2014年 生活改善事業の活動履歴


  2014年   11月 伝統水路復旧支援
          10月 養蜂箱50箱を支援
           7月 KIWAKABOの統計データ
           5月 新方式でのカマド職人養成を実施
           3月 半乾燥地でのカマド普及の足掛かり
           1月 支援先キリマンジャロコーヒー生産グループの品質状況
          


■伝統水路復旧支援  ('14/11)■


当会はキリマンジャロ山麓で、山麓に暮らすチャガ民族の伝統水路(Mfereji)と伝統溜池(Nduwa)の復旧に取り組んでいます。これらはキリマンジャロ山から湧き出る泉を溜め、水が不足する乾季に農地を灌漑するために発達したチャガ民族の知恵とも言える存在です。

この伝統水路と伝統溜池は、大雨季の前と乾季になって灌漑を始める前に、毎年泥さらいや土手の整備などのメンテナンスが必要となります。ところが復旧を支援しているキリマンジャロ山麓の標高約1,700mにあるキディア村では、伝統水路の直下に、それに沿うように政府が給水(生活水)のためのポリパイプを埋設したことから、メンテナンスの度にこのパイプに穴を開けてしまうという問題が生じています。

パイプをずらすか、水路をずらすか、水路をコンクリートで固めるか、いろいろ問題解決のための案を検討したのですが、急峻な山肌を縫うように流れている水路やその直下にあるパイプを、山側にしろ谷側にしろ、ずらすのは至難で、かといってコンクリートで固めるとなるとコストが膨大となります。そこで、メンテ時にもっとも穴を開けやすい箇所は、水路自体をパイプに置き換え、メンテそのものを不要とすることにしました。

村ではさっそく水路用のパイプを埋設するための掘り返し作業が始まっています(写真)。タンザニアの独立後急速に進められた給水パイプライン敷設との競合から、一時関心が薄れていた伝統水路・伝統溜池ですが、近年の降雨の不安定化、雨量の減少から、多くの村々でこれらの先人の築いてきた知恵が見直されています。


水路用パイプ埋設のための掘り返し作業  

水路用パイプ埋設のための掘り返し作業


水路や溜池と同様に、チャガ民族の知恵である伝統農法(Kihamba)は、空間を多層的に使うアグロフォレストリーの一形態であると同時に、土地集約的な農法であるが故に、それと水路、さらには家畜との組み合わせが一体となって一つのシステムを形成しているといえます。村人たちの水路、溜池に対する再評価は、このシステムを考えた時、当然の回帰だったといえるのかも知れません。長い年月をかけて磨かれた先人の知恵の完成度の高さには尊敬の念を抱かずにはいられません。



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■養蜂箱50箱を支援  ('14/10)■



現地カウンターパートのTEACAは、家計収入向上及び森林の重要性に対する意識啓発を目的として、キリマンジャロ山麓にある10村の女性グループや環境保護グループ等を対象に計50箱の養蜂箱の支援を実施しました。

現地でハチミツはちょっとしたカゼや体調不良などの時、滋養補給や疲労回復などのために、スプーンで少しだけ舐める貴重な「薬」。村の中でも同量のビールなら5本は買えてしまうほどの高値で売買されています。したがって養蜂に対する要望はどの村でも高いと言えます。

一方、養蜂のためには当然蜜源となる樹木が必要で、そうした木々がたくさん茂っている森を大切に守っていこうとする意識も自然と高くなります。どの季節に何の木が花を咲かせるかなど、1本1本の木に対する関心も高くなります。

TEACAは養蜂箱を支援した村での養蜂セミナーを実施するとともに、今後定期的に巡回指導をして回る予定です。また今年度中にさらに50箱を追加支援する計画です。キリマンジャロ山のハチミツで村おこしなんて出来たら良いのに、とは少々気が早いでしょうか。


今回支援を行ったトップバー式改良養蜂箱

今回支援を行ったトップバー式改良養蜂箱



それぞれの村からこうした養蜂に取り組むグループを選んでもらいました

それぞれの村からこうした養蜂に取り組むグループを選んでもらいました



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■KIWAKABOの統計データ ('14/7)■



 タンザニア・ポレポレクラブが支援しているキリマンジャロ山麓テマ村のコーヒー生産農家グループ"KIWAKABO"(Kikundi cha Wakulima wa Kahawa Bora)。これまで当会では、主要な病害に対して耐性のある新品種の村内での育苗技術確保、コーヒー畑への新品種植栽後の栽培指導を手がけてきました。昨年からいよいよこの新品種の市場への出荷が始まり、今後はKIWAKABOの組織基盤の強化にも重点を置いていくつもりです。

 基盤強化のために取り組むべき課題は山積しており、まずグループとして販売価格の高い独自の販路ルート確保のためにも、出荷できるコーヒーの全体量を増やす必要があります。ロットの小さいコーヒーでは買い手はつかないからです。普通に考えれば栽培量はほぼ出荷量に相当するはずなのですが、これまで協同組合(KNCU)を経由して販売していた多くのメンバーは、コーヒー豆をKNCUに渡した段階(=まだ販売はされていない段階)で、前払いとしての一時払いを受けていました。この方法に慣れているメンバーたちは、KIWAKABOに対しても自分の豆を渡した段階での前払いを期待しています。ところがKIWAKABOにはそのための準備資金がなく、結果としてKIWAKABOメンバーのコーヒーがKNCUに流れてしまうという現象が起きています。

 そこでKIWAKABOからは当会に対して、この買い取りのための準備資金支援に対する要請が出されていました。当会では資金支援の前に、組織運営の基礎となるデータの整備とその管理能力の向上が先であるとして、この要請を時期尚早として断っていました。またこのため、データの整備作業に着手しました。その結果、これまでにKIWAKABOの全メンバー(191人)の畑の所有面積、植栽本数、生産実績及び計画等が一元管理できるようになりました。

 当会としては、次にこうしたデータを積極的に活用して、組織運営に活かしていける態勢の構築を目指していくつもりです。資金支援はその態勢ができあがった時点で実行に移したいと考えています。


KIWAKABOメンバーのフォヤ氏と彼のコーヒー畑

KIWAKABOメンバーのフォヤ氏と彼のコーヒー畑




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■新方式でのカマド職人養成を実施 ('14/5)■



 現地カウンターパートTEACA(Tanzania Environmental Action Association)は、キリマンジャロ山南東山麓のロレ・マレラ村において、新方式によるカマド職人(改良カマド)の養成を実施しました。

 これまでカマド職人の養成にあたっては、その確実な設置技術の習得のために、最低3基を設置するまで、TEACAが現場に赴き指導、フォローをするという形をとっていました。しかしこの方法は予定が読めないうえ(=最終的な技術習得がいつになるかが不明)、現場が遠かろうと毎回出向く必要があるという、大変に手間のかかるものでした。

 そこで新しい方式では、TEACAの技術指導者が普及対象村に泊まり込み、そのタイミングで連続して最低3基まで設置してしまうという形に改善しました。これだと1回で技術習得の定着が図れます。

 また新方式では、カマド設置希望者のグループ化、グループ内でのカマド職人の選出、研修前の全グループメンバーの資材調達の完了といった点も、研修方法の新たな要素として改良を加えました。

 ロレ・マレラ村では、新方式での研修を受けたカマド職人による設置が始まっており、現地調査の結果、作りも非常に丁寧で、使い始めたママさん達の評価も大変高いものでした。

 この結果を受け、今後もこの新方式によるカマド職人の養成を続けていく計画です。


ママさんたちにカマドの状況について確認する

現地調査でママさんたちにカマドの状況について確認する




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■半乾燥地でのカマド普及の足掛かり ('14/3)■



 タンザニアにおける森林減少の主要因は、日々の煮炊きに必要とされる薪炭材としての木質資源の消費にあります。当会は地域住民と協力して直接的に緑を増やす植林活動とともに、緑を減らさないために、この薪炭材消費を削減していくための活動にも同時に取り組んでいます。それが薪の消費量を半分以下に抑えることの出来る改良カマドの普及です。

 今年もさっそくキリマンジャロ州ムウィカ地区での普及セミナーとカマド職人の養成を行いました。職人の養成も、これまでの対象者を村に推薦して貰う方法から、カマド設置希望者同士でグループを作り、そのグループの中から自分たちで選んで貰う方法に変更しました。身近な者同士の方が、設置作業の進捗を管理しやすいためです。

 また、キリマンジャロ山を取り囲んでいる半乾燥低地平野部でも、改良カマドの設置を行いました。場所はヒモ市近郊にあるマワンジェニ地区。ここではこれまでセメントプラスタリングタイプの改良カマドを設置してきましたが、今回リアタ村区のウリオ村区長宅に、溶岩タイプの改良カマドを初めて導入しました。


 画像1:TEACAの技術者と一緒にカマド用の土の下準備をするウリオ氏

写真1:TEACAの技術者と一緒にカマド用の土の下準備をするウリオ氏


 ウリオ村区長はこれまでも自分で小さな改良カマドを設置したり、屋根に樋を付けて雨水を溜めてみたりと、いろいろと生活上の工夫に取り組んでいる努力家で、この地域で溶岩タイプ改良カマドの普及を図る上で、キーパーソンになると考えています。

 実際にカマドの設置を行った日には、彼自ら土をこね、一緒に作業に取り組みました。カマドの表面を滑らかにする作業の入念さも、さすがに彼ならではと思える出来映えでした。

 画像2:完成した改良カマドに大満足のウリオ村区長

写真2:完成した改良カマドに大満足のウリオ村区長




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■支援先キリマンジャロコーヒー生産グループの品質状況 ('14/1)■



 当会が支援しているキリマンジャロコーヒー生産農家グループKIWAKABO(Kikundi cha Wakulima wa Kahawa Bora)から、彼らの栽培したコーヒー生豆の品質レポートが届きました。(下写真&表1)

Tutunze Ltd発行の品質レポート
Tutunze Ltd発行の品質レポート

 そこで彼らの品質状況を知るために、過去KIWAKABOが立ち上がった頃に、同じエリアから出荷されていた生豆の品質(下表2)および比較的最近数年間の、キリマンジャロコーヒー全体の品質状況と比較してみたいと思います(同3)。それぞれの評価主体が必ずしも同じではないため、正確な比較とは言い切れませんが、およその傾向は読み取れると思われます。

表1.(現在)KIWAKABO出荷生豆
検査年月評価主体         評  価  結  果
2013/02TutunzeAA = 10.0% 、 A/B/PB = 77.5% 、 UG    = 12.5%
2013/09TutunzeAA+ = 6.5% 、 A/B = 82.5% 、 F/C/TT/AF = 11.0%
2013/11TutunzeAA = 19.5% 、 A/B/PB = 72.0% 、 UG    = 8.5%
2013/12TutunzeAA = 15.5% 、 A/B/PB = 76.5% 、 UG    = 8.0%

表2.(過去)ムボコム区のKNCU出荷生豆
検査年月評価主体         評  価  結  果
2002/11TCCCOAA= 25.45%、A/B/PB= 67.88%、AF/C/E/F/TEX/TT/UG= 6.30%
2013/09TCCCOAA= 25.43%、A/B/PB= 65.02%、AF/C/E/F/TEX/TT/UG= 9.24%
  ・2002/11は、Cuppring testで除かれた分0.37%あり。
  ・2004/12は、Cuppring testで除かれた分0.31%あり。

表3.(キリマンジャロコーヒー全体)タンザニアコーヒー公社(TCB)受入生豆
    検査年月評価主体         評  価  結  果
'03/'04〜'09/'10年度  TCBAA= 20%、A/B/PB= 55%、C/E/AF/TT/TEX/F= 25%
  ・評価結果は概略の数字

 上表から、KIWAKABOの生豆はキリマンジャロコーヒー全体と比べた場合、悪い品質のものがかなり少ないことが分かります。しかし一方で、かつて同じエリアで生産されていたコーヒーと比べると最高級クラスの豆が減り、その分が下のクラスに落ちている様子が読み取れます。

 当会が普及を図っている耐病性新品種は比率としてはまだまだ少なく、現在の品質状況が短期間のうちに劇的に変化するとは思えませんが、KIWAKABOとしてのコーヒー出荷が始まり、ようやく品質データが入手できる段階まで来たことから、今後品質改善に一層力を入れられるようになりそうです。




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