『 Habari gani?』 第74号 より抜粋 (2016/2)

エクアドルのアマゾン便り#2 〜パスタサ県紹介〜



【写真1】パスタサ川とアマゾン


タンザニア・ポレポレ・クラブ会員の皆様こんにちは。
元事務局アルバイトで現在は青年海外協力隊の隊員としてエクアドルで活動する石原裕介です。
前号に引き続き、エクアドルの紹介と、私の活動地であるパスタサ県をご紹介させていただきたいと思います。



◆エクアドルの国民・宗教


私がタンザニアに住んでいたのは2008年末から2012年始めまでで、少し記憶も薄らいできてしまったのですが、タンザニアには120とも130とも呼ばれる民族が暮らしているはずです。
また、宗教についても、伝統宗教の他に、キリスト教とイスラム教が国民の35%程度ずつの割合で信仰されていると思います。

こういった状況の中、民族対立、宗教対立に陥る危険性をできるだけ排除し、民族や宗教を超えて国を統一するという理念の元、タンザニアでは民族と宗教の統計は取られておらず、どの民族も宗教も優遇されないという基本的なルールがあったと記憶しています。

一方、現在私の暮らすエクアドルの場合、少し様子は違い、人口の90%以上がキリスト教徒と言われています。
そして、人口の約70%が白人と先住民族(インディヘナ)の混血であるメスティソで占められ、残りがインディヘナや白人、アフリカから連れてこられた黒人奴隷の子孫であるネグロ系住民等となっています。インディヘナの割合は人口の7%程度でしかありません。

こうした状況の中、国家のアイデンティティとして採用されたのは、多数派のメスティソであり、エクアドルはメスティソ国家としての道を歩んでいくことになります。
そして、1998年憲法の成立まで、異なる文化・アイデンティティを持つ国民として、インディヘナがその地位を政治的に認められることはなく、政治的にも経済的にも、取り残されてきたと言えると思います。


◆パスタサ県の紹介


私の活動地は、エクアドル東部のアマゾン地帯に位置するパスタサ県です。パスタサ県はエクアドル最大の県で、約2万9千平方キロメートルの面積を有し、東側でペルーと国境を接しています。
県の面積の約94%がアマゾンの森林で覆われていることからも分かる通り、豊富な自然資源を有し、多種多様な動植物を見ることができます。
さらに、県内には7つの先住民族が暮らしています。前述のように、エクアドル全体で言うと、インディヘナの占める割合は人口の7%程度でしかありません。

しかし、パスタサ県の場合、県民約8万4千人のうち、約37%がインディヘナとされています。そして、県内に居住するインディヘナの多くが、地方の僻地に居住していると思われます。
パスタサ県では、都市部と地方で生活の質が大きく異なっており、都市部では98.8%の家庭に電力が供給されているのに対し、僻地での電気の供給率は65.88%まで下がるそうです。また、下水道のカバー率も都市部の48%に比べ、僻地では6%程度となっています。
以上から、県内の豊富な自然資源を保全しつつ、いかに持続可能な開発を進め、いかに県内のインディヘナの生活を向上させるかといった課題を、パスタサ県は他の県以上に抱えていると言えるでしょう。


◆ヤスニ国立公園


パスタサ県を語る上でもう一つ外せないのが、ヤスニ国立公園の存在です。
ヤスニはエクアドルのアマゾン地帯に位置する、約1万平方キロメートルの面積を誇る巨大な国立公園で、敷地内にはインディヘナが暮らしています。国立公園の内、約40%の土地がパスタサ県に属しています。
そんなヤスニ国立公園ですが、豊富な石油資源を地下に有することから、長らく油田開発の是非が議論されており、2007年、ヤスニITTイニシアティブという国家プロジェクトが始まりました。

これは、油田開発から見込まれる収益の半分である35億ドルを国際社会が負担し、エクアドル政府に支払うことを条件に、この地域での油田開発をエクアドル政府が永久に放棄するというもので、途上国の環境破壊の責任を先進国に認めさせ、先進国に代償を求めるという点で、画期的なアイデアでした。
しかし、残念ながら、必要な資金を国際社会は集めることができず、この計画は破綻し、現在、油田開発が進められています。

従って、ヤスニ国立公園のみならず、その周辺の自然環境やそこに住む人々、つまりインディヘナの生活や健康に今後何らかの影響が出てくることは必至の情勢でしょう。
タンザニアでも、セルー動物保護区でのウラン鉱山開発やセレンゲティでのハイウェイ建設など、開発と環境、そして人々の生活といった問題は現実に存在していると思います。
タンザニアやエクアドルから遠く離れた所に住んでいたとしても、その原因は我々日本人につながっている可能性もあり、無関心ではいられない、そう思う今日この頃です。





【写真2】インディヘナの方々と






  〔No.74 その他の内容〕

 ● タンザニアの深いい話
 ● キディア村の自慢の森にあるものは!?
 ● ポレポレ伝言板


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