TANZANIA POLE POLE CLUB

2012年度事業報告


■ 村落植林活動 ■

◆結果/実績

1.国立公園化問題への対応

掲げた課題:(1)国立公園における地域主導植林(第2次、植林規模1万2千本)の実施

・2011年度に実施に移した国立公園内の旧ハーフマイル・フォレスト・ストリップ(以 後HMFSと表記)における地域主導植林は、国立公園化という旧態依然とした要塞型自然保護(人間排除)の手法に対し、誰が森を守ってきたのか、誰が森を守れるのかを、地域とそこに暮らす住民が強力に発信する画期となった。2012年度は、その第2次植林を実施する。キリマンジャロ山の森林保全・管理のためには、地域が主体となった仕組みが必要であり、その実現のためには、車の両輪として政策、制度面での見直しを促していくアプローチと同時に、こうした実行面での事実と実績を積み上げ、実証していく取り組みは欠かせないものである。

・地域主導植林の実施対象地域は、2011年度のムウィカ地域、キレマ地域の2地域に加え、2012年度はマラングー地域にも拡大実施する。

・ムウィカ、キレマの両地域には、新規苗畑を開設し、地域主導植林の定着、強化を目指す。




表1:小規模苗畑グループ活動実績



写真1:苗畑位置図



【結果/実績】

 国立公園内における第2次植林を計画通り実施。植林実績はキレマ地域9樹種5,750本、ムウィカ地域6樹種4,500本、マラングー地域7樹種2,050本、合計12,300本で、こちらも計画通りの実績となった。
このうち、ムウィカ、キレマの2地域に続く国立公園の旧HMFSにおける新規植林地として展開するとしていたマラングー地域では、ムシリ村を選定した(写真1、K)。
また、キレマ地域にはルワ村のマウア・セミナリーに新規苗畑を新設(同I)、ムウィカ地域にはロレ・マレラ村のロレ小学校(同J)に新規苗畑を新設した。これにより徐々に地域が自前で調達していける体制を築くことが出来た。
 こうした国立公園での取り組みは、人間排除による自然保護という旧態依然とした政府の論理に対して、それが現地では実質的に機能することはなく(=地域住民は森林に入らざるを得ない)、その論理に変わる新たなパラダイムとして、適切で持続的な森林管理の方向性を、政府に事実と実績によって示していくことにその目的がある。
 そしてその成果と効果はすでに現れていると言って良い。当初州は地域住民の完全排除と、それを前提とした、旧HMFSのキリマンジャロ国立公園公社(KINAPA)による完全管理を支持し、推進していた。しかし現在では、森林保全における地域及びその住民たちが持つポテンシャルを強く認識し、協力を積極的に進める方向に転換してきている。そしてこの方向転換は、上記3地域での取り組みがなければ、為されることはなかったと言って良いだろう。

ただし、この結果を諸手を挙げて喜べる状況とはなっていない。なぜなら、地域の持つポテンシャルへの理解は、そのまま森林保全において地域を行政の「都合の良い下請け」と捉える発想へと繋がる懸念が生じているためである。

2012年度は、こうした「地域の下請化」が国際援助機関によっても助長されかねない状況を生むこととなった。国連開発計画(UNDP)がキリマンジャロ山の環境保護活動のために拠出しようとしている援助資金がそれにあたり、KINAPAによる地域住民の動員のために使われる可能性が出てきている。

 トップダウンによる森林保全政策や表面的な住民参加は、キリマンジャロ山の森林管理において失敗してきたのが過去の歴史であり、昨年度は、排除の対象とされてきた地域とその住民たち自身が主導する森林保全・管理を実現する上で、新たな課題に直面することともなった。




掲げた課題:(2)地域による森林管理のルール作り

・キリマンジャロ山の国立公園(旧HMFS)に沿って存在する村々を集めた、地域横断による定期協議を2012年度も継続開催し、旧HMFSの森林保全・管理のあり方について引き続き協議していく。

・ただし村に既存のルールが抱えている欠点、問題点に気付き、それらを克服できる新たな発想に基づく仕組みやルールの構築は、協議の実施だけでは限界がある。それを補うための研修やセミナーと組み合わせていくことが求められる。(←この部分については、後述の「研修/セミナー」の項目で触れる)。


【結果/実績】

 国立公園に取り込まれた旧HMF Sの約6割を占めるモシ県(Moshi ruraldistrict)内の旧HMFSに沿った村々の首長を集めた、地域主導による森林管理のあり方を話し合う協議会を継続開催した。これまでの協議を通して地域主導に対するコンセンサスの形成は図られつつあり、これをどう具体的に実現していくかに焦点は移ってきている。

 その第一段階として、タンザニアの農村開発分野で幅広い活動を展開しているNGO・Envirocare およびダルエスサラームに本拠を構えるNGO・International Youth Development Program から講師を迎え、「森林管理と指導者の役割」をテーマとするセミナーを協議会において実施した。

 新たな森林管理の仕組み作りにおいては、それが確実に機能し、地域の人々によって持続的に保持されるものでなければならない。それだけに、2012年度は拙速に仕組み作りに着手するのではなく、内部での協議を重ねるプロセスに後述のセミナーなども含め、外部からの知見も加え、最良の方法を模索していく方向での取り組みに重きを置いた。今後も当面は、スピードよりプロセス重視の方向性で望む必要があるだろう。




掲げた課題:(3)各行政レベルに対するアプローチ

・国/県: 国立公園法の改正に向け、引き続き国会議員へのアプローチを行う。また県レベルでの森林条例の制定に向けては、県議会議員へのアプローチも必要になってくるが、これは国立公園法の動き如何の判断となってくる。

・中央省庁: 中央政府の森林関係部局の組織改編にともない、それまで森林を扱っていた天然資源観光省下の森林養蜂局が政策・制度面を担う森林養蜂局と、その実行を担う半独立のエージェンシーTanzania Forest Services(TFS)とに組織分離した。今後所轄省である天然資源観光省も含め、国立公園問題への対応に関し、組織的見極めと新たな関係構築が必要となってくるため、これに取り組む。

・州: これまで進めてきた国立公園化問題に対する対処(中央政府による国立公園内における植林許可取り付け等)は、それまでに築いてきた県、州との良好な関係が大きな力となっていた。しかし2011年に州知事の交代があり、さらに赴任した新州知事が実質的にKINAPA(キリマンジャロ国立公園公社)の案による旧HMFSの完全掌握に同調する動きを見せている。このため2012年度は新州知事との関係構築に取り組む。また、キリマンジャロ山の森林保全・管理における地域主体、主導の有効性とその必要性への理解を求めていく。


【結果/実績】

●国/県:
目的とする国立公園法の改正に向けては、これといった動きに繋げることは出来なかった。議員へのアプローチ機会は州知事や県知事より限られており、TEACAが単独で働きかけるこれまでの方法では、早期に国立公園法の改正へと議員の意識を変えていくことは困難な状況といえるだろう。

●中央省庁:
2012年度は、州による環境NGOタスクフォースの立ち上げ、県とKINAPAによるモシ県内の森林境界沿いの全村訪問といった新たな動きへの対応があり、中央省庁およびTFSへの対応は手が付けられなかった。旧HMFSに沿ったモシ県内の36村による森林管理・保全の仕組み作りが一段落するまでは、両者への働きかけは身動きが取れない可能性が高くなっている。

●州:
州レベルでの取り組みでは、2012年度は劇的な進展をみることとなった。その経緯は新任のレオニダス・ガマ・キリマンジャロ州知事招集による、以下の会議の流れに端的に見て取ることが出来る。

・キリマンジャロ山麓4県全首長会議(KINAPA、旧HMFSの単独管理を宣言)
                  ↓
・モシ県の全首長会議(全首長がKINAPAによる旧HMFS掌握への断固反対を表明)
                  ↓
・キリマンジャロ州下の全環境NGO会議(直前にガマ知事が、旧HMFSを地域帰属に戻す方針を表明)


 州知事がKINAPAによる旧HMFSの完全把握に待ったをかける方針転換を行ったのは、旧HMFSの約6割が属しているモシ県の首長らが、それまでTEACAが取り組んできた協議会の場を通して自分たちの考えをまとめ、一枚岩となって主張したことが大きく功を奏したといえる。

 知事のこの方針転換により、中央省庁(天然資源観光省)からの植林許可にも関わらず、KINAPAによる妨害を受け続けた国立公園内旧HMFSでの、地域住民による植林活動については、暴力等の一切の干渉を恐れることなく取り組めることとなった(※ただし許されるのは、「苗木を植える」という行為のみで、植林地のメンテ作業などは一切禁止)。

 ただし、行政(KINAPAを含む)に対する地域の下請化の懸念が払拭できず、今後両者の信頼の上に立った協調・協働の関係をどう構築するか、今後の大きな課題となってくるだろう。




【その他】

TEACA、タンザニアの最優秀環境NGOに選出される

 5月に開催されたタンザニアの環境デーにおいて、TEACAが同国における最優秀環境NGOに選出され、ジャカヤ・キクウェテ大統領から表彰を受けた。この結果は、これまでの20年以上にわたるキリマンジャロ山麓におけるTEACAの活動実績と、その地道な取り組み姿勢が評価されたものとして、素直に喜びたい。それと同時に、TEACAとお互いに対等なパートナーとしての関係を築き、ともに切磋琢磨して歩んできた当会としても、これまでの歩みに間違いはなかったものと心強く思っている。
 今後もこの結果に奢ることなく、しっかりと地に足を付けた取り組みを続けていくつもりである。
(※TEACAには政府から副賞として500万シリングが贈呈され、TEACAはその半額を自己の活動資金にし、残り半分をテマ村の社会開発費として村に寄贈した)。




■ 活動の自立 ■


◆1.グループ積み立て


掲げた課題

・2012年度末には、積み立てを行っているグループのうち、キディア女性グループは積み立て目標額の100万シリングを達成する見込みである。またキランガ、フォイェニの両女性グループも2014年度中には目標額に達する。2012年度は昨年度に検討を行うことが出来なかった、積み立て資金による自立事業の策定を行う。


【結果/実績】

 グループ積立では、キディア女性グループが遂に目標積立額100万シリングを達成した。また、キランガ女性グループは目標年より一年前倒しで、2013年度中に同目標額に達する見込みとなっている。一方、フォイェニ女性グループはグループの統率に問題があり、これ以上の積立ての継続は無理との判断に傾きつつある。

 このグループ積立ては、グループの先々の利益を考えながら、毎月コツコツと取り組み続けていく必要があり、そのためには各メンバーの取り組みに対する理解と同時に、グループの未来に対する展望と、その実現に向けたリーダーのリーダシップが求められる。2012年度の結果は、この点を改めて強く認識させるものとなり、またグループ積立導入の際のグループ選択およびその実行力評価、導入方法についての課題を提起するものとなった。

 2012年度はまた、グループ貯蓄とセットで実施しているニワトリ銀行プロジェクトで、キランガ女性グループが大きな成功を収める年ともなった。他の女性グループからも具体的手法を学ぶため視察の要望が出されるなど、地域的なインパクトも生みつつある。またこの取り組みは世帯の男性からも一目置かれるようになっており、家庭における女性の発言権や地位の向上にも一定の役割を果たしているものと思われる。

        
            表2:各グループの積立状況         写真2:キランガ女性グループのハリナシバチ養蜂事業    写真3:フォイェニ女性グループの運営するキオスク





◆2.養蜂


掲げた課題

(1)低地養蜂事業<ミツバチ>
・営巣率向上のために、未営巣養蜂箱は養蜂小屋から出し、ハチの飛行経路上にある木に吊り下げ、営巣後は従来通り管理負荷軽減のために養蜂小屋に戻すローテーション方式への切り替えを行う。
・集中的管理が必要なラングストースタイプ改良養蜂箱から、シンプルな管理で済むプランクタイプ改良養蜂箱への切り替えを検討する。

(2) 高地養蜂事業<ハリナシバチ>
・地域的にハリナシバチの数が減っている中で群れの新規調達が厳しい状況となっている。しかしハリナシバチはミツバチと違い、営巣していれば確実にミツの収穫に繋がるため、安定的自己資金調達源の一つとして、毎年3群程度ずつ養蜂数を増やしていく基本方針を堅持する。

(3) 高地養蜂事業<ミツバチ>
・養蜂箱の傷みが激しいため、新規養蜂箱への更新を今後順次進める。その際、新規養蜂箱をラングストースタイプとするかプランクタイプとするかについてはTEACAと協議の上決定する。


【結果/実績】

(1)低地養蜂事業<ミツバチ>
 未営巣養蜂箱の吊り下げ設置を実施し、営巣率は43%から83%まで向上したが、伝統養蜂家が使っている“秘伝”のBee Waxを未営巣養蜂箱に塗布したため、営巣率の向上が木に吊したことによるものなのか、このBee Waxによるものなのかは、実際のところ判然としていない。秘伝のBee Waxによる場合、継続した入手が困難であることから、今後ハチが逃亡した場合、再び営巣率を向上させるのが難しい状況は変わらない可能性もある。
 なお、ラングストースタイプ改良養蜂箱からプランクタイプ改良養蜂箱への切り替えは、以下のハリナシバチ養蜂箱の計画比倍増投入を実施したため、予算的に実施を見送った。

(2) 高地養蜂事業<ハリナシバチ>
 困難であった蜂群の入手目処がついたことから、期を逃さないため、急遽事業計画の倍にあたる6箱(営巣済み)を新規増設を行った。

(3) 高地養蜂事業<ミツバチ>
 こちらもハリナシバチの調達を優先させたため、新規養蜂箱への切り替えは見送った。



【収穫/販売実績等】

 2012年度のハチミツ収量は、営巣率が低下していたミツバチが2.5リットルで前年比マイナス約70%の大幅減、逆にハリナシバチは12リットルと、過去最高であった昨年度の10.5リットルをさらに上回り、過去最高収量となった。
 一方、販売実績は、ミツバチが42,500シリング、ハリナシバチが152,000シリングで、ミツバチは収量の減少が響いて前年比半減、ハリナシバチはほぼ前年並みの販売収入となった。



【その他】

 養蜂は、地域においてハチミツに対するコンスタントな需要が見込めることから、自己資金調達力強化のための比較的堅実な取り組みといえる。しかしミツバチ養蜂とハリナシバチ養蜂とでは、その安定性・確実性の面において差が顕著となりつつあり、ここ数年、とくに低地平野部において連続して雨量が少ないという環境の変化が営巣放棄等、ミツバチ養蜂にも影響を及ぼしている可能性がある。
 今後はこうした状況も踏まえた上で、事業の方向性を判断していく必要が出てくるかも知れない。





◆3.レンタルハウス


掲げた課題

TEACA事業資金の30%までは賄えるようにすることを目標に、貸出条件(月20〜25万シリング/部屋)での入居者の募集を継続する。


【結果/実績】

 モシの町の近郊に建設したレンタルハウスであるが、2012年末から3部屋すべてで貸し出しを開始した。ただし当初設定していた入居額では折り合うことが出来ず、最終的に15万シリング/月の設定となった。この結果、TEACAの自己資金調達率は20%程度に留まる見通しである。





◆4.穀物貯蔵事業


掲げた課題

・昨年度調達した7tのメイズの販売を行う(純益約35万シリングを見込む)。

・また市場価格動向によって、同量のメイズの追加調達を行う。


【結果/実績】

 キリマンジャロ州では、ここ数年にわたる雨量の減少を主とする気候の不安定化により、2012年度には深刻な食糧不足に陥ることが予測された(以下の現地報道参照)。そのため政府および赤十字等による大量の食糧援助が実施されるところとなった(2012年前半に州が受け取った食糧援助は穀物約8千トンで、うち約6千トンがメイズ)。
 この結果、市場のメイズ価格が大幅に下落し、本プロジェクトで貯蔵しているメイズの販売はほぼ出来ない状況となった。プロジェクトで貯蔵しているメイズ7トンのうち、販売できたのは2トンのみとなった。
 また、まだ5トンの貯蔵残があることから、2012年度は、追加の調達についても見送ることとした。




写真4:キリマンジャロ州の食糧危機を伝える現地報道(2012年3月12日付Daily Newsインターネット版)



■ 生活改善 ■


◆1.改良カマド普及


掲げた課題

・2012年度は、新規にカマド職人の養成を行った5村(テマ村、モヲ村、ルワ村、ロレマレラ村、マワンジェニ村)での普及フォローアップを重点課題とする。各職人はそれぞれの村で2基の試作カマドを作ることになっており、TEACAによる技術レベル確認後、村会議等の場で広報活動を開始する。

・溶岩タイプ改良カマドの普及用パンフレットの作成が必要となっているが、国立公園問題への対応でTEACAの負荷が高い状況が続いており、2012年度は努力目標に留める。


【結果/実績】

 2012年度の改良カマドの普及活動については、大幅な遅滞が出ることとなった。当初計画では、5村に養成した新たなカマド職人に対して設置技術のフォローアップを行うことにしていたが、完了できたのはモヲ村、ルワ村の2村のみであった。
 パンフレット作成については、溶岩タイプカマドからさらに普通の石を使ったカマドの作成を行い、これのモニター中であるため、作成を見送った。普通石タイプのカマドがうまくいった場合、鍋掛口部分を除いて、カマドのすべてを地元の資材だけで作れるようになり、これが改良カマドの最終版となる。






◆2.コーヒー農家支援


掲げた課題

・コーヒー農家グループKIWAKABOのコンタクトファーマー5名の接ぎ木技術を確実にするため、2回目の接ぎ木研修を実施する。

・コーヒーを専門としていた元農業指導員ジェームズ・キサンガ氏による、コンタクトファーマーの巡回指導を、2011年度に引き続き実施する。

・Envirocareによる有機コーヒープロジェクトの導入によりメンバーを急拡大(280名)させているKIWAKABOの生産量と品質の把握が必要となっているため、実態調査を実施する。


【結果/実績】

 KIWAKABOのコンタクトファーマー5名に対して、計画通り2回目の接ぎ木セミナーを実施した。ただし1回目には成功した接ぎ木が、2回目は全員枯れてしまう結果となった。原因は、@接ぎ木後の工程管理、Aグリーンハウスの立地のいずれか、もしくはその双方に問題があると思われ、原因究明と指導のため、タンザニアコーヒー研究所(TaCRI)に専門家派遣を要請したが、担当官の都合から実現に至っていない。

 元農業指導員ジェームズ・キサンガ氏によるコンタクトファーマーの巡回指導は、対象農家を当初計画していた5名から12名に増やして実施した。これによりテマ村のすべての村区が巡回指導の対象となった。2012年度は畑に植えられた新品種の選定及び庇陰管理について重点的に指導を行い、月次レポートではその確実な改善が報告されている。

 KIWAKABOの生産量、品質の把握については限定的なものに留まった。これはKIWAKABO名での競売所への直接出荷が遅れたため、メンバーの多くが協同組合(KNCU)に個別に生豆を販売してしまい、そのKNCUから情報を得られなかったことによるもの。

 競売所に出荷された生豆の最終出荷量はまだ報告が上がってきていないが、1トンに満たないものと思われる。初期ロットの品質状況は、比較的品質の良いAAとA・B/PBを合わせた合計は、KIWAKABOが87.5%、AA=10%、A・B/PB=77.5%、UG=12.5%で、これをタンザニアコーヒー公社(TCB)の2003/04年度〜2009/10年度の生産量統計資料から得られるデータと比較してみると、75%となり、KIWAKABOの品質が上回っていることが分かる。但し、最高格付けであるAAは、前者の10%に対して後者は20%であり、上記の結果は決して満足できるものではない。この点は、今後さらなる品質の向上を目指して、栽培管理の徹底を求めていく必要がある。







◆3.診療所/健康支援


掲げた課題

・テマ村から要請のある高地部への新診療所建設のための積立てを行うかの検討を行う。

・テマ村で身よりのない老人の世話や伝統薬草栽培に取り組んでいる女性グループ(Faraja/Upendo女性グループ)との協力活動の可能性を検討する。


【結果/実績】

 テマ村高地部への診療所建設は、マイデニ村区にあるオリモ小学校近くに建設予定地を設定した。現在県保険局による実地調査を待っており、建設は調査が終わってから開始となる。予算措置は実際建設に着手できることになってからとしたため、積み立ては行わなかった。
 女性グループでは、Faraja女性グループへの支援を開始した。内容は伝統薬草・野菜栽培畑の運営を補助するもので、入手の難しい種子、種芋の確保、堆肥および資材の支援を実施した。







◆4.伝統感慨水路復旧支援


掲げた課題

・キリマンジャロ山麓オールドモシ区をカバーする主水路キディア水路の伝統貯水池“Nduwa”への泥排出用バルブの設置を行う。

・同Nduwaへの流入水量増大を図るため、上流に位置する放棄水路ムヲ水路の復旧の必要性があるかを調査し、またキディア村との検討を行う。

・昨年度調査を実施した、テマ村で現在も利用されている主力伝統水路ムレマ水路について、漏水防止のための補修工事を一部でも実施できるかを、水路管理氏族のリーダーらと検討 する。ただし予算的に厳しい状況であり、実施を見送る可能性もある。


【結果/実績】

 キディア村伝統溜池への泥排出用バルブの設置支援は、村側の自助努力分(工費の半分)についての合意がとれず、実施を見送った。ムヲ水路については全ルート(7.8km)の調査を実施したが、復旧には数百万円かかると思われ、選択肢として現実的でないと判断した。ムレマ水路の一部補修については、予算余力がなく、実施しなかった。





■ 教育支援 ■


◆1.小学校への文具支援


掲げた課題

キリマンジャロ州下の小学校4校(オリモ小学校、フンブフ小学校、リアタ小学校、マヌ小学校)への文具支援(ノート、鉛筆、ボールペン)を継続実施する。


【結果/実績】

 4校への文具支援を計画通り実施した。







◆2.子どもたちのスタディツアー支援


掲げた課題

キリマンジャロ山麓にある小学校1校を対象に実施している、「自分たちの伝統、文化」をテーマにしたマラングーへのスタディツアーを、2012年度も継続実施する。対象校及び対象学年は、TEACA及び学校の先生方と協議のうえ決定する。


【結果/実績】

   2012年度は、これまでスタディツアーを実施していなかった地域に対象を拡大することにし、キリマンジャロ山麓ブンジョー区を選定した。実施したのは同区にあるマヌ小学校で、5年生を対象として、マラングーへのスタディツアーを実施した。





■ 研修/セミナー等 ■


◆1.森林管理の先進事例に学ぶスタディツアー


掲げた課題

キリマンジャロ山における持続的森林保全、管理を実現していくためには、従来のパラダイムにとらわれたルールでは決してうまくいかない。そのことは森を守ることが出来なかった過去の事実からも明らかである。新たなパラダイムに基づく新たなルールを作るためには、すでにそうした先進的ルールを導入し、成功している事例を通した学びのインパクトが大きい。

2012年度はキリマンジャロ山麓の村々の指導者を対象として、そうした先進的ルールと仕組みについて学ぶためのスタディツアーを検討する。訪問候補地としては、シンギダ州で複数村によるコミュニティ・マネジメントが実践されているムゴリ・フォレストを検討している。


【結果/実績】

   スタディツアーの実施先はムゴリ・フォレストで決定し、当初2月実施で計画していたが、TEACAの負荷的な問題から時期がずれ込み、2012年度には実施できなかった。ムゴリ・フォレスト側との受け入れ調整は済んでいるため、2013年度に実施する。







◆2.モシ校外県の村指導者によるHMFS管理に対する意見集約会議


掲げた課題

昨年2月、キリマンジャロ州知事がキリマンジャロ山内に存在するすべての村の指導者を集めて開催した緊急会議において、HMFSのKINAPAによる実質的掌握が決定的となった。しかしこの会議には、HMFSが最大面積を占めるモシ郊外県の村が一つも参加できていなかったことから、これらの村の指導者を集め、HMFSの森林管理に対する意見表明を行うための会議開催を検討する。但し、この会議は政治的なインパクトも大きく、実施の是非は、TEACAおよび村の指導者らと慎重に判断することとする。


【結果/実績】

   モシ県(Moshi rural District)のHMFSに沿った33村(全部で36村ある)の首長および州、県の森林部門関係者約100名を集め、キリマンジャロ山の森林管理のあり方を協議するための会議を開催した。
 従来各村は、国立公園の拡張問題に対して、政府のイニシアティブ(トップダウンによる政策決定)に従わざるを得なかった。こうした状況を打開していくため、これまで当会は、キリマンジャロ山の森林管理について地域の意思を政策決定に反映させていくための仕組みの構築に努めてきた。それがモシ県下のHMFSに接する各村の首長を集めた協議会の立ち上げであり、これまでその核(基礎)を築き上げることに注力してきた。

 今回の会議はその集大成といえるもので、いよいよほぼすべての村で状況認識を一致させ、意見集約を図り、統一的な意思決定とその仕組み作りに向けた方向性を打ち出す段階に至ったことを意味している。

 会議では森林の保全・管理においてこれまで地域が果してきた役割の再認識が図られ、トップダウンによるより地域の発意(主導)に基づくボトムアップ型を実現していく方針が決議された。またこの会議において、今後具体的な方法論を詰めていくための場(タスクフォース)として、16人の地域代表が33村より選出された。
 今後はTEACAにかわり、このタスクフォースが地域主導の森林管理に向けた中心的役割を担っていくことになる。

                              

図1:キリマンジャロ山のかつての管理構造。現在はHMFSを含む上図領域全てが国立公園化     写真5:36村主張らを集めて開催したキリマンジャロ産の森林管理についての会議模様







◆3.LEATによる森林・環境法令セミナー


掲げた課題

2011年度に開催できなかったLEAT(Lawyers' Environmental Action Team)による森林・環境法令セミナーであるが、2012年度も開催は難しいと思われる。しかしHMFSの帰属問題の動向次第では、いつでも機動的に開催できるように準備しておく。


【結果/実績】

 LEATによるセミナーは、地域主導による森林保全・管理の実現に向けて、それが持続的に機能するものとなるよう、各村の指導者らがタンザニアの森林・環境法令についての理解を深め、また村での新たな環境保全規則(Sheria Ndogo Ndogo)の策定にあたって留意すべき事項を学ぶために計画したものである。
 また理論面での強化を図るこのセミナーは、タンザニアにおけるコミュニティ・マネジメント・フォレストの先進事例である、ムゴリ・フォレストへのスタディツアー(現場の実態、経験から直接学ぶ)と対をなして計画されたものである。

 セミナーは2日間の日程で、モシ県下のHMFSに沿った36村の首長を集めて開催された(参加者84名)。その中で、森林管理において地域に認められた権利と負うべき義務、ボトムアップでの規則策定にあたって踏むべきプロセスを中心に講義が行われた。

 十全には機能しない村の規則を掲げて地域主導の森林保全・管理を主張することには意味がないばかりか、それは単なる地域のエゴともなりかねない。過去の反省の上に立ち、一人一人の住民によって長く保持され、機能する新しいルールの策定が必要とされている。
 このセミナーは多くの首長がそのことに気づき、また政府に対して、地域の統一的な主張を明確な代替案とともに提示していく第一歩となったと位置づけることが出来るだろう。


               
写真6、7:LEATによるセミナーの模様。出席した36村があるモシ県には旧HMFSの約6割が属している。(写真1,図1参照)








■ 2012年度会計報告 ■


    ◆
2012年度決算書(PDF)




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