第52号 トップページより抜粋 (2018/08)
 
大丈夫なのか、タンザニア


マグフリ大統領風刺漫画
 
 「マグフリ大統領が警察で、検事で、裁判官で、死刑執行人で」。政府命令により一時閉鎖に追い込まれたタンザニアで最も有名なオンラインフォーラム「Jamii Forums」に以前掲載された風刺漫画。被告の服には「民主主義」と書かれています。
   


 先日、タンザニア政府が(政府に)未登録のブログやユーチューブ運営者に対しサイトの即時閉鎖を命じたとのニュースが報じられました。 とくに標的とされたのは「フォーラム」と呼ばれるオンラインサイトのようですが、聞いて耳を疑ってしまいました。

 現代社会でインターネットは多くの個人、組織にとって最も身近な表現の場であり、情報受発信のためのツールであることは間違いありません。 その制限は言論、表現の自由という基本的人権の根幹に鋭く関わってきます。 それにも関わらず、すべてのオンラインフォーラムが即時閉鎖を命じられました。 命令を無視すれば犯罪捜査の対象となるとしており、その乱暴ぶりに少々唖然としてしまいました。

 もちろん他人の誹謗中傷やテロの扇動に使うなどは論外であり、それらが規制されることに異論はありません。 しかしそうであれば、まず規制対象を明確に定義し公表するのが先であり、さらにその適切性が広く議論された上で最終的な規制対象が決定されるべきでしょう。 その上で届け出制にすれば良いはずです。

 タンザニア政府はこうした手順を踏んでおらず、しかもフォーラム運営者には政府登録と認可に900ドルという法外な費用を課しています。 同国の1人あたり年間所得(GNI)は877ドルであり、個人の年間所得を上回るような額を課すことは、実質的に登録の道を絶つことだと言えます。 今回の措置にはそれがフォーラムそのものの駆逐、ひいては政府に批判的な意見の排除を目的としたものであるとの危険な意図を感じずにはいられません。 言論弾圧との批判が巻き起こるのも当たり前だと言えます。

 かつて国民から“Mwalimu”(先生)と呼ばれ尊敬された初代大統領ニエレレは、国を導くにあたって国民に自分の考えを噛んで含んで聞かせるように説いたといいます。 それ故の「先生」でもあったのでしょう。他者の意見を聞かず、自分の考えをごり押しするだけでは、決して国民にとって尊敬すべき「先生」とはなり得なかったでしょう。

 さて、その国民にとってマグフリ現大統領は、自らの考えを丁寧に説き、国民の深い理解を得ていこうとする「先生」の姿に映っているでしょうか。 つい先日も、同大統領が「(政権与党)CCMは永久に権力を維持する。永遠だ」と発言したことが報道されていました。 個人が何を言うのも言論の自由として保障されていることであり、自らの政権や政策への自信を謳うことは悪いことではありません。 しかし上記のような基本的人権に関わる問題への対応や、私たちの活動を取り巻く状況を重ね合わせたとき「大丈夫なのか、タンザニア」と思わずにはいられません。


 〔No.52 その他の内容〕

  ● キリマンジャロ山の国立公園問題を巡る最新状況 〜圧力に屈しない地域組織の体制作りに挑む〜

  ● 活動の現場から
   ・植林活動: 国立公園内での植林を再び拒否するKINAPA
   ・生活改善: フンブフ小学校に大型カマド新設
          テマ村の診療所建設(母子保健棟)を支援します
   ・自立支援: ハリナシバチ養蜂筒をようやく増設
          裁縫教室でフィールド研修実施
   



 
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