2012年 生活改善事業の活動履歴


  2012年 12月 「改良カマド・日本の伝統に学ぶ」
        10月 「コーヒー新品種、本格的に結実期を迎える」
         7月 「乾燥地での省水農法、当面断念」
         4月 「コーヒー農家の巡回指導」
        


■改良カマド・日本の伝統に学ぶ('12/12)■


11月に来日していたTEACA(Tanzania Environmental Action Associaiton)の副代表のアドンカム・ムチャロ氏。その氏の来日中に、千葉県で日本の有機野菜直販、酪農、養蜂などについて視察をする機会があった。これらはすべて現地での取り組みに直結しているものであり、視察で得られた知識は、今後のTEACAの取り組みにとって、大いに参考になったようである(たとえば直販体制は、現地のコーヒー生産、販売でも目指されており、そこでは最終消費者との直接的信頼関係の構築とその方法が重要な要素となってくるといった点を学ぶ機会となった)。

こうした、現地事業に直接関わること視察とは別に、日本の文化にも触れてもらう機会を設けた。人の生活の基礎的要素として「衣食住」があるが、その一つ「住」について、千葉県鴨川市にある、国の登録有形文化財・旧水田家を訪れた。

旧水田家の全景
(写真1)旧水田家の全景


日本の気候の特性まで巧みに取り入れて建設されていた当時の家屋には、ムチャロ氏でなくとも、感嘆するより無かったが、ここではとりあえずそれは置いておき、その土間に鎮座しているカマドに目がとまった。タンザニアで普及している改良カマドの元々のルーツは日本にあることを、TEACAには以前から伝えてあったが、その現物にお目にかかれたのは幸運であった。それはたんにそのルーツを確認するという以上に、土から手でものを作り、古(いにしえ)というには遥かに現代に近い時点まで、多くの日本人がそれを利用していたのだ、という実感であったり、とかく高度な技術、いまあるモノにばかり目や意識が向かいがちな中で、発展の礎にあった日本の姿に触れて貰えたことである。


土間に鎮座ましますカマド
(写真2)土間に鎮座ましますカマド


ところで、この改良カマドについて、何を材料にして作っているのかを、案内をつとめてくれていたおじさんに尋ねてみた。答えは「土(おそらく荒壁土)、それに"にがり"」だという。これにはムチャロ氏を差し置いて、こちらがビックリしてしまった。"にがり"を使うなど思いもよらなかったからだ。すべてのカマド作りにおいて"にがり"を使うとは思わないのだが(※)、さすが海の国、豆腐の国だと、先人の知恵とともに舌を巻くばかりであった。

 ※ おそらく凝固作用を利用してのことと思うが、当会の改良カマドでは、そのかわりに石灰を利用している。

考えてみればカマドに限らず、この屋敷自体、築百数十年だという。あの関東大震災にも耐え、いまなお当時の姿を伝えているとの説明であった。現代建築では表参道の同潤会ビルが、歴史を刻む建物として惜しまれつつも老朽化のために取り壊されたが、あのビルはその関東大震災からの復興を期して建てられたものだ。つまりは築70年ほど。

そんなことを考えても、日本の気候風土にかない、地場の優れた素材を使い、伝統に裏打ちされた技術で建てられた日本家屋とその家財のすばらしさには、ムチャロ氏ならずとも唸らされっぱなしであった。

みなさんもぜひ、お時間があったら旧水田家を訪問されてはいかがでしょう。案内人のおじさんがとても親切に説明してくれますよ!

(旧水田家の案内。鴨川市のホームページ → こちら


屋内で囲炉裏についての説明を受けるムチャロ氏ら
(写真3)屋内で囲炉裏についての説明を受けるムチャロ氏ら



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■コーヒー新品種、本格的に結実期を迎える('12/10)■


 当会は村での産業基盤強化を目的として、2000年よりキリマンジャロ山麓テマ村において、キリマンジャロコーヒーの耐病性新品種の普及に向けた取り組みを行ってきた。その第1段階として、まず新品種苗木育苗技術の村への定着を図り、次に第2段階として、畑に定植された苗木の栽培管理指導に力を入れてきた。その畑に定植されたコーヒーが定植後3〜5年を経過し、いよいよ本格的な結実期を迎えている。

 テマ村では多くの村人たちがコーヒー栽培を放棄したままで、かつての畑には枯れ木となったようなコーヒーの木が無残な姿をさらしている。あるいは多くのコーヒーの木がすでに引き抜かれ、バナナなどほかの作物に転換され、コーヒー畑自体がめっきり少なくなっている。そうした中、結実しはじめた新品種は、目を見張るほど立派な実をたわわに実らせている(写真)。これまで苦労に苦労を重ねてきただけに、「やっとここまできたか」と感慨深いものがある。取り組みをはじめてから10年以上の月日が経った。

マロさんの畑でたくさんの実をつける新品種コーヒー
(写真1)マロさんの畑でたくさんの実をつける新品種コーヒー



 一緒に力を合わせてきたコーヒー生産農家グループKIWAKABO(Kikundi cha wakulima wa kahawa bora)のマロさんの畑を訪ねると、「ウチで採れたコーヒーを淹れたから飲んでいけ」と勧められる。カップに注がれたコーヒーにいろいろな思いが重なる。そんな思いもあったからだろうか、すするようにして口に含んだコーヒーには、深い、深い味わいがあった。美味かった。

マロさんの家でコーヒーをいただく
(写真2)マロさんの家でコーヒーをいただく

 とはいえ、コーヒー産業再生の取り組みは、まだ道半ばだ。最終目標は、高価格販売、高収入の実現である。今後当会では、収穫後の一次加工品質の向上に重点的に取り組みんでいく計画である。






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■乾燥地での省水農法、当面断念('12/7)■


現地カウンターパートのTEACAから、キリマンジャロ山を取り囲むように広がる低地乾燥平原地一帯での降雨不足から、このエリアで実施している省水農法(写真1)を当面断念するとの連絡が入った。低地にあるプロジェクト地の降雨データは、現在こちらには3月分までしか届いていないが(グラフ1)、その3月から迎えた大雨季の雨量はゼロ。電話で確認したところ作物生産にもかなり影響が出ているようである。同様に雨が降らなかったことが2009年にもあったが、このときは家畜が死に、住居を放棄し現場を離脱する人々が出た。

半乾燥地で実施している省水農法 半乾燥地にあるプロジェクト地の降雨データ
    写 真 1: 半乾燥地で実施している省水農法
    グラフ1: 半乾燥地プロジェクト地の降雨データ。2012年のデータは3月分まで。3月に降雨が
            なかったことが分かる。(2002〜2012年)


現地ではその年によって雨量の変動幅が大きく、日本と違ってなかなか「平年に比べ」という比較がしずらいが、長い目で見てみると雨量が減少傾向にあることが見て取れる。グラフ2は、キリマンジャロ山の麓にあるモシの町の雨量データであるが、このデータも過去約100年の間に、34%の雨量が失われたことを示している。

キリマンジャロ山麓にあるモシの町の降雨データ

グラフ2: キリマンジャロ山麓にあるモシの町の降雨データ。(1902〜2004年)


同様の雨量の減少傾向は、タンザニアの中では雨量に恵まれているキリマンジャロ山でも起こっている。私たちの主力活動地である標高約1,750mにあるテマ村でも、グラフ3のように、昔のようには雨は降らなくなっている。この3年ほどはかつての雨量の半分ほどしか降っていない。今年も4月までの雨量は昨年よりひどく、このままでは大雨季植林ができなくなるのではと一時危ぶまれていた。しかしその後降り始め、植林自体は実施できたものの、今度はその雨がダラダラと降り止まない事態となっている。7月後半になっても「毎日降っている」状況で、山を一歩出たらカラカラの乾燥、山の中は毎日雨、という異常な様相を呈している。

キリマンジャロ山の標高約1,750mにあるテマ村の降雨データ

グラフ3: キリマンジャロ山の標高約1,750mにあるテマ村の降雨データ。(1947〜2011年)


全体としてみれば減少傾向にあるキリマンジャロ山の降雨量は、その森の減少と歩を一にするようにして進んできている。その意味でも、山全体の地域を結んで取り組まれるような植林を「運動」として興していく必要があり、当会はキリマンジャロ山でのそうした取り組みの実現を目指していくつもりである。

また省水嚢法も、降雨ゼロではさすがに厳しいが、少しでも乾燥地で野菜を得られる手段として、他団体との連携も推し進めるなどして、一層の普及に力を入れていきたいと考えている。


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■コーヒー農家の巡回指導('12/4)■


 タンザニアの特産品として有名なキリマンジャロコーヒー。タンザニア・ポレポレクラブでは、キリマンジャロ山麓で良品質コーヒーの栽培に取り組んでいるコーヒー生産者グループ"KIWAKABO"に対し、耐病性新品種の普及を支援している。

 これまで村での挿し木による新品種苗木の育苗技術定着に取り組んできたが、今後はさらに接ぎ木による育苗技術の普及と、実際に農家の畑に定植された新品種の栽培管理に重点を移していく。

 その栽培管理指導にあたってくれているのが、ジェームズ・キサンガ氏(写真1)。彼は元ムボコム区(※)のコーヒー栽培指導官であった。現在私たちは、KIWAKABOから重点的に指導を行うコンタクトファーマー5人を選出しており、キサンガ氏は毎月彼らの畑を巡回して指導に当たっている。

写真1
写真1

 この日は、定植後2〜3年目の新品種を中心に見て回り、剪定方法についての指導を行った(写真2)。植栽後これくらい経つと、地面から60cm程度の高さでいったん幹をカットしてやる必要がある。これはそれ以上樹高を伸ばすことより、実をつける枝に十分栄養をまわし、しっかりした枝振りの木に育てていくためである。こうして一段目の枝を育てた後、さらに樹高を伸ばしてやり、二段目の枝を育ててやる。

写真2
写真2

 それ以外にも枝は枝で、継続的な剪定作業が必要となり、こうした栽培管理をしっかりやらないと、良い品質の実も、多くの収量も望むことは出来ない。

 キサンガ氏は5人の農家それぞれにノートを渡し、毎回現場で指導したことを彼らが忘れないよう、事細かに書いて置いていくようにしている。そして次回の訪問時に、彼らがその指導をきちんと守っているか、実施しているかを確認している。ただ指導するだけでなく、そのフォローを確実にすることは極めて重要で、キサンガ氏は私たちの本当に心強いパートナーなのです。


※「区」(=kata)は幾つかの村をまとめた、その上位に位置する行政単位。


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