2008年 植林活動の履歴


 ●2008年   12月 半乾燥地で、放牧牛侵入防止のための植林実施
           11月 森林にのしかかる圧力
            7月 2007年度 植林事業報告
            6月 キリマンジャロ山麓での大雨期植林本格化
            4月 育苗、主力樹種の発芽不良により打撃
            2月 2007年は雨量再び失速
  


■ 半乾燥地で、放牧牛侵入防止のための植林実施 ('08/12)■


キリマンジャロ山の東方には半乾燥地が広がっている。山の中では最大2千ミリを超す雨量があるが、山を下りたモシの町では800ミリ、この半乾燥地では500ミリを切る雨量まで低下する(年間降雨量500ミリは、現地の主食作物であるメイズ=白トウモロコシの生育限界)。

この半乾燥地にあるリアタ小学校では、雨量の少ない地域でも緑葉野菜が収穫できるように、麻袋を使った省水農法を実施している(写真1)。しかし、付近一帯は牛やヤギの放牧ルートとなっており、学校の休みの日にはこれらの牛やヤギが大量に侵入し、せっかく子どもたちが育てた野菜を食べてしまうのが悩みの種であった。(写真2)

リアタ小学校で取り組まれている省水農法 やってきました牛とヤギ!
     (写真1) リアタ小の省水農法       (写真2)  やってきました牛とヤギ!

そこでTEACAとリアタ小学校では協力して、こうした家畜たちが侵入しないように、生け垣を育てることにした。植えるのはPithecellobium dulce(豆科:キンキジュ)という乾燥に強い木で、枝にトゲがあるため、家畜は容易に侵入が出来ない。この木を学校をぐるりと取り囲むように、約2万本密植することにした。

学校ではさっそく、校庭の周りに苗木を植えるための溝を掘り始めている(写真3)。Pithecellobium dulceは生長も比較的早いが、育つまでの間、学校では省水農法の袋の周りにしっかりした柵を設け、野菜を守ることにしている。

苗木を植えるために校庭の周りに掘られた溝
(写真3) 苗木を植えるために校庭の周りに掘られた溝

リアタ小学校では今後省水農法による野菜栽培を増やし、子どもたちに乾燥地でどうやったら野菜を得られるようになるか、しっかり教えていくことにしている。



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■ 森林にのしかかる圧力('08/11)■


森林を失ったキルア地区の尾根   キルア地区に育つ植林されたPinus Patula(マツ科)
写真1                           写真2

上の2枚の写真は、私たちが植林活動に取り組んでいる、キリマンジャロ東南山麓キルア地区の様子を写したものだ。かつてあった森林はすっかり剥ぎ取られてしまい、いまではむき出しになった山肌が無惨な姿をさらしている(写真1)。しかしここでもようやく植えた苗木が育ちつつある。表土をほとんど失ってしまっているため生長がかなり抑圧されているが、やっと背丈を超えるところまで育ってくれた(写真2)。

ところがいま、こうした植林地にまで伐採の圧力がかかりつつある。背景にあるのは、世界を揺るがしている原油価格の高騰と、それに由来するありとあらゆる生活物資の値上がりである。

最近植林地に何者かが入り込み、育った木が伐採されてしまうケースが出始めている。木は切って売るだけで、手っ取り早い現金収入をもたらしてくれるからだ。ただ生えている木を切れば良いのだから元手もかからず、植林地などはそれこそ「宝の山」に見えるに違いない。

侵入者は村の外から夜陰に紛れてやって来る。そうして村人たちに見つからないように森に隠れ、数日間をかけて切り倒した木を板にまで引いてしまう。そしてまた夜陰に紛れて引いた板を持ち出すのだ。もちろん少ないとはいえ、村人の中にも木を切る者が出てきている。

こうした状況が木を植え続けてきた村人たちの間に、どうしようもない不満の渦となって広がりつつある。つまり「なぜ自然を守ろうと努力する者が馬鹿を見て、その結果を踏みにじる者が得をするのか。ならば自然を守る努力など無駄ではないか、やらない方がよい」というものだ。

これまで村人たちが、一生懸命植林によって守ってきた水源は森林保護区の中にあり、村人にも村にも、侵入者を取り締まる権限は与えられていない。それをすべき役人は賄賂をもらい、見て見ぬふりのお粗末さ。先の村人たちのような感情は、あまりに当然だと言える。

一気に押し寄せた生活苦は、村人たちの日常生活にとってもちろん破壊的であるが、世界中の森林にどれほどの伐採圧力となってのしかかっていることだろうか。植林地の木を切り倒すなどは、これまでに無かったことである。

村人たちが納得できる具体的な対策を講じられなければ、いまの状況は、長年の村人たちの植林への熱意を根本から打ち砕きかねないほど危険なものだ。




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■ 2007年度 植林事業報告('08/7) ■




1.苗畑グループ支援
 2007年度もタンザニアの3州(キリマンジャロ州/アルーシャ州/ダルエスサラーム州、図1)において、計11カ所の苗畑グループ(表1)に対する村落植林活動協力を継続実施した。  ここ数年、種子調達しているNational Seed Bank(モロゴロ)の種子品質が悪く、低発芽率によって各苗畑グループの育苗計画に大きな支障を来している。2007年度の育苗総数は約15万本であったが、これは計画の70%程度に留まるものである。今後何らかの手だてを講じないと毎年苦しめられることになりそうであり、対応に苦慮している。

各苗畑グループによって取り組まれた植林は、以下の通りとなっている。

・TEACA、Olimo、Foyeni、Kiranga苗畑
 キリマンジャロ山の裸地化した森林保護区への森林回復のための植林
・Fumvuhu、Kidia苗畑
 キリマンジャロ山麓の住民の生活圏における土地利用者植林
・Magereza、Sambarai、Msufini苗畑
 半乾燥地及び地元中学校との共同植林
・Meru苗畑グループ
 アルーシャ州メルー山麓において、Mbolele、Urisho、Songoro、Mwangazaの4グループ共同に  よる、ソンゴロ丘の森林回復のための植林。

・ダルエスサラーム苗畑
 テゲタ市マブウェパンデ植林地に対する、受託植林。


2.オールドモシ土地利用者植林
尾根全体が丸裸となっているオールドモシ地区は、キリマンジャロ山麓における植林活動の主力地となっている。同地における植林では、地元のFumvuhu小学校苗畑とKidia女性グループ苗畑が、協力して苗木生産に取り組んでいる。 生活圏での植林となるオールドモシでは、近隣住民の積極的な関与が欠かせない。2007年度はこれまでの苗畑グループ主導による植林から、従来以上に村(キディア村)との連携を強め、徐々に「村の取り組み」としての植林活動に移管する方向性を打ち出した。  植林そのものも村側にとりまとめ役を担ってもらい、出稼ぎなど、不在利用者の存在による歯抜け植林の防止などに、きめ細かく対応した。  但し土地利用者植林でも種子の発芽不良は大きく影響し、村人へのニーズ調査に基づく苗木供給が出来ず、大幅な樹種変更が必要となった。

3.バガモヨ新規受託植林事業調査
ダルエスサラーム州マブウェパンデ植林地での受託植林事業は、今後補植を除いて2007年度でほぼ完了した。  1997年にテゲタ市に苗畑を開設して以来、足かけ10年にわたって運営されてきたダルエスサラーム苗畑は、これで基本的にその役目を終えることになる。  マブウェパンデでの植林は1998年からの実施であるが、その間に植えられたチークを主力とする苗木は全部で10万本近くになる。大きなものはすでに樹高10m近くに育っている。 2007年度は、ダルエスサラームを拠点とした事業継続の可能性を見極めるため、隣のプワニ州バガモヨにおける新規植林事業の形成調査を実施した。  調査対象としたマクルンゲ植林地は、総面積4,454ha。このうち2,584haが植林の対象となる。付近は牛などの放牧エリアと重なっており、植えた苗木が根付くか、植林後の管理をどうするかなどの難題は多い。  事業実施に当たっては、TEACAは苗木供給と植林指導を分担とする方向性で詰めているが、契約面での調整がついておらず、2007年度はそれ以上の具体的進展は図れなかった。

4.苗畑グループ対象スタディツアー
2007年度はノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんの主宰する、ケニアの「グリーン・ベルト・ムーブメント」を訪問する予定であった。しかし同国の大統領選後に発生した暴動のため、残念ながら実施を見送らざるを得なかった。

5.パソコン研修
2007年度もTEACAリーダーに対するパソコン研修を継続実施した。今回は会計担当のムチャロ氏、プロジェクト担当のンジャウ氏の2名が受講し、これで2006年度に研修を終えている副代表のムチャロ氏と合わせ、リーダー5名のうち3名までがパソコンの基本操作を学んだことになる。これまで現地からのメールは、手書きしたものをネットカフェのスタッフに打ち込んでもらっていたが、最近ではワードを使って自分たちで送ってくるようになった。

6.村人を対象とした植林ワークショップ実施
キリマンジャロ山麓のテマ村において、これまでの20年間の植林活動を概観するワークショップを、村人を対象に開催した(参加40名)。 TEACAにはこれまで植林活動の普及、啓蒙にあたって有用なツールが不足していたが、今回パネル約20枚を整備し、植林による植林地の変化など、村人自身が植林活動の成果と効果を分かりやすく理解できるようにした。




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■ キリマンジャロ山麓での大雨期植林本格化('08/6) ■

雨量が心配されていた今年の大雨期(3月〜6月)であるが、3月後半から土砂降りのような雨が降り続いている。4月時点ですでに昨年1年間の雨量を超えてしまった。この雨を受けて、現地では大雨期植林及び各苗畑での村人への苗木配布が本格化している。


村人に配布される苗木(キディア女性グループ苗畑)
キリマンジャロ山麓では昨年は各地で土砂崩れが頻発し、私たちの活動拠点であるテマ村でも村の道路が各所で寸断される事態となった。そこで村では、この大雨期に村の道路沿い及び土砂崩れ跡への植林を積極的に進めている。


   村の道路沿いで植林に取り組む村人たち       土砂崩れ跡での植林作業
現地からは、「こっちはすごい雨だけど、今日で3日連続で植林頑張ってるぞ!」といった声が入ってきている。キリマンジャロ山麓では、大雨期植林は6月一杯、雨が続けば7月初旬まで続けられる予定である。







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■ 育苗、主力樹種の発芽不良により打撃 ('08/4) ■


タンザニアにおける2007年度(現地年度ベースでは2008年6月まで)の苗木生産計画は、総数247,582本であるが、これに対して1月末現在での育苗実績は117,302本と、計画比47.4%に留まっている。

これは2007年度の主力育苗樹種であるGrevillea robustaとDovialis caffra(両樹種で育苗計画全体の54.2%を占める)が、調達した種子の発芽不良により、極めて低調な成績となっているためである(両樹種<計画>134,275本→<実績>37,058本)。

Grevillea robustaについては種子はタンザニアのNational Seed Bank(国立の研究機関)から調達したが、同機関での種子の品質管理に問題があり、これが発芽不良に繋がっている。

一方Dovialis caffraについては、種子採集の遅れが播種の遅れに繋がり、そのことが発芽率の低下に繋がったと考えられる。もともと育苗の難しい樹種であるが、同樹種の育苗については種子調達を含め育苗体制を根本的に見直す必要があると思われる。



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■ 2007年は雨量再び失速 ('08/2) ■


キリマンジャロ州モシ県の降雨量
キリマンジャロ州モシ県の降雨量


雨量回復が期待された2007年は、結局再度の降雨不足の年となってしまった。上のグラフは、キリマンジャロ山の麓にあるモシの町の降雨量推移('07年は11月現在)である。タンザニアでは、2003年〜2005年にかけて、3年連続して雨量不足に見舞われたが、2007年はそれに匹敵する少なさである。モシ県ではそれでも一番ひどかった2005年を上回ったが、私たちが植林に取り組んでいるキリマンジャロ山のテマ村では、その2005年を下回る結果となった。

このため各地の苗畑グループでも育苗に苦労している。水不足から発芽不良を招いており、今年度の計画である約25万本の苗木生産の達成は、相当困難な状況となりつつある。

小学校の苗畑でも、学校の休暇中も子どもたちが学校に出てきて、苗木に水をあげている(写真下)。ただこれも、頼みの水源が涸れてしまうと枯れていく苗木を前になす術がなくなってしまう。

フンブフ小学校苗畑
苗畑で苗木に水をやる子どもたち(フンブフ小学校)


逆に小雨期植林(11月〜12月)を目指して育てていた苗木は、植えることが出来ずに苗畑で虚しく徒長苗(ヒョロヒョロと伸びてしまった苗)となってしまう。

こうした状況から、TEACAではキリマンジャロ山麓テマ村のオリモ小学校苗畑と、キディア村のキディア女性グループ苗畑に対して、水の枯渇に備え、それぞれ500リットルと1000リットルの給水タンクを設置した。






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