2015年 生活改善事業の活動履歴


  2015年   11月 困難に直面するコーヒー生産者グループ支援
           9月 改良カマドとシロアリ
           6月 科学のかたまり、改良養蜂箱
           4月 改良カマドのメンテナンス
 


■困難に直面するコーヒー生産者グループ支援 ('15/11)■



KIWAKABOのリーダー達とのミーティングの模様 

KIWAKABOのリーダー達とのミーティングの模様



当会は、キリマンジャロコーヒー生産の立て直しを通した村の経済基盤の強化、またそれによる村人の生計向上を目指しています。そのためにコーヒー生産者グループ"KIWAKABO"(Kikundi cha Wakulima wa Kahawa Bora)に対し、新品種の普及、コーヒー買い付けのための回転資金貸し付けを行ってきました。

しかしいま、この貸し付けがつまづいています。世界市場の動向によって価格が大きく振られるコーヒーは、村人たちが自分のコーヒーをどこかに渡した段階ですぐにその対価のすべてを受け取れるわけではありません。最終的にそのコーヒーが商社等の業者によって買われ(一般的には競売所での競りの形態)売価が確定してからでないと、予測で先払いをしてしまった場合、売価が低かった場合のリスクを回避できないためです。

そこで、栽培したコーヒーを農家から集めるコーヒー組合等では、コーヒーを受け取った際にまず一時金を支払い、最終的な売価が確定した段階で,二次払いとして残りの額を支払うようにしています。

ところがKIWAKABOには最初の一時金を支払うための資金がなく、お金がすぐに欲しいコーヒー農家は、KIWAKABOのメンバーですら栽培したコーヒーを競合相手であるコーヒー組合に売ってしまう事態が発生していました。

そこで貸付金は、この一時金が支払えるようにするためにしたものです。貸付金ですから当然利息を付けて返す必要がありますが、銀行等で調達する資金(利息20%程度)に比べ、はるかに低利での貸付条件(同5%)としており、コーヒー販売後に利益を差し引いた上で返すことが十分可能な設定としていました。

問題となったのは、KIWAKABO側がこの資金を、コーヒー受け取り時の一時払い以外の、自分たちの活動にもあててしまったことです。当然一時払い資金がショートすることになり、予定量のコーヒーを集められない事態に陥りました。予定量が集まらなければ販売量も確保できず、従って売り上げからは貸付金の一部しか返済することが出来なくなります。

貸付金は決して一括で渡していたわけではなく、KIWAKABOからの支払申告に基づいて逐次支払う形にしていました。ところがこの申告自体が、各農家からの事前の持ち込み予測により発行されていたことが分かりました。当然、実際の持ち込み量との差異が生じた上、農家の多くが、実際の持ち込み量より多めに申告していたことから、貸付金が余ることになりました。KIWAKABOはこの余った貸付金を、組織運営費に充ててしまったのです。

当会では、KIWAKABOが短期間のうちにこの貸付金を返すことは無理だと考えています。悩ましいのは、貸付金を返すためにも、KIWAKABOには一時金支払いのための貸し付けを継続する必要があるということです。メンバーからコーヒーを集められなければ、その販売益から貸付金を返済することは出来ません。もちろん、無条件に貸し付けの継続は出来ず、運営費に貸付金を回すという誤った判断をしたKIWAKABO側の責任は問われなければなりません。

このため、KIWAKABOに対しては総会を開催し、この問題をメンバー全員に明らかにした上で、組織として今後こうした問題が発生しないよう資金管理や組織体質をどう改めていくかを話し合うよう指示しました。その後メンバーとの話し合いはされたものの、問題解決に向けた結論は今も出ていません。多くのメンバーにとって資金の指定使途外運用は知らなかったことで、その返済のためには、今後発生する販売益からより多くの部分を返済に回す必要が出てきます。それは自身の本来の取り分が減ることを意味しますから、容易にまとまる話ではありません。

KIWAKABOが自身の手で結論を出せるよう、もう少し時間をかけて様子を見守るつもりでいますが、もし厳しそうであれば、当会から販売益を確保しつつ、数年程度の長い期間をかけて徐々に返済していくプランを示すつもりでいます。

コーヒーを取り巻く厳しい環境の中で、それでもその栽培に誇りを持ち、良質のコーヒー栽培により収入を向上させていこうと頑張っている多くの栽培農家の人たちが、これなら大丈夫という希望を持って栽培に取り組んでいけるようにしなくてはならないと考えています。



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■改良カマドとシロアリ  ('15/9)■



私たちはキリマンジャロ山で改良カマドを普及していますが、一番の悩みの種は熱に強い土が現場では手に入らないことです。そのため、土に牛糞、灰、塩、稲科の雑草を加えてよくこね、さらに一日寝かしたものを使っています。それでも半年に1回はメンテナンスをしてあげなくてはなりません。

私たちが設置しているのは、ケニアで普及しているエンザロタイプの改良カマドですが、このカマドには一般に熱によって強度を得やすい粘土質の土や焼成レンガ用の土などを用いています。

そしてこうした土に代わるものとして使えるのが、シロアリの蟻塚の土。蟻塚の土は水を加えると柔らかくなりますが、乾くとコンクリートのように固くなり、ツルハシでも持ってこないと砕くことができないほど強度があります。写真はその蟻塚の土を使って作った炭用のコンロ。

蟻塚の土を使った炭用コンロ  蟻塚の土
(写真左)蟻塚の土を使った炭用コンロ     (写真右)水を含ませ粘土のようになった蟻塚の土


シロアリというと家の柱などを食い荒らすのであまりそばにいて欲しくない存在かも知れませんが、わたしたちにとって彼らの巣こそまさに垂涎の的、近くにいてくれれば苦労しないのに、とため息混じりに眺めてしまう存在なのです。



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■科学のかたまり、改良養蜂箱  ('15/6)■



現地カウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Association)は、国連開発計画(UNDP)からの支援を受け、2回目となる改良養蜂箱の配布をキリマンジャロ山の10村に対して実施しました。配布された養蜂箱は合計50箱で、それぞれの村で植林に取り組んでいるグループや女性グループなどを対象として実施しました。


村への養蜂箱の支給の模様

(写真1)村への養蜂箱の支給の模様



この改良養蜂箱はトップバービーハイブと呼ばれるもので、箱の上部に棒状の板(トップバー)が蓋のように並べて置かれているものです。ちょっと見た目にはとても単純な作りに見えますが、実は養蜂箱は科学のかたまり。


たとえばトップバー。その幅は32mmでなければなりません。31mmでも33mmでもダメで、ジャスト32mmです。なぜかというと、この幅はハチの体の大きさと巣と巣の間の最適スペースをもとに算出されているからです。アフリカのミツバチにとって"居心地の良い"スペースは7mmで、そのためにはトップバーの幅は32mmである必要があるのです。これが皆さんがよくご存じの西洋ミツバチになると、彼らはアフリカのミツバチより少しだけ体が大きいため、日本の養蜂箱などでは、このトップバーにあたる巣枠の幅は35mmになっています。


ところがこのミリ単位での加工が、現地では容易ではありません。以前、村の職人さんに作製をお願いしたところ次のような会話になりました。

 職人: 「ミリ?ミリって何??センチのこと???」
 私 : 「はい?いやいやセンチではなくて、ミリ。
      ミリっていうのはセンチの10分の1で・・・」
 職人: 「はぁ???」
 私 : 「いや、だからセンチの10分の1で・・・」
 職人: 「はぁ???」


村でいかに"ミリ"という単位が非日常の世界であるかがお分かり頂けるかと思います。仮に分かったとしても、ミリ単位での加工は至難の業といえ、改良養蜂箱の作製は町の製材所に頼んでいます。その製材所でさえ、「何でハチごときのためにミリなわけ?」と怪訝に思っている雰囲気プンプンです。


でもダメです。ミリでお願いします、ミリで!


町の製材所でトップバーの加工中  ちゃんと32mmになっているかを確認中

(写真2)町の製材所でトップバーの加工中     (写真3)ちゃんと32mmになっているかを確認中




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■改良カマドのメンテナンス  ('15/4)■



当会で普及している改良カマドは、鍋掛口と焚き口だけはレンガ(14個)を使っていますが、基本的に普通の石と土(牛糞などを混ぜたもの)でできています(写真1)。これは村人たちが現場で入手可能な資材だけでカマドを設置できるようにするためです。通常普及されているこの手の改良カマドは、基本構造材にはすべてレンガ(80個)を使用し、周りを粘土質の土もしくは蟻塚の土などで覆いますが、当会の活動地であるキリマンジャロ山ではレンガはおろか、粘土質の土や蟻塚の土も地域での調達は極めて困難です。



(写真1)現地で調達が可能な資材で作られている改良カマド



そのため先のような、普通の石、普通の土でも作れるように改良に改良を重ねてきました。ただそれゆえに半年毎のメンテナンスが非常に重要となってきます。この手の改良カマドは使っているうちに必ず少しずつ周りの土が剥落してきます。したがってメンテナンスでは、土を使ってその補修をします。これをせずにそのまま放っておくと、鍋の安定性が失われ危険になってくるだけでなく、いずれそのカマドは使えなくなってしまいます(写真2=補修前、写真3=補修後)。


  

(写真2)補修前のカマド               (写真3)補修後のカマド



改良カマドを一度使い始めたママたちは「薪は少なくて済むし調理時間は短いし、とにかく便利!」と絶賛ですが、いかんせんメンテナンスが苦手です。そこには「そういう仕事は男の仕事」と考える文化的な背景もあります。そうした場合、旦那さんに頼めばまだタダでやってくれるのですが、職人に頼むママも多く、当然タダではやってくれません。

当会ではこれまでセメントプラスタリングタイプカマドの設置→カマド自体の改良(地元資材のみで出来るカマドの作成)→TEACA技術者による各村へのカマド普及→各村でのカマド職人の養成、とステップを踏んで改良カマドの普及を図ってきましたが、今後はメンテナンスに力を入れて行く必要があると考えています。その場合、その場で実際にママに「やって貰う」ことが大事だと考えています。ただレクチャーするだけではダメだろうということです。文化的背景があるといっても決してタブーなのではなく、実際にやってみることでの「きっかけ」作りが大事だと考えています。





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