2017年 生活改善事業の活動履歴


 ●2017年
   11月  小学校へのトイレ建設
   10月  診療所の建設進む
    9月  伝統水路の補修
    6月  学校給食用大型カマドの設置、頓挫
    5月  彼女たちの辞書に「あきらめる」の文字はない!?
    4月  コーヒー苗木の接ぎ木研修のフォローアップを実施
    1月  新たな村で改良カマドの普及開始!


■小学校へのトイレ建設('17/11)■


キライ小学校

ルワ村キライ小学校


タンザニアには、いまでもまだトイレがない学校があります。キリマンジャロ東山麓のルワ村にあるキライ小学校(生徒数340人)もそんな学校の一つです。

この学校には水もなく、生徒が毎日家から水を持ってくる必要がありました。そこで当会はこれまでに同校への給水パイプラインの敷設を支援しましたが、次に出されたのが学校へのトイレ設置の要望でした。いまは休み時間になると、生徒たちは蜘蛛の子を散らすように学校の敷地周りにある茂みや山の斜面に行って用を足しています。不衛生であることは言うまでもありませんが、とくに斜面の下には川が流れており、地域的にも問題が大きいと言えました。

どこの学校もそうですが、資金に余力はなく、公立の小学校であることを考えれば、このような問題は本来政府が対応して然るべきでしょう。しかし学校に肝心の教師、そして机やイスすら足りない状況で、政府の手もトイレまで回ってきません。ちなみにキライ小学校では、340人の生徒に対して教師がたった3人しかいません。そしてキリマンジャロ山の少なからぬ小学校が同じような教師不足にあえいでいます。

これは2000年代初頭から、初等教育の就学率向上を強力に推し進めた政策の反動ともいえますが、たとえ就学率は向上しても、教育の質の低下は避けようがありません。あれもこれもとはいかないでしょうが、現場の先生方の悲鳴を聞くと、こちらもつらい気持ちになります。

話を元に戻し、キライ小学校に建設するトイレですが、現地は普通はいわゆるドッポン式(自然地下浸透)ですが、給水パイプラインの水が利用できるため、水洗式を採用することにしました。排出される屎尿はいったん地下に埋設されたセプティックタンクにためられ、発酵滅菌した上で地下深くの土層に浸透させる方式です。

来年初頭には完成する見込みで、「トイレがなくて子どもが学校に行きたがらない」という地域の親たちの悩みもこれで解消できるでしょう。

建設中のトイレ

キライ小学校で建設中のトイレ

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■診療所の建設進む('17/10)■


テマ村で建設が進む診療所

写真1: テマ村で建設が進む診療所


キリマンジャロ東南山麓の標高約1,800mにあるテマ村で、村に暮らす約4千人の村人たちが長年にわたって待ち続けた新しい診療所の建設が進んでいます。現在ある診療所は標高約1,500mほどの場所にありますが、老朽化が激しいうえに規模も十分でなく、村人たちが安心して治療を受けられなくなってすでに久しくなっています。

こうした状況から、村では新しい診療所の建設が長年の懸案となっていました。当会へも建設支援に対する要望が出されていましたが、山麓での地域植林とその組織基盤強化に重点的に取り組まなければならず、十分な支援をできる状況ではありませんでした。当会からは用地取得の完了を前提として、基礎工事に必要となる石材の支援を第一次支援として実施しました(写真2〜4)。

建設に必要となる石材は、このように山から少しずつ切り出していきます

写真2: 建設に必要となる石材は、このように山から少しずつ切り出していきます

道に沿って並べられた石材

写真3: 道に沿って並べられた石材

基礎工事がだいぶ進みました

写真4: 基礎工事がだいぶ進みました


村では基礎工事後も建設を続けるため、いまは都市部で暮らしている村出身の成功者など方々に当たって寄付を集め、来年大雨季前までに何とか1棟目に屋根が取り付けられるところまで工事を進めたいと考えています(診療所は全部で3棟構成)。

現在壁部分の建設に取りかかっており、村人たちが毎週月曜日に集まって建設作業に当たっています。当会からも今夏第2次分として、ブロック600個の支援を行いました(写真5〜6)。

完成した基礎の上に少しずつ壁が作られていきます

写真5: 完成した基礎の上に少しずつ壁が作られていきます

なんとなく建物っぽくなってきました

写真6: なんとなく建物っぽくなってきました


2棟目、3棟目についてはいつ建設着手できるか、今はまだ目処がたっていません。スペース的にはまったく不十分な状態ではありますが、村ではとにかく1棟目を完成させ、見切り発車の形で運用を開始する予定です。当会も大きな支援はとてもできませんが、毎年可能な範囲で建設を助けていくつもりです。


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■伝統水路の補修('17/9)■


伝統水路

キリマンジャロ山の急峻な尾根を縫うようにして流れる伝統水路


当会が復旧、補修支援に取り組んでいるキリマンジャロ山麓キディア村のキディア伝統水路(約3.2km)ですが、土手にカニが穴を開けてしまう部分と土砂崩れがひどい部分への導水管の埋設工事が完了しました。

導水管

埋設工事用に準備された導水管


あとは水路がつづら折りになっていて導水管設置が困難な箇所の補修と、水路取水口へのゲートおよび空気抜き用エアバルブの設置が残されています。

キリマンジャロ山に暮らすチャガ民族は山腹に網の目のように水路を張り巡らせ、彼らの農業を支えてきたことで知られています。しかし近年では若者が都市部へ流出してしまいメンテナンスができなくなるなどの理由から、こうした伝統水路もかなりの数が放棄されてしまっています。

ところが減少が続く降雨の影響から伝統水路の重要性があらためて認識されてきています。さらに今年前半は山麓の多くの村で水源が涸れてしまう事態となり、水路復旧の必要性はますます高まっています。

しかし放棄され長くメンテナンスがされてこなかった伝統水路の復旧は容易ではありません。まわりにあった木々が失われたことによる土砂崩れも、復旧を一層困難なものとしています。

キディア伝統水路の復旧工事は完了まであとわすかとなっており、なんとか10月には水を通すべく、ラストスパートをかけています。


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■学校給食用大型カマドの設置、頓挫('17/6)■


給食調理棟

建設途中で工事が止まっているマヌ小学校の給食調理棟


キリマンジャロ山麓キルワ・ブンジョー区にあるマヌ小学校(生徒数308人)では、給食の調理場として使っている小屋が老朽化(下の写真)し、また雨季には水が流れ込みとても不衛生な環境で調理していました。そこで当会では新しい調理場の建設と学校給食用の大型改良カマドの設置を支援することにしていました。

村長、先生方の話し合い マヌ学校の調理小屋

雨季には大量の雨水が流れ込んでいたマヌ小学校の調理小屋
マヌ村村長、マヌ小学校の先生方と話し合いをしているところです


給食用大型カマドの設置は、オリモ、フンブフ、リアタの各小学校に続き、これで3校目となります(ほかに学校用では、教師が使う通常サイズの改良カマドをリャコンビラ、モヲの2小学校に設置済み)。

このマヌ小学校は植林活動にも大変熱心で、標高差が約500mもある丸裸になった急峻な尾根で、20年間地道に植林を続けています。尾根では表土が完全に流されてしまっており、苗木を根付かせるのも難しい現場ですが、いまでは少しずつ森がよみがえりつつあります。

マヌ小学校が植林に取り組んでいる尾根

マヌ小学校が植林に取り組んでいる尾根


このまま順調に森林が再生すれば、その後の育林管理で枝打ちのときなどに得られる枝を、学校での給食調理用に活用することができます。改良カマドの導入も、こうした森林のもたらす利息にあたる資源だけで、必要な量の薪を賄えるようになることを目指していました。

ところが学校側が当初の計画より大きな調理棟を建ててしまったため、途中で資金がショートする事態となってしまいました。もちろん建設は止まっています。ショートした資金の額がそれほど大きくないのは幸いでしたが、当会はマヌ小学校、マヌ村、テアカとと協議し、不足資金の半分を村側の負担とし、その用意が出来た段階で追加支援を行うことにしました。

現地はいま大雨季であることから、工事の再開は早くても7月中旬か下旬となる見込みです。


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■彼女たちの辞書に「あきらめる」の文字はない!?('17/5)■


ミーティング

養鶏プロジェクトの収入を役立てて建てた家でミーティング中


私たちが長く協力している女性グループの一つにKiranga女性グループがあります。8人のママさんたちのグループで、キリマンジャロ山の東南山麓標高千メートルほどのところにあるコリニジュー村で活動しています。

彼女たちはとにかく常に何か新しいことにチャレンジしているという感じで、「また始めたの!?」といつも驚かされます。もっとも、チャレンジしたものがいつも成功するとは限りません。これまでに彼女たちが取り組んだことを挙げてみると、家畜の共同飼育(牛、豚)、共同菜園、養蜂、キノコ栽培、ドライフルーツ作り、ジュース作り、花卉販売、バニラ栽培などなど。そしてこれらは全部失敗。なにやら屍累々といった感じです。

当会もグループ貯蓄、養鶏プロジェクト、イスの貸し出事業を支援していますが、いやいやとにかく苦労の連続でした。何度協力をやめようと思ったか知れません。彼女たちとの協力活動もかれこれ20年近くになり、何でやめなかったのか、その記憶すらもう定かではないのですが、何度失敗してもチャレンジし続ける姿に希望を見ていたのは確かです。

養鶏プロジェクト

養鶏プロジェクトで飼っているニワトリ


苦労の甲斐あってその後養鶏プロジェクトは大成功を収め、私たちが"鶏御殿"と呼ぶような立派な家まで建てるメンバーまででてきました。そしてその養鶏プロジェクトにもいつの間にやらアヒルが加わり、七面鳥が加わり、彼女たちはプロジェクトの改良に余念がありません。

今回訪ねたら、今度はウサギが何十羽も加わっており・・・。ミーティングを始めたら始めたでそこに何やら不思議な食べ物(お菓子)を出してきて、「イモを加工して作ってみたんだけど、今度これを売って商売しようと思ってるのよ!」と言います。私は「またですか!?」ともう口あんぐり。

ウサギ飼育

新しく始めたウサギ飼育


彼女たちの辞書に「あきらめる」の文字はないようです。時間はかかったけれども諦めずにチャレンジし続ける姿勢が、彼女たちの「今」を築き、「未来」を築いていくのだと思います。私たちの手助けは、きっとそのスパイス程度に過ぎません(ときどきピリリと辛いですが)。

当会も何事もあきらめず、「Polepole but sure(ゆっくりゆっくり、でも確実に)」の理念を大切に持ち続け、これからも一歩一歩活動の歩みを進めていきたいと思います。

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■コーヒー苗木の接ぎ木研修のフォローアップを実施 ('17/4)■


研修後、村で接ぎ木技術のフォローアップ中

研修後、村で接ぎ木技術のフォローアップ中


当会はキリマンジャロコーヒー農家支援の一環として、村で普及を図っているコーヒー耐病性新品種の接ぎ木研修を実施しています。昨年は11月末にテアカの苗畑担当者、テマ村の村人を対象として研修を実施しましたが、この3月にそのフォローアップを行いました。

接ぎ木研修は山を下りたモシの町にあるコーヒー協同組合(KNCU)のコーヒー苗畑で実施しますが、標高約1,800mにある村とは環境が異なります。研修を受けた村人たちはもうそれで「出来るようになった」と思いがちですが、実際に村に戻ってやってみると、うまくいかないということが往々にしてあります。確実に技術定着をはかるためには、研修後の村でのフォローアップがとても大切です。

また、研修では接ぎ穂や台木の加工に鋭利な刃物を使えますが(手術用のメスを使うこともあります)、村人たちが普段使っているナイフは切れ味が悪く、どうしても接ぎ穂などを傷めてしまいます。それが成功率を下げることになるので、日本から持参したカッターを支給するようにしています。カッターを手にした村人たちはその切れ味に「こりゃすごい!」と目を丸くして驚きます。フォローアップでは、接ぎ木の成功率が80%以上になることを目指します。

一方、接ぎ木したばかりの苗木はほかの苗木と一緒に苗畑で育成することが出来ず、適切な湿度を保つための育成ハウスで管理する必要があります。今回テアカの苗畑に設置していた接ぎ木苗用の育成ハウスが老朽化したため、その移設も行いました。


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■新たな村で改良カマドの普及開始!('17/1)■


写真1: 改良カマドが普及された村を見学に来た、シンガ村の助役さん(写真左側の女性)。

改良カマドが普及された村を見学に来た、シンガ村の助役さん(写真左側の女性)


当会はキリマンジャロ山のモシ県下にある、森林沿いのすべての村(40村)と協力し、同山で地域主導による持続的森林保全・管理の実現を目指しています。これに伴い、今年度からこれまで植林が手薄であった南西山麓の村に、新たに苗畑の設置を進めていくことにしています。

さらにこれにあわせて、それらの村で改良カマドも今後普及を進めていく予定です。今年度苗畑を立ち上げたのは、キボショ地区にあるシンガ村ですが、さっそく村の助役さんを既にカマドの普及が行われている東山麓の村にお連れし、実際にカマドを見ていただき、また使用している家のママさんたちの意見を聞いてもらいました。

どの家でも「もうこのカマドは手放せないわ!」との意見が出され、また実際にカマドを使って調理もしてもらいました(写真1)。助役さんも女性だったので、薪の消費量の少なさや調理時間の短さが手に取るように分かったようで、また同時に3カ所で煮炊きできる様子に目を丸くして感動していました。

「すぐに我が村で普及してほしい!」と話はトントン拍子で進み、シンガ村でのカマド職人の養成が決定しました。これまでは現地カウンターパートテアカの職人を派遣していたのですが、今回は、かつてテアカが養成したロレ村の職人の指導技術のさらなる向上を目指して、彼を講師として派遣することにしました。

シンガ村には研修および初期普及用の資材(レンガ)搬入が開始されたところです(写真2)。新たな村で、完成したカマドを前にまたママさんたちの笑顔に会えるなと思うと、今からとても楽しみです!

写真2: <!--TEACA-->テアカの車で搬入されるカマド用の資材

テアカの車で搬入されるカマド用の資材






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