TANZANIA POLE POLE CLUB

2010年度事業計画


■ 村落植林活動 ■

◆国立公園領域拡大に対する対応

figure5  キリマンジャロ山における植林活動ひいてはその森林の保全に関わる現在の最大の課題は、国立公園領域の拡大と、それへの対応に集約できるといえる。
 2010年度は、ようやく動き出した政府の国立公園境界見直しの動きを、地域住民の利用を認める区域(緩衝帯)であった"ハーフマイル・フォレスト・ストリップ"(以下、HMFS)から、完全に外す形での実行を確実なものとするべく、引き続き政府森林関連部局との協議を行っていく。
 同時に、国立公園領域見直し後を睨んだ動きもかけていく必要がある。HMFSの管轄権は「県」に委ねられると思われ、そこでどのような森林管理のための方針が示され、政策および条例が適用されるかによって、その後のキリマンジャロ山の森林の保全、衰退に大きな影響を及ぼしていくことになる。
 そのため、県の方針(=県議会の決定)において、森林管理が従来のような機能不全であった管理強化の轍を踏むことなく、確実に機能し、持続的に実行される適切な森林管理政策として打ち出せるよう、新たな森林管理の仕組みを提言し、議会で通してもらう必要がある。
 そのためには、県議会議員とのパイプを作る必要があり、まずその方策を探ることとする。 次に、上に述べた適切な森林管理手法とは、「地域(=村)主導による森林管理」であると当会では考えている。すでに2009年度に、キリマンジャロ東南山麓にあるテマ村、キディア村をはじめ、幾つかの村と「地域主導による森林管理」の方針共有作業に着手しているが、村による森林管理の仕組みと制度の中心をなす考え方、押さえるべきポイントが、まだ明確に整理されてはいない。これには、現地における環境関連法令や現地実態に長けた法律専門家の助言を得ながらあたっていくことが重要であると考えており、タンザニアの環境法令を専門的に扱う法律家組織である"LEAT(Lawyer's Environmental Action Team)"への協力を要請していくつもりである。
 また、キリマンジャロ州ではないが、地域住民の管理により森が守られている事例(アルーシャ州)があり、その仕組みを学ぶため、テマ村、キディア村等の村人を対象としたスタディツアーを実施する。
 村による森林管理の中心概念がある程度まとまった段階で、HMFSに沿って存在する村を集め、その連携と統一的な実行体制の整備に向けた協議を定期開催していくようにする(出来る限り多くの村を対象とすることが望ましいが、急激な展開はかえって齟齬を生む可能性が高く、その場合は村主導の森林管理に強い意思を持つ数村から始める)。これらの協議は、県及び州の森林関連部局と緊密な連携のもとに進めていくこととする。
 ただし、これらの動きの全てを2010年度内に実行し、結果を出すことは無理で、最低でも2年は必要になると考えている。また、2010年度は考慮しないが、この実行のためには、現場に張り付きでフォローできる体制が必要となってくる。これは現在の当会の体制そのものの見直しを迫るものであり、今後検討が必要となってくる。

◆苗畑グループへの対応
figure6
 今後苗畑グループは、地域主導植林への注力に伴い、大幅な再編が必要となってくる。これからは村と連携した確実な苗畑運営が求められ、そのフォローにあたるTEACAの資源も、そのために集中配分をせざるを得ない。村との連携が可能な体制にあるHMFS沿いの苗畑グループは、TEACA、フンブフ、キディアの各苗畑グループであり、今後はこの3苗畑グループに集中していく。
 残る苗畑グループのうち、サンバライグループは自立運営が可能なことから独立させ、オリモ、メルーの各小学校苗畑は廃止、フォイェニ、キランガ女性グループ苗畑は、2010年度は地域主導植林とは切り離した形で支援を継続、2011年度以降もさらに継続するかはTEACAと協議していく。
 また、2009年度に苗畑を新設したマヌ小学校は、すでに村と連携のもとに植林に取り組んでおり、支援を継続する。
 一方、2010年度はHMFS沿いの村々との連携強化を図ることから、今後それらの村での植林活動のバックアップを検討する必要がある。具体的には、2010年度はロレ・マレラ、キレマ、マウアのいずれかの村に対する苗木供給による植林支援を検討することとする。


■ 活動の自立支援事業 ■

◆グループ貯蓄

 グループメンバーによる毎月の定額積み立て(月1,000シリング)は、2009年度をもってほぼ定着させることができた。1年間、実行能力とメンバーの意思の見極めを行ってきたフォイェニ女性グループも、昨年度は自主的な積み立てを確実に実行し、さらに積み立てに加わるメンバーも増えたことから、正式に貯蓄グループに加えることとする。これにより2010年度は、キディア、キランガ、フォイェニの3女性グループが、このグループ貯蓄の対象グループとなる。
 貯蓄は各グループが自立を図るための、小規模収入事業の立ち上げ原資としていくためのものである。事業立ち上げのためには、まだ積立額は不足であるが、貯蓄活動の定着が図れたことから、2010年度は各グループとどのような事業に活用していくを考えていくこととする。できれば具体的な積立目標額の設定を行うこととする。
 また2010年度は、前年度にグループ貯蓄を完全実施した、キディア、キランガの両女性グループメンバーに対して開始した、ニワトリ銀行により生まれた2世代目のニワトリ(通常の銀行の利息にあたる)の、グループへの提供が11月に行われることになる。その確実な実施フォローと、このニワトリ銀行が、グループメンバー及びグループの活動にとってどの程度インパクトあるものであるか、その評価を行うこととする。


◆養蜂事業

(1)低地養蜂事業<Kahe事業地>
 低地養蜂事業は、2009年度の降雨不足で大打撃を受けた。ほとんどのミツバチが水と花を求め、営巣を放棄し逃亡してしまったことから、また一から営巣を回復させていかなければならない。しかし天候の不安定な乾燥地では、ミツバチの住みやすい環境を整えることから始めなければならず、営巣の拡大より、環境整備(=蜜源樹および花卉類の植栽)を進める。この状況で2010年度の収穫はほとんど見込めないものと思われる。


(2)高地養蜂事業<ハリナシバチ養蜂事業>
 2009年度はこれまでで最大の収穫量を記録したが、引き続き養蜂箱の増設(2箱程度)を行っていく。
 また収量の拡大に伴い、今後は販路の拡大も考えていかなくてはならない。そこで県森林養蜂局に協力ないしは助言も求めながら、その拡大に努めていく。


(2)高地養蜂事業<新規ミツバチ養蜂事業>
 2009年度のように、低地での養蜂は天候不順にあうと、一気に事業が壊滅的な影響被ることが明らかになった。
 そこで2010年度は、ミツバチが逃げ出すほどの降雨不足のない、山岳部(=TEACA事務所のある標高1,600m付近)に、低地と同様に集約的養蜂が可能な養蜂小屋を建設する。 養蜂箱はすべて改良養蜂箱を用いるが、新規に作成することはせず、低地養蜂で逃亡のため空となった養蜂箱の一部を流用し、5〜10箱を設置する。



◆新規収入事業<レンタルハウス>

 レンタルハウスの建設がいよいよ完了することから、TEACAと運用規則の子細について取り決めを行う。
 建物は3事務所ないしは3世帯に対する貸し出しが可能な構造となっており、付近の直近の相場調査を行ったうえで、入居者の募集を開始する。支払いの確実性を考えるなら、出来る限り事務所用途として貸し出したい考えではあるが、そのあたりは応募状況を見ながら、慎重に判断していくこととしたい。
 このレンタルハウス事業は、従来のダルエスサラームでの事業に代わる、TEACA自立のための自己資金調達の柱と位置づけられるものである。その運用により、TEACAの自己資金調達率を50%程度まで向上させることを目指している。
 また、確保している土地にはまだ2事務所/世帯の建設が可能な土地を残してあり、今回の運用が順調にいった場合、将来の増築により、さらなる自己資金調達力の向上を図ることが可能である。
 なお、TEACAより警備員用ポストの設置をする提案がされてきており、必要と判断されば、追加設置を行う。



■ 生活改善事業 ■

◆改良カマド普及

 テマ村以外での土製改良カマドの普及に着手する。対象とする村は、半乾燥地にあるマワンジェニ村、ンガスィニ村の2村。場合によってはキボショ村への普及も考慮するが、いずれにしても設置数は10基程度にとどめ、設置後のモニターを慎重に行う。
 一方、現在基礎部には焼成煉瓦を使っているが、これを身の回りで手に入る石に置き換えていくことが出来ないか、その試作に取り組みたいと考えている。ただそのためには、現在TEACA事務所に設置されているデモ用の土製カマドを取り壊すか、事務所付近に別に設置場所を探す必要があり、着手できるかはまだ分からない。
 この煉瓦未使用のカマドが完成できれば、改良カマドの設置にあたって必要とされる資材は、すべて身の回りにある資源を使って対応できるようになるだけに、2010年度に着手できなかったとしても、必ずチャレンジしていきたいと考えている。


◆半乾燥地野菜省水農法

 リアタ小学校のデモ展示プロットでは、昨年は厳しい降雨不足のため、まったく野菜が収穫できなかった。これを受けてあらたに設置した日陰用屋根の効果についてモニターする。年3回程度の収穫を目指す。

◆コーヒー農家支援

 KIWAKABOのモデル農家への集中指導を継続する。
 現在各農家とも70本の新品種を畑に植え付けているが、さらに増やしていくかの見極めを行う。
 また今後の村への新品種の普及にあたっては、彼らが身につけた接ぎ木技術が重要となってくる。技術維持のためにも、継続して接ぎ木の経験を積ませ、結果をモニターできることが重要であり、従来TEACA苗畑で育苗中の新品種苗木については、TEACAが接ぎ木を行っていたが、彼らを参加させていくようにする。


◆診療所支援

 テマ村ナティロ診療所への薬剤支援を継続実施する。また、現在マラリア診断に必要となる光学顕微鏡が診療所にはなく、隣村まで谷越えをして試料を検査しなくてはならないため、医師からその支援を要請されている。予算が許せばその支援を検討する。

◆小学校への牛乳配給

  キリマンジャロ州の半乾燥地マワンジェニ村にあるリアタ小学校での継続実施を検討する。ただしより重要なのは、同地での恒久的な水へのアクセスを確保していくことである。
 現在ドイツ民間団体が支援を検討しているが、その規模がまだ明らかになっていない。規模次第では、キリマンジャロ山麓から重力流下式の給水パイプラインの敷設(約3km)を検討する必要があり、そのための資金を確保していく必要がある。
 したがってドイツ民間団体の計画を調査し、また村、学校側とも協議のうえ、牛乳配給を続けるか、もしくは配給のための資金を、パイプライン敷設のための資金として積み立てていくかを決めることとする。


◆伝統灌漑水路復旧支援

 キリマンジャロ山麓キディア村での、キディア伝統水路の全行程の流路復旧は2009年度に完了した。2010年度には、その供給する水が、地域住民の畑を潤すことになる。
 2010年度は、さらに同水路の流量の安定確保を図っていく。そのために同水路の水源部にある溜め池(チャガ語で"Ndiwa"と呼ばれる、伝統水路に特有なシステムの一部)の復旧、補強工事を実施する。
 現在キディア水路に接続している溜め池は、復旧以前の水路と同様、土砂流入と水門部の決壊のために使用不能となっている。これを浚渫し、さらにセメントで堰を設け、復旧を図る。
 同溜め池は、キディア水路以外にもう1本、キリマンジャロ山の尾根を走る伝統水路の水源ともなっており、その復旧により、さらに多くの住民に対する灌漑水の供給が可能となる。(ただしこの水路も、使用はされているものの傷みが激しく、溜め池完成後にやはり改修工事が必要になるものと思われる)。


■ 教育支援 ■

◆小学校への文具支援

 文具支援は、子どもたちが学ぶ環境と学業意欲の向上をはかり、さらには植林や育苗活動等、普段の努力に対する努力賞としての意味合いもあり、2010年度も継続実施する。
 実施対象校は、2010年度同様、小学校4〜5校を検討している。ただし予算の制約から、スタディツアー実施校については、支援を見送る可能性がある。


◆子どもたちのスタディツアー支援

 昨年度初の試みとして、「自分たちの伝統、文化」をテーマに設定したスタディツアーを実施した。その実施後評価を、対象校であったフォイェニ小学校側と行う。その結果を受けて、2010年度も同じテーマで実施するか、あるいは従来実施してきた環境教育をテーマとしたものに戻すかどうかを決定する。
 ただし実施対象校は、フォイェニ小学校に限らず、TEACAと協議のうえ決定することとする。


■ 研修 ■

◆民族の知恵と生活文化の伝承に向けて

 2009年度に実施した、村人を対象としたスタディツアー(コミュニティベースドツアーの視察)に関しては、自分たちの身の回りにある自然やその資源、森との関わりを再認識していくうえで継続していくことが重要だと考えている。
 ただし同じ場所で実施する(=より幅広い村人に、同等の学ぶ機会を提供する)か、さらに新たな知識の吸収に努める(=前年度と同じ村人を対象に、別の場所で実施する)かについては検討の余地がある。
 キリマンジャロ州の隣、アルーシャ州で質の高いコミュニティベースドツアーが実施されているとの情報もキャッチしており、2010年度はなるべくその実態把握に努めたいと考えており、スタディツアーの実施はその上での判断としたい。


■ 2010年度予算 ■


    ◆
2010年度予算書(PDF)




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