TANZANIA POLE POLE CLUB

2014年度事業報告


■ 村落植林活動 ■



◆1.国立公園化問題への対応



設定した課題1: 森林管理戦略及び環境保全規則の明確化

キリマンジャロ山の旧HMFS(8,769ha)のうち最も大きな面積(5,120ha)を占めるモシ地方県において、その森林を全体として管理し、保全していくための枠組みと統一的戦略、指針を固める。その準備作業には、2013年度を通してモシ地方県下の旧HMFS沿いにある37村の地域横断的協議体組織KIHACONEが取り組んできたが、そこで示されたベース案の「内容の妥当性」を検証し、また「実施の確実性」と「持続性」を担保する"仕組み"を備えたものとしていく必要がある。これらの点について、KIHACONE及び37村の首長、TEACAと協議し、できるかぎり2014年度中に最終案としてまとめることを目指す(最終的に環境保全規則(Sheria Ndogo Ndogo)は各村での村会議の承認を得る必要があり、また戦略、指針は、森林条例の中で明確に位置づけられて初めてその地位が保全されることになり、それらはまたこれからのこととなる)。

【結 果】

 KIHACONEの代表者委員会で6カ月間をかけて、HMFS返還後をにらんだ新たな森林保全・管理の枠組みをまとめ終えました。
 しかしその内容は、タンザニアにおける地域主体による森林管理の先行事例であるSULEDOプロジェクト(マニヤラ州キテト県)の枠組みをほぼそのまま蹈襲したものとなっており、必ずしも世界遺産でもあるキリマンジャロ山の実情を反映したものとはなっていませんでした。 従って検証課題とされていた「内容の妥当性」や「実施の確実性」、「持続性」の仕組みともに確保されているとは言い難く、実際に適用された場合、機能しないものとなる可能性が十分にありました。その場合結果的に森林を守ることが出来ないことから、HMFSの国立公園への再編入という最悪の事態を招く恐れがあり、当会からはそのことに対する懸念を強く伝えました。また、枠組みの実効性を確保できるよう、各所にチェック機能と歯止め策を盛り込む必要があることを、KIHACONEの代表者らに対し徹底指導を行いました。
 これらを受けてKIHACONEの総会で審議した結果、枠組みはあらためてゼロベースで作り直すこととなり、本課題については次年度へ持ち越しとなりました。
 また枠組みの完成を待ってできるだけ各村における新たな環境保全規則(Sheria Ndogo Ndogo)の策定にも着手したい考えでしたが、上記の通り、枠組みの完成が先送りとなったことから、これへの着手も出来ずに終わりました。


設定した課題2: KIHACONEの政府認定組織への格上げ

新たな森林管理の枠組みを完成させても、KIHACONEがたんなる任意組織である限り、地域代表としての正当性も、政府との交渉力も持ち得ない。従って2014年度は、KIHACONEが中央政府(省庁)もしくは地方政府(県)のいずれかの認定する公認組織として登録さ れることを目指す。

【結 果】

 これまでHMFSの国立公園への編入に反対し地域の先導役を果たしてきたのはTEACAですが、その地位はあくまで1NGOであり、いくら声を上げても政府はそれを「地域の声」として認めませんでした。
 そこでダルエスサラームに本拠を置く環境法令の専門家チームLEAT(Lawyers' Environmental Action Team)のアドバイスも得て、KIHACONEが37村(当時)の地域代表組織として、公的にも位置づけられることを目指しました。
 具体的には中央政府ないし地方政府のいずれかにおいて、KIHACONEを政府の認可組織として登録することを目指しました。その結果昨年7月、KIHACONEは地方政府(モシ県)認可のCBO(Community Based Organization、地域社会組織)として正式に認可されることとなりました(担当部局は県社会開発局:Maendeleo ya Jamii wilaya ya Moshi)。
 これによりKIHACONEの発言は公的にも地域代表としての発言と位置づけられるようになり、また天然資源観光省副大臣等、行政との協議、交渉の場においてもその立場で発言することが可能となりました。


設定した課題3: 国会議員への働きかけの強化

国立公園法の改正を視野に入れ、より高次なレベルへと活動を引き上げるために、同法改正の権限を持つ中央政府および国会議員へのアプローチがますます重要となってきており、KIHACONEによる直接交渉を目指す。

【結 果】

 2014年度は、これまでに関係を築いてきたモシ県選出のシリル・チャミ議員(TLP:労働党、元産業貿易省大臣)及びアウゴスティン・ムレマ議員(CCM:革命党)に加え、モシ県出身で特別枠選出のベティ・ムチャング議員(CCM)とのコンタクトも開始しました。チャミ議員、ムレマ議員にはKIHACONEの全体会議には毎回参加を要請し、ムレマ議員の出席は叶いませんでしたが、チャミ議員には数度にわたり会議への出席を得ることができました。
 こうした国会議員との関係構築の結果、チャミ議員、ムチャング議員のルートを通して首都ドドマにおいて、KIHACONE代表団と天然資源観光省マームード・ムギムワ副大臣、マイムナ・タリシ事務次官との会議が実現しました(会議にはチャミ、ムチャングの両議員も参加)。そしてこの会議において、国立公園問題解決のために、天然資源観光省大臣、キリマンジャロ州知事、モシ県知事、KINAPA、KIHACONE、TEACAによる6者会議の開催が決められましたが、結局ラザロ・ニャランドゥ大臣はKINAPA、州知事の2者と会うに留まりました。
 しかしこうした国会議員との関係構築の結果は、上記の通り中央政府への足がかりとして確実に結果を出しつつあるといえ、またこの問題の認知のための力となってきています。
 しかし2014年度最大の成果は、なんといっても政権与党であるCCMのキナナ書記長に、このキリマンジャロ山の国立公園問題を直訴することに成功したことだといえます。これは年末の総選挙に向け、キナナ書記長が全国行脚で開催していた大衆集会の場で実現したもので、この場で大衆を前に書記長はHMFSを地域住民の手に返すことを明言しました。彼のこの一言は、これまでなかなか重い腰を上げようとしなかった政府を今後動かす大きな力となっていくことになるでしょう。




マームード・ムギムワ副大臣(左から2番目)とKIHACONEの会合の模様



設定した課題4: 旧HMFSの森林減少に関わるデータ収集

 キリマンジャロ山の森林破壊は地域の住民が招いたものであるとの政府の見解を正していく必要がある(少なくともそのすべてを地域住民に押しつけるのは誤り)。
 そこで大規模に裸地化した旧HMFSについて、政府による商業伐採(ライセンス供与による民間企業の伐採も含む)のデータを収集を試みる(ただし過去州及び県森林局に対し行った調査では、それらのデータは残っておらず、今回も収集できない可能性は高い)。

【結 果】

 資料調査はキリマンジャロ州を含むタンザニア北部地域の森林を管轄するタンザニア・フォレスト・サービスモシ県事務所及びモシ県森林局にて実施しましたが、どちらにも過去のHMFS内における政府運営の森林プランテーションに関するデータは残っていませんでした。
 そこで州管轄の南部キリマンジャロ水源涵養森林局作成によるキリマンジャロ山の森林管理図を元に、当会にて、過去、現在における政府運営による森林プランテーションのロケーションを表した図を作成しました。
 これによりプランテーションがある/あったHMFSとなかったエリアのHMFSの現状における森林状況の比較ができるようになりました。またその結果は、プランテーションがあったエリアのHMFSの森林は、その他のエリアのHMFSとの比較において著しく劣化していることを示しており、地域住民を森林破壊の元凶と位置づける政府の考えが誤りであることを裏付けるものとなりました。


◆2.小規模苗畑グループ支援




設定した課題1: キリマンジャロ東南部および東部山麓エリア

既存の9苗畑に対する運営支援および指導を継続し、このエリアを引き続きカバーしていくとともに、地域のイニシアティブによる森林の回復、保全活動を支えていく。

【結 果】

 2014年度は計画通りキリマンジャロ山麓の7村(テマ村、キディア村、マヌ村、モヲ村、ルワ村、ロレ・マレラ村、ムシリ村)で9苗畑グループの運営支援及び指導を行いました(各グループの育苗計画と実績は以下の表2参照。また、育苗した苗木の植林、配布、販売実績は、前掲表1参照)。これらの苗畑グループには育苗ポット等の育苗資材、森林腐葉土、肥料代わりの牛糞、種子等の支給を行い、毎月巡回指導を実施しています。
 2014年度の苗畑グループ全体での植林実績は23,549本 (14.74ha)でしたが、各村及びそれぞれの苗畑グループの当初の計画では、このうちの大部分を可能な限り国立公園に取り込まれたHMFS内での植林用としていました。しかし結局KINAPAからの植林許可がおりず、植林はすべて山麓の村落エリア内における裸地化した尾根で取り組まれました。
 これまで基本的に各苗畑グループは独自に植林計画を立てていましたが、国立公園問題の発生以来、HMFSの地域管理を目指し、村との連携を進めてきていました。そして2014年度は既存9苗畑グループすべてが村との連携のもとに植林計画を立案しました。
 実際の植林にあたっては村が植林場所、植林日を設定し、それを日曜礼拝等の場を利用して住民全体に伝え植林が取り組まれることになります。通常植林は1回で終わることはなく、その村で何日間にもわたって取り組まれます。そのため、たいていの村では住民を複数のグループに分けて植林計画を組んでいます。
 今後苗畑グループは、村との連携強化を一層推し進め、拠点苗畑として地域での森林保全活動を支えていく存在となっていきます。苗畑グループの位置づけも質的に大きく転換しようとしています。




上の写真2枚は、村落エリアの植林地の一つ、マヌ村の裸地化した尾根。植林開始当初とその後の様子。尾根全体に森林を取り戻すためには、まだ何年もかかる。



設定した課題2: キリマンジャロ南西山麓エリア

 キリマンジャロ南西山麓エリアとは、モシ地方県内の西端エリアを指す。このエリアはまだ苗畑がない空白地帯となっている。
 そこでローカルNGOを通した苗畑運営支援を検討する。ただしKINAPAが国立公園内における環境保全活動を含む一切の取り組み阻止に出ている現状では、南西部エリアにおいて新たな苗畑の運営支援を開始することについては、TEACAと慎重に協議した上で、決定することとする。

【結 果】

 キリマンジャロ山南西山麓のキフニ・ジュー村を拠点に活動する環境NGO・LEPAJE(前掲図1参照)及びンジャリ村を拠点に活動するRoots & Shoots(同)と、山麓での地域住民による植林活動支援のために、これまでで初となる育苗連携を実施しました(育苗規模各5千本)。 これは植林計画を共有し、お互いに育苗分担をするものです。育てられた苗木は2015年度に南山麓キボショ地区のHMFSに沿うように広がっている裸地を中心に、地域の住民たちによって植えられる予定です。
 ただKINAPAがHMFS内での植林を認めない現状では、両NGOを今から地域の拠点苗畑と位置づけていくことは、村側とも協議のうえ、見送ることにしました。当面は育苗能力を機動的に確保していくための連携という形で協力体制を維持していきます。
 また2014年度は、キリマンジャロ東南山麓でもHMFS植林に向けた育苗能力拡充のため、新規地域での育苗可能性調査と試験苗畑設置に取り組みました。これは国連開発計画(UNDP)からの支援を得て実施したもので、試験苗畑はキカララ村の青年グループ苗畑(育苗規模4千本)、キララチャ村の村苗畑(同3千本)、マルア村のバルタザールグループ苗畑(同3千本)、ムシリ村ナカラホテル苗畑(同2万本)の計4苗畑になります(いずれも植林は2015年度)。
 これらの苗畑は従来の苗畑グループとは異なる運営方法を採用しており、苗畑資材等の支援の他に、育苗計画に沿って育てられた苗木を最終的に植林用に買い上げる「契約苗畑」の形態を取りました。


■ 活動の自立 ■



◆1.TEACAの自立


設定した課題

 レンタルハウスの運営など、TEACAも自らの財政基盤の安定、強化に努めているが、自立にはまだほど遠い状況にある。2013年度は州によるNGOのサポートの術を探ったが、結局こちらも確たる財源を持たない州の限界が露呈し、行き詰まってしまった。
 そこで2014年度は、国連等の国際機関、中央政府(副大統領府)ないしはロータリークラブ等の民間団体からの支援が得られないか、または連携が図れないかを検討し、これらの機関、団体等に対し具体的な提案を行うこととする。

【結 果】

 TEACAより国連開発計画(UNDP)に対し、植林・養蜂の連携プロジェクトで助成申請をし、これが認められ2年分計16,845ドルの支援が得られることになりました(本申請はTEACAからの直接申請であり、会計上は当会とは別)。
 この支援により、植林では東南山麓での苗畑候補地調査及び最終的に4村での新規苗畑の立ち上げが実現し、また養蜂では計100箱の改良養蜂箱の配布を実施することができました。ただ今回の支援はあくまでも単発の事業支援であり、TEACAの長期的な自立という観点からの貢献度は低いと言わざるを得ません。
 一方、ロータリークラブとの協力関係の構築にも取り組み、モシ県ロータリークラブの例会(写真)に2回出席、また年度末には日本のロータリークラブとも接点ができ、キリマンジャロ山での取り組み状況について会長、幹事の皆さんに説明を行いました。具体的な協力や支援の可否について、今後検討していただけることになりました。




モシ県ロータリークラブの例会の模様


◆2.グループ積み立て


設定した課題1: キディア女性グループ

 すでに目標積立額を達成し、この資金を元手に自立のための新規事業(ハイブリッド種による養鶏事業)を立ち上げた同グループについては、TEACAのプログラムとしてのグループ積み立ては継続しない(自主的な積み立ての継続はグループの判断に任せる)。
 当会はグループの養鶏事業の確実な運営に注力し、事業の採算ラインである1人30羽の飼育目標を目指すこととする。
 新たな事業だけにまた課題や問題も多く出てくると思われ、グループの完全自立には2年程度はかかるものと見込んでいる。

【結 果】

 キディア女性グループの養鶏数は、全体では約3割増やすことができましたが、目標とする1人30羽の採算ラインは達成することは出来ませんでした(表3)。これは多くのメンバーがニワトリを盗まれたことによるもので、村(キディア村)では他の村人たちも同様の被害に遭っており、もはや窃盗団の様相を呈しています。
 養鶏事業は丁寧な指導とフォローをしていけば収益性も高く、メンバーの意気もまだ高いものの、窃盗に対する何らかの対策を打っていかないといずれやる気をくじいてしまうことになると危惧しています。養鶏事業で先行し大成功を収めているキランガ女性グループでは全員で犬を飼うことを決め、各自家で飼って窃盗の防止に成功しています。かといってキディア女性グループに犬を飼うことを強制することは出来ず、このニワトリ泥棒は頭の痛い問題となっています。
 このほか同グループには2日間の養鶏セミナーを実施しました。



設定した課題2: キランガ女性グループ

2013年度に会計簿の提出が滞った同グループについては、なによりその原因の究明を最優先する。100万シリングの積み立て目標額の達成を目の前にしていただけに、何とかその立て直しを図りたいと考えている。ただしその状況、内容によっては、今後の他グループへのグループ積み立てプログラムの適用のことも考え、たとえ目標額を達成しても、新規事業の立ち上げを1年延期する等の処置が必要になるものと考えている。

【結 果】

 会計簿未提出の問題は調査の結果、積立金を管理している民間の貯蓄融資協同組合(SACCOs:Savings and credit cooperative societies)の側に問題があることが分かりました。積立金の出し入れと通帳が合わなくなっており、SACCOs側(フケニ支部)は単純な計算ミスとしていますが、会計担当者に問題があると言わざるを得ません。支部全体での問題状況の把握には至っていないため、キランガ女性グループ、SACCOs、当会で話し合い、帳簿を修正させるとともに、SACCOsの会計担当者には間違いを招きやすい通帳の記入方法を改めるよう指示、またキランガ女性グループに対しては通帳に書かれた数字をそのまま信用せず、窓口でその都度自分たちで計算し直すように指導しました。
 これにより同グループは2014年度に積み立て目標を達成し、この資金を元手とした収入向上のための新規事業として村での冠婚葬祭用のイスの貸し出し事業を始めました。事業は順調に推移しており、すでにグループに収入をもたらし始めています。
 またグループによる養鶏事業も極めて順調に推移しており、メンバー1人当たり平均して牛1頭の飼育による牛乳販売並の純収益をもたらしています。養鶏は牛の飼育に比べると労働負荷を大幅に削減でき、飼料用の草刈り等、日々の重労働から解放されます。その結果さらに空いた時間の有効活用が図れるなど、女性にとってはとても魅力的な取り組みとなっています。ご主人からも一目置かれるようになり、女性の地位向上にも一役買っている側面があります。


◆3.養 蜂


設定した課題1: 低地養蜂事業<ミツバチ>

現状の、さらには今後一層重大な局面を迎える国立公園問題での対応への負荷を考えると、遠隔事業地である低地養蜂事業についてはこれ以上適切な事業管理、運営の維持は厳しいと考えざるを得ない。従って本事業は撤退の方向で検討する。

【結 果】

低地での養蜂事業は地元(カヘ区ンガシニ村)の養蜂グループに事業を移管し、予定通り撤収しました。


設定した課題2: 高地養蜂事業<ミツバチ>

 ミツバチ養蜂については、今後中間技術を用いたケニア式トップバー・ビーハイブへの切り替えを順次進めていくこととする。
 このため同養蜂箱の自己調達化を図るための製作技術の確立を目指すが、当面の間は、タンザニアの民間業者から調達する方向で検討し、調達可能であれば、2014年度は2箱程度を追加調達することとする(ただし価格次第)。

【結 果】

 計画通り中間技術を用いた改良養蜂箱(ケニア式トップバー・ビーハイブ)2箱を調達しました。ただし価格が高く、また遠方からの取り寄せが必要となる養蜂専門の民間業者を通すことはせず、地元モシの製材所に直接作製を依頼しました。
 改良養蜂箱はクリアランスがシビアであり、いったん完成した養蜂箱も作り直しが必要となりました。地元で規格通りのものを調達できるようになるまでには、まだまだ製材所のスタッフに対する指導が必要で、また経験を重ねて貰う必要があります。  収穫は低地養蜂事業が終了したこと、高地養蜂は養蜂箱を入れ替えたことから、3リットルに留まりました。




モシの製材所で改良養蜂箱用のトップバーを製作中



設定した課題3: 高地養蜂事業<ハリナシバチ>

ハリナシバチについては、引き続き新群の調達と、それによる飼育数の増加を目標としていく。新群の調達はほとんど運次第の状況であり、手に入るときに手に入る分だけ手に入れるという方法しか取りようがないのが実情である。

【結 果】

 ハリナシバチの新群調達は相変わらず困難な状況が続いており、2014年度も調達することが出来ませんでした。またミツバチの来襲を受けていた養蜂箱は結局乗っ取られてしまい、年度初8箱だった営巣養蜂箱は一時7箱に減ってしまいました。しかし2014年度は既存養蜂箱からの分蜂を実施したことから、最終的に設置数は年度初に比べ2箱増え、計10箱となりました(すべての養蜂箱で営巣中)。
 また2014年度の収量は11リットルで、コンスタントに10リットル以上を収穫し続けています。村での需要の高さも相変わらずで、収穫したハチミツはすべて地域の村人たちによって買われ、TEACAにはすでに在庫がない状態になっています。
 ミツバチとハリナシバチを合わせた養蜂事業全体でのTEACAの収入は年間約25万シリングとなっており、これは現地公務員の最低月給を上回るものです。私たち日本人の感覚でいうと25万円ほどになり、決して少ない額ではありません。ハリナシバチ養蜂はその中でも中核に位置するということがいえます。


設定した課題4: 養蜂事業の普及<ミツバチ>

2013年度のマワンジェニ村に続き、2014年度もキリマンジャロ山麓の村でのミツバチ養蜂の普及・拡大を図る。普及対象村はムウィカ地区のロレ・マレラ村とし、最も単純なプランクタイプ養蜂箱による展開をベースに考える。初年度は2箱程度を設置する予定。

【結 果】

 ミツバチ養蜂の普及については、UNDPからの資金助成を得られたことから当初より計画を拡大し、山麓の計20村に対し100箱の改良養蜂箱(ケニア式トップバー・ビーハイブ)及び養蜂道具の配布を実施しました。
 この養蜂箱の配布は、養蜂が地域の森林保全活動の促進や維持等において以下に挙げる様々なメリットを持っていることから、植林事業との組み合わせで実施したものです。従って配布対象としたのは、それぞれの村の中で植林に取り組んでいる環境グループや女性グループ、青年グループ等であり、グループの活動の促進や地域での森林保全意識のさらなる向上、啓発を目的として実施しました。

<養蜂の持つメリット>
・収穫されたハチミツ
  →販売収入がグループの資金源となり、活動の持続性確保に貢献
  →メンバーの収入向に繋がる
  →栄養および健康の維持、改善に寄与できる
・森林を減少させること(伐採)による収入ではなく、増やすこと(植林)により
 収入に繋げていくことができる(収入代替)
・より豊かな森がより豊かで安定したハチミツの収穫(=収入)へと繋がっていく
  →森林保全意識向上へのインセンティブ
・ミツバチによる農作物等への受粉効果

 なお、配布した養蜂箱については数量が多かったことから地元での調達は出来ず、モシ県森林養蜂局の協力を得て、隣のアルーシャ州の業者から調達しました。
 また当初年度内にこれらグループに対する養蜂研修を実施する予定でしたが、日程がタイトであったことから、2015年度に実施することとなりました。


■ 生活改善 ■



◆1.改良カマド普及

設定した課題

2013年度に採用した新方式による職人の養成を継続実施する。実施対象村はキレマ地区のルワ村を検討するが、TEACAの意見も取り入れた上で最終決定することとする。新方式による普及は今後も1年に1カ村のペースで続けることとする。

【結 果】

 新方式による職人養成を、計画していたルワ村にモヲ村を加えた2村で実施しました。養成研修はそれぞれの村で6日間ずつ実施され、もっとも廉価な普通石タイプ改良カマドの設置技術の習得を図りました。
 この研修では、村が選んだ職人候補がTEACAのカマド普及技術者とともに、連続して5基のカマド製作に取り組みます。いわゆるOJT(On the Job Training)形式で技術者がつきっきりで指導し、続けて何基も作ることから、確実に設置技術を習得することが出来ます(以前は村人からの設置依頼が来てからその家に技術者と職人候補が出向き、1基作っては次のオーダーを待ってまた設置をするという形で実施していましたが、技術者の負荷が高く、またスケジュールが立てづらいことから、普及対象村に泊まり込みでの連続設置方式に変えたものです)。
 なお、今回職人を養成したルワ村には、以前養成した職人さんがおられたのですが、2014年度に不慮の事故で亡くなってしまうという悲しい出来事がありました。とても残念で、また彼のご冥福を心からお祈り致します。



ルワ村に普及されたカマドをチェック中



◆2.コーヒー農家支援

掲げた課題1: 新品種接ぎ木研修

 2013年度に計画していたタンザニア・コーヒー研究所(TaCRI)専門家による5人のコンタクトファーマーに対する新品種の接ぎ木研修は、本人の都合が付かず、実施できなかった。接ぎ木技術は今後の新品種の普及に大きく影響してくるだけに、その技術習得は必須といえるものである。
 そこで2014年度は、コーヒー協同組合(KNCU)の研修に5人を派遣することとし、またTEACAと協議の上、場合によりTaCRI専門家による研修とTEACAによる研修を組み合わせて実施することとする。

【結 果】

 モシ近郊にあるKNCUの直営苗畑で実施する接ぎ木研修(3日間)に、当会が支援しているテマ村のコーヒー農家グループKIWAKABO(Kikundi cha wakulima wa kahawa bora)のメンバー10名及びTEACAから1名を派遣しました。当初計画では受講者数を5名に設定していましたが、KIWAKABOからの強い要請があり、人数を倍増させたほか、TEACAの苗畑管理人の接ぎ木技術のさらなる向上を図るため彼もあわせて派遣し、計11名での研修となりました。
 今回の研修をもって、KIWKABOの主要なリーダーに対する接ぎ木研修はあと数名を残し、ほぼ完了することが出来ました。今後は今回研修を受けたリーダーたちが中心となって、KIWAKABOのメンバーに接ぎ木技術を普及していくことが出来るようになります。
 なお、同研修にて接ぎ木技術が十分に習得されたことが確認できたため、TaCRI専門家及びTEACAによる追加研修は実施しませんでした。


掲げた課題2: 巡回技術指導の継続

元コーヒー栽培普及指導員のジェームズ・キサンガ氏による、5人のコンタクトファーマーを含む10人のKIWAKABOメンバーに対する巡回指導を継続実施する。

【結 果】

 2014年度もキサンガ氏によるKIWAKABOメンバー10名への巡回指導を継続実施しました。 KIWAKABOのメンバーもそれぞれ長くコーヒー栽培の経験を持っていますが、庇陰の度合いや選定の方法、タイミングなど、この巡回指導は大変役立っており、巡回先メンバーのコーヒー畑の状況も大きく改善が進んでいます。


掲げた課題3: KIWAKABOのデータ分析能力の向上

 KIWAKABOが独立したコーヒー生産農家グループとして独自に販路を確保していくためには、絶対的な生産量もさることながら、データによる分析能力の向上により、適切な状況判断と問題点の把握、改善及び目標の設定ができるようになる必要がある。そこで当会にて基本的なデータ処理についての指導を実施する。
 一方、KIWAKABOから要請されている、メンバーからのコーヒー買い付け用の初期回転資金の支援については、2014年度は見送る方針。

【結 果】

 データ管理においてはとくに各メンバーの過去からの収穫量推移を一覧化し、メンバー毎に収穫レベルでの個別の問題把握を出来るようにしました。またこれにより、KNCUにコーヒーが流れてしまうことをなるべく防ぎたいと考えています。
 回転資金については、計画では実施しない方針としていましたが、TEACAは集荷能力を向上させないとKIWAKABOの自立への道筋が立てられないとして、自己資金より回転資金支援(融資)を実施しました。しかし当会が実施したKIWAKABOへの会計監査において、回転資金の用途外への流用が確認されるところとなりました。KIWAKABOに対しては会員総会を開催し、事実関係を全メンバーに明らかにした上で、融資の返却および販売後のコーヒー売り上げからの各メンバーへの支払いをどうするかを協議、決定するよう指示しました。現地の会計年度が6月が年度末となるため、本件の最終決着は日本の2015年度となる見通しです。


◆3.その他

掲げた課題: 診療所支援

テマ村の新診療所については村側の着工を待つしかなく、着工を待ってその翌年度に予算化することとする。

【結 果】

 2014年度は予算を組みませんでしたが、ずれ込んでいたテマ村での新診療所の建設にようやく県からの承認がおり、2015年度から着工の見通しとなりました。


掲げた課題: 伝統水路支援

 キディア伝統水路の伝統溜め池"Nduwa"は以前より水量確保のための拡張の要望が出されており、キディア村との話し合いにより、必要と判断される場合は、支援を実施する。

【結 果】

 同水路については調査の結果、Nduwaの補強より流路上での漏水対策の方が優先度が高いとことが確認されました。2014年度は予算を組んでいなかったことから、2015年度に対策することとしました。


■ 研修/セミナー等 ■



◆1.子どもたちのスタディツアー

設定した課題

 キリマンジャロ山麓にある小学校1校を対象に実施している「自分たちの伝統、文化」をテーマにしたスタディツアーを、2014年度も継続実施する。対象校及び対象学年は、TEACA及び学校の先生方と協議のうえ決定する。なお、スタディツアーの実施先(マラングー)およびその方法については、見直す可能性がある。

【結 果】

 キルア・ブンジョー地区のマヌ小学校の5年生を対象として、マラングーにあるチャガ民族博物館へのスタディツアーを実施しました。同校はこれで3年連続での実施となります。
 なお、これまで訪ねていた地下トンネルについては、メンテナンスの状況が良くないことから、今回は訪問を見送りました。


◆2.ケニアでの養蜂研修

設定した課題

 ミツバチ養蜂の中間技術については、その確実な習得に向けて、ケニアのバラカ農業大学が実施する研修に毎年TEACAリーダーを派遣することが望まれる。
 ただし国立公園問題への対応から、この研修への参加は負荷が高く、2014年度も実施するかについてはTEACAと協議の上、決定することとする。

【結 果】

 2014年度は日程的に無理があると判断されたため、実施を見送りました。


◆3.日本人長期ボランティアの受け入れ

設定した課題

 現在当会に対し、TEACAの活動現場で1年間程度の長期ボランティアに取り組みたいとの要望が出されている。大学(持続可能開発専攻)を休学し、現在ナミビアで遊牧民の生活について学んでいる女性であるが、TEACAとも話し合い、基本的に受け入れる方針。実際に長期ボランティアにするかは、夏の現地調査時に本人と会い、最終決定する予定である。

【結 果】

 長期でのボランティア受け入れは最終的に見送りましたが、7〜9月の約2ヶ月間、日本人としては初となるTEACAでのボランティア受け入れを実施しました。現地ではRafikiプロジェクトを中心にプロジェクトの手伝い及びフォローにあたっていただき、特に「自慢の森」の名前の最終決定段階では、一人で切り盛りするなど、大変活躍し、また助けていただきました。


■ 2014年度会計報告 ■



    ◆
2014年度決算書 (PDF)







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