林活動は、その後ロレ・マレラ村、ムシリ村へと、キリマンジャロ山の東南山麓から東山麓に向けて拡大展開しています。

この植林では、初年度は植林用苗木の全数約1万6千本をTEACAが育苗し、植林地まで搬出しました。2年目は地域での苗木の自己調達を目指して、ルワおよびロレ・マレラの2カ村に苗畑を立ち上げました。ただこの時点ではまだ育苗数が少なく、植林用の苗木はまだTEACAからの供給に頼っていました。そして3年目となった今年から、ルワ村では約2千5百本の苗木を、植林用に自村の苗畑から供給できるようになりました。残念ながらロレ・マレラ村は水不足で苗木の確保が出来ませんでしたが、今年はこれまでのところ雨に恵まれており、来年の植林からは、自己調達による苗木が地域での植林に寄与できるようになるでしょう。さらにムシリ村でも苗畑を立ち上げ、地域主導による植林の体制を着々と築きつつあります。

この地域主導による植林は、たんに「森を守る」というだけでなく、「誰が森を守ることが出来るのか」、「誰が森を守るのか」といった強い意識付けを、地域の人々の中に生んでいるように思います。

たとえばこれまで私たちが長く植林に協力してきたテマ村では、「森を守りたい」という村人たちの強い決意と意志が、彼らの20年にも及ぶ植林活動を支えてきました。いまはそれに先の2つが加わったというのが実感です。「森を守る」主体、「森を守れる」主役は誰なのか、そのことをはっきり自覚して取り組んでいる、その違いを、地域主導植林は生んだように思います。

もちろんこれは、森は村人たちが守るべきだということではありません。キリマンジャロ山の森は、それに関わるすべてのステークホルダーがお互いの得意を活かし、応分の責任を果たし合う、協調と協働によってしか守れないと考えています。そのための仕組みを作らなければなりません。

少し話がそれましたが、地域の人々の主体、主役としての気概は、地域に新たな苗畑が立ち上がるという形でも現れています。いつの間にかあちらに一つ、こちらに一つといった感じで、村人たちが立ち上げたものです。「育苗樹種や数の調整が必要になるな」、「長く続くかな」といった心配もあるのですが、私たちはこうした村人たちの変化や努力を大切にし、共に力を合わせ、前進していきたいと思っています。



(写真)ロレ・マレラ村に村人が立ち上げた苗畑。かなり気合いが入ってマス。





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■国立公園内での大雨季植林実施('13/8)■


タンザニアでは3月中旬から6月初旬にかけての大雨季シーズンが終わりましたが、現地からは大雨季の取り組まれた植林の情報が続々と届いています。 キリマンジャロ山では、自然保護(森林保全)を目的とした国立公園の拡大と、地域住民の生活を無視したそうした強制的な手法との相克が未だに続いています。(写真1)


(写真1)国立公園での植林に集まってきた村人たち。


私たちは現地カウンターパートTEACA(Tanzania Environmetanl Action Associaition)とともに、この問題の解決に向け、キリマンジャロ山における新たな森林保全・管理の仕組み作りに取り組んでいます。2011年以来、今回の大雨季植林で3回目となる国立公園内での「地域主導植林」も、この新たな森林保全・管理の仕組み作りに向けた取り組みの一環であり、現地でもっとも力を入れている取り組みの一つです。

当初は国立公園に取り込まれた旧バッファゾーン(地域住民による資源利用が許されていた緩衝帯)の完全掌握を目指していたキリマンジャロ国立公園公社(KINAPA)に様々な圧力や横やりを入れられましたが、現在では、州知事も地域と住民たちの実力を認めるところとなり、今年大雨季の地域主導植林に自ら出向いてきました(写真2)。


(写真2)中央で立って話しているのが、レオニダス・ガマ、キリマンジャロ州知事。


もっとも、行政による地域への評価は、地域を都合の良い手足と考える懸念もあり、手放しで喜んでばかりはいられないのですが、それでも私たちが地域の人々と共に目指している「地域主導によるキリマンジャロ山の森林保全・管理」へと向けて、着実に前進しています。そして今年度には、36の村々をつないだ、共通の森林利用・管理のルール作りに着手する計画です。ルール作りはそう簡単なことではないと考えていますが、1年程度をかけて、じっくりと練り上げていきたいと考えています。




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■水源を守る('13/5)■


タンザニア・ポレポレクラブが協力しているキリマンジャロ山での村落植林活動では、最近はもっぱら、国立公園に取り込まれた旧ハーフマイル・フォレスト・ストリップ(※1)での取り組みが話題の中心となっている。それが住民生活を顧みぬ森林保護戦略(国立公園化)といった、国家レベルでの問題への対応であることや、植林の規模からも、どうしてもそちらに軸足が置かれることになる。しかし森を守り、ひいては自分たちの生活を守ろうという現地での植林の取り組みは、何も国立公園の中だけに限られたものではない。また植林の規模だけが、その取り組みの重要性を表す唯一の指標でもない。

私たちが長く活動しているテマ村に限らず、キリマンジャロ山における降雨の減少は、様々な資料や関係者の発言からも明らかである。そのため村では生活水や伝統水路に使っている泉や沢が涸れたり、水量が激減するなど大きな影響が出ている。(※2)(写真1)



(写真1)水源近くに作られた、飲料水用のIntake。10年ほど前までは水を満々とたたえていたが、いまではこのIntakeでいつまで水が確保できるか、分からなくなってきている。


彼らはそうした自分たちを取り巻く環境の変化を脅威と感じ、いまから20年も前から植林に取り組み始めた。彼らが目指したのは、森の中に広がる裸地すべてに植林し、木々を取り戻していくことである。山奥深くにある水源地を守ることはとくに重要で、水源近くに空き地を見つけては、1本、2本と苗木を植えている。(写真2、3)


(写真2)村を出発して山道を歩くこと3時間ほど、テマ村の水源地の一つはこんな場所にある。



(写真3)水源地近くの空き地に村人によって植えられた木(写真手前側)。


キリマンジャロ山に暮らすチャガ民族の人々にとって、木は昔から水と密接なつながりを持っていたともいえる。山に網の目のように張り巡らされた伝統水路を支える溜池"Nduwa"の脇には、必ずといって良いほど見上げるような大木が植わっている(写真4)。樹種に特定の傾向が見られることから(※3)、おそらく人為的に植えられたものと推察できる。

人が何人も手を繋がないと一周できないようなその大木の根は、Nduwaの土手の土を、まるで抱きかかえるように包み込んでいる。土手が崩れるのを防いでいるのだ。中にはその根の下に水路を通し、Nduwaの水門としているものまである。水門の決壊も防いでいるわけだ。(写真5)


(写真4)Nduwaの脇にそびえ立つ大木。人と比べるとその大きさがよく分かる。



(写真5)その木の下を通る水路。チャガの人々の水路建設に
おける高い技術と、先人の知恵を見る思いがする。


古の人がそうしたように、いま彼らが植えている1本、1本の苗木も、やがてまた見上げるような大木となって育っていくことだろう。

そんな彼らを見ていると、森と人との共生・共存が、自然と人間の隔離によって為されようとしている現地の現実を、皮肉と思わずにはいられない。彼らのように、森と人との強い繋がりの中にこそ、息長い共生・共存を探る道と知恵があるのではないだろうか。

(※1)かつて森林保護区に属しつつも、山に暮らす住民が日常のニーズを満たすため、必要最低限の森林資源利用が許されていたバッファゾーン(緩衝帯)の森のこと。2005年にキリマンジャロ国立公園に取り込まれ、地域住民の利用については規定がない状態となっている。
(※2)例えば2009年度国会において、水・灌漑省(当時)副大臣は、テマ村の下流に位置するコリニ・クシニ村では、確保できる水量が38%減少したことを報告している。
(※3) テマ村近辺では、アカネ科のMitragyna rubrostipulataが多い。





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■植林後の育林作業('13/3)■


「植林活動」というと、読んで字の如く"木を植えている"姿が連想されますが、実際は苗木を植えたら植えっぱなしの状態で木が育ってくれることは、なかなかありません。

植林後の植林地には場所にもよりますが、雑草(というよりブッシュ)が生い茂ってきて、苗木をあっという間に覆ってしまいます。そうなると苗木には日光が届かなくなり、枯れてしまいます。そのような場所では、苗木がブッシュの背丈を超すまでの数年間、人海戦術で刈り払い作業を続ける必要があります。

ようやく苗木がブッシュの背丈を超すと、今度は良い木に育つよう、枝打ち作業が始まります。とくに植林樹種の一つであるピナス・パトゥラ(マツ科)は、根元からもどんどん横枝を出してくるので、この枝打ち作業も大変です。もっとも作業によって出た枝などの材は、各家庭で煮炊きに使う薪として重宝するので、ママたちが喜んで持って帰ります。

そしてさらに木が大きくなって、樹冠が密閉してくると、最後に間伐作業を行います。間伐をしてやらないと、それぞれの木はやせ細ったような状態となり、枝葉もとても窮屈でか弱いものとなってしまいます。間伐をしてやった後の木々は、その後はとてものびのびと元気よく育ってくれます。実はキリマンジャロ山で国立公園が拡張された後、この刈り払いや枝打ち作業が禁止されてしまい、既存の植林地でもダメージを被る場所が出てきています。木だけ植えて放置すれば良いという考えは、見直してもらう必要があるといえます。

ところで先日、キリマンジャロ山の中でも激しく森林が失われ、ほぼ丸裸の状態となっている尾根ロレ・ヒル(Vunjo地区)の植林地で、地域住民たちによって枝打ち作業が取り組まれました(写真1)。この植林地は住民の居住エリアにあるため、国立公園による上記のような制約を受けません。植林を始めた頃(写真2)と比べると、ずいぶん木が育ってきている様子がお分かりいただけるかと思います。

ロレ・ヒルの尾根は森林が失われてから既に数十年が経過しており、土壌の多くが失われ、その下の岩が露出してしまうような状態となっています(写真3)。一度に大量に植林することは出来ず、少しずつ植え、確実に根付かせていくことが必要とされています。尾根すべてにかつてのような緑を取り戻すためには、木が失われてから経過したのと同じくらいの年月が必要になるでしょう。失うことは本当に容易く、それを取り戻すことは気が遠くなるほど大変なことを、実感せずにはいられない現場だと思います。



 写真1



 写真2



 写真3





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