2011年 植林活動の履歴


 ●2011年  10月 現地調査報告〜地域主導の森林管理実現に向けて〜
           6月 国立公園内での地域主導による植林ついに始まる
           4月 既植林地の育林管理作業を実施



■現地調査報告〜地域主導の森林管理実現に向けて〜('11/10)■

この7月末〜9月初旬にかけて、タンザニアでの事業調査を実施した。タンザニアの事業年度は7月から翌年の6月までとなっており、例年このタイミングで前年度の事業評価と新年度の事業計画及び予算の立案を実施している。

現在現地において最重要となっている課題は、主力活動地であるキリマンジャロ山において実施された"国立公園の領域拡大"、すなわち森林保護を目的とした、バッファゾーンの森(※)からの、住民排除問題の解決にある。過去の失敗の歴史からも、こうした一方的な管理強化という手法では、キリマンジャロ山の森を守れないことは明らかである。

 (※) 地域住民が生活の維持に最低限必要となる森林資源の利用が認められた森林エリア。

タンザニア・ポレポレクラブではこの問題解決のため、(1)法律や条例という"政策・制度面でのアプローチ"、(2)地域主導による森林管理という"手法・仕組み面でのアプローチ"、そして(3)それに取り組もうとする地域住民の自発性・内発的意思を側面から支えていく"ソフト面でのアプローチ"を3本柱とした取り組みを行っている。

これら3本の柱について、少しずつではあるが現地で確実な成果に結びつきつつある。

昨年度は環境保全事業(植林事業)において、排除された地域住民たち自身の手による、国立公園内での植林活動の復活(政府承認)に漕ぎ着くことができた。これは政府側と協議を重ね、地域住民の主体的関与がなければ、キリマンジャロ山の森は守れないということへの理解に繋げられたたことが大きい。

この結果、昨年度キリマンジャロ山で協力しているそれぞれの地域や苗畑グループによって、下表にまとめた植林が実現した。

単位;本
  植   林 配 付 販 売 合 計
テ マ 村  2,334   1,570   945  4,849
キディア村  3,176      0 1,912  5,088
モ ヲ 村  1,000 国立公園内植林    0    0  1,000
フォイェニ女性グループ   300      0   539   839
キランガ女性グループ   200     30    0   230
ル ワ 村 11,000 国立公園内植林    0    0 11,000
ロレ・マレラ村  5,538 国立公園内植林    0    0  5,538
マ ヌ 村   500     120    0   620
リアタ小学校 18,062      0    0 18,062
半乾燥養蜂事業地  5,000      0    0  5,000
   合   計 47,110   1,720 3,396 52,226



村々との協議では、地域主導による森林管理を着実に定着させていくためにも、今後も国立公園内での植林に協力して取り組んでいくことが重要との認識で一致した。

さらに今年度は植林という実行面だけでなく、住民たち自身が新たな政策や制度の構築に関与していけるよう、その理解を助けるための集中研修の実現に力を注いていくつもりである。

一方、キリマンジャロ山の森林減少に歯止めがかからないことについては、確かに政策や制度による問題も大きいが、そうした内的要因がすべてとは言い切れない側面もある。これまでキリマンジャロ山では外部から持ち込まれた様々なプロジェクト、たとえば森林の持続的管理を目的としたものなどが、「住民参加」の名の下に実施されてきている。しかしそれらの多くが、残念ながら持続的とは言い難い結果となっている。現場を見ていると、そうしたプロジェクトが結局は、外部者が考えた「出来合いのプロジェクト」や「枠組み」をたんに地域住民に当てはめただけのもので、それがプロジェクトが成功しないもう一つの大きな要因となっているように思える。

地域住民の意思を優先させ、彼ら自身の協議と合意の積み重ねによって、本当にゼロベースから取り組みを形成していくというアプローチは、残念ながらほとんど聞いたことがない。キリマンジャロ山の森林保全、管理における過去の失敗は、外部者として関わる私たちにそうした姿勢を求めているといえるだろう。

外からプロジェクトを持ち込むのではなく、内からの地域の動きを支援し、またそこでの取り組みを後押しするようなものに、国の森林政策や制度を変えていくという方向での協力が、私たちには必要とされている。ゼロから積み上げていくことは、出来合いのものに比べ時間ばかりがかかりそうだが、結局はそれが地域(キリマンジャロ山)に根付く、持続的な森林管理の実現に至る一番の近道だと思える。

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■ 国立公園内での地域主導による植林ついに始まる ('11/6) ■


 タンザニアでは、4月から6月にかけての大雨季にあわせ、各地で一斉に植林が実施された。そしてこの大雨季植林では、キリマンジャロ山の国立公園内(かつて住民の利用が認められていたハーフマイル・フォレスト・ストリップ)における、「地域(=村)主導」による植林がついに実行に移された。

 これはキリマンジャロ山の森を、過去の管理強化(住民の追い出し)による森林政策の失敗の反省に立ち、地域のイニシアティブによって持続的に保全、管理していくことを目指してきた私たちの取り組みにとって、大きな前進といえる。これまでキリマンジャロ山の村々、そして中央・州・県の政府各レベルと地道に続けてきた協議の積み重ねと、地域主導に対する理解の深まりによって、ようやく実現に至ったものだ。

 写真1:地域主導植林について村人たちと協議する


 今回植林が取り組まれた主力地は、キリマンジャロ東南山麓、標高約1,700mにあるルワ村とロレ・マレラ村の2ヶ所。まず最初にルワ村での植林が口火を切ったが、ここでの植林には、県知事、県統括官、州水源涵養森林局、県森林局ほか、ルワ村以外からも4村が参加。NGO2団体、神学校も参加した。何より、地域から参加した村人の数は723名に達した。この数はそのまま、"自分たちの森は自分たちで守る"という、彼らの強い思いの表れだと言って良いだろう。

 この植林は多くのメディアからも注目されるところとなり、テレビ局1社、ラジオ局3社、新聞社2紙が取材に訪れた。期間中植林されたのは、Grevillea Robusta(5,500本)、Pinus Patula(5,500本)、Macaranga Kilimandscharica(500本)、Ocotea Usambarensis(400本)、Cedrela Odorata(500本)、挿し木のMitragyna Rubrostipulata(1,000本)の合計13,400本であった。

 ルワ村に続いて、ロレ・マレラ村でも地域主導植林が実施された。こちらでの植林にも村人384人、森林官8名、地元の小学校2校、ロータリークラブから地域代表を含む3名が参加した。植林樹種はPinus Patula(3,000本)、Croton Macrostachys(200本)、Cedrela Odorata(700本)、Trema Orentalis(100本)の合計4,000本であった。

 現地ではいまも植林が続いている。ロレ・マレラ村に続いて、オールドモシのキディア村が植林に入っており、その後テマ村、モヲ村と続く予定である。この大雨季の植林総数は2万本から2万5千本に達するだろう。


 写真2:植林前のルワ村植林地の様子


 写真3:植林に集まってきたルワ村の村人たち


 写真4:ルワ村での植林の模様


 写真5:植林前のロレ・マレラ村植林地の様子


 写真6:植林に集まってきたロレ・マレラ村の村人たち


 写真7:ロレ・マレラ村での植林の模様



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■ 既植林地の育林管理作業を実施 ('11/4) ■


  
 写真1:ブッシュに覆われてしまった植林地    写真2:刈り払い途中。少しずつ木が姿を現す


 タンザニア北部のキリマンジャロ山麓では、3月中旬から6月にかけてが本格的な大雨季になります。今年の大雨季植林は、現在進めている地域(=村)主導による植林活動を、多くの村々の参加のもとに実施する、初の試みになります。植林総数は2万本を超える見込みで、一部の地域ではこの植林がすでに始まりました。実施状況については、植林が完了した段階で、またご報告したいと思います。

 ところで植林というと、私たちは苗木を植えることだけを考えがちですが、実際に森林を取り戻すためには、植林地での継続的な育林・管理作業が必要になります。たとえば植えた苗木は100%根付くわけではありません。場所や条件にもよりますが、キリマンジャロ山の場合、裸地化した荒廃地での新規植林の場合、植林後1年目の活着率は60%程度しかありません。枯れてしまった場所には、苗木を補植しなければなりません。

 またこれも場所によりますが、植林地は放っておくとブッシュ(灌木)や雑草が繁茂し、苗木を全部覆い尽くしてしまいます。覆われた苗木はほとんどが枯れてしまいます。そこで植林後5年間程度は、毎年毎年こうしたブッシュなどの刈り払い作業を続けていく必要があります。村人たちのこうした地道な取り組みによって、失われた森ははじめて再生します。

 大雨季を迎え、キリマンジャロ山のテマ村では、村人たちがこの刈り払い作業も開始しました。その作業に私たちも一緒に取り組んできました。場所は地元でレカラ・マムンダと呼ばれる植林地。この1年ですっかりブッシュに覆われてしまっています(写真1)。村の人たちは1週間ごとのローテーションを決めて、約1ケ月にわたってこの刈り払いに取り組みました。


写真3:かなり刈り払いが進む。植林地全体の見通しがきくようになる


 作業には村の男性、女性、そして子どもたちも一緒になって取り組んでいます。1回に参加するのは30人ほどですが、今回多い時には80人を超す村人たちが力を合わせて取り組みました。作業にはクワと、"パンガ"と呼ばれる山刀、そして刈り払ったブッシュをどけるための1.5mほどの木の棒を使います。

 はじめはブッシュに覆われていてどこにあるかさえ分かりづらかった木々が、作業を進めていくと、少しずつ姿を現してきます(写真2、3)。植えられているのはグレビリア・ロブスタ(ヤマモガシ科)と呼ばれる木で、村人たちが最も好んで植えたがる木です。なぜなら、この木は土壌の水分を良く保ち、枝や葉は家畜の餌になり、またそれらを牛糞と混ぜて発酵させると、畑の良い堆肥にもなるからです。

 刈り払いが終わった後の植林地には、何列にも植わった木々が整然と並び、見違えるようになります(写真4)。まだ「林」と呼ぶには気が早い段階ですが、木の下ではもう作業で疲れた体を休めることができるほど。あと10年すれば、ここには立派な森が蘇ることになります。


写真4:刈り払い作業が終了した植林地




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