ミニニュースレター第55号抜粋記事
『 Habari gani?』 第55号 より抜粋 (2012/2)

タンザニアと観光



 3年間にわたり記事を配信してくれた石原氏の"ダルエスに暮らす"が今号で最終回となりました。
 今号の記事では、石原氏が考える援助という一方通行による発展ではなく、「旅行」を通じた相互通行の発展についてまとめてくれています。
 彼が現地の旅行会社で働く中で感じた、マスツーリズム対するオルタナティブツーリズム、その中でもとりわけコミュニティベースドツーリズムが持つ可能性について、実体験に基づいたいくつかの事例を交えながら紹介してくれています。

 紙面の都合上全文をお載せすることはできませんが、一部抜粋して本文を以下掲載させていただきます。


・・・・・省略・・・・・


コミュニティベースドツーリズムの持つ可能性
私はコミュニティベースドツーリズムには大きく分けて三つのメリットが存在すると考えている。
その中で一番分かり易いものは経済的メリットであり、ここには、観光客による村内でのお土産物や飲食物の購入によってもたらされるもの、観光による雇用の創出によってもたらされるもの、観光から生まれた利益を蓄積し、学校や診療所建設などの形でコミュニティに還元されるもの等がある。
そして、この経済的メリットにより、村人は貧困の削減、村落の開発、家計・生活の向上などを達成できる可能性がある。また、経済的メリットはより多くの住民にコミュニティベースドツーリズムへの参加を促す動機付けにもなる。
ただし、利益をどのように村民に分配していくかも非常に重要な問題であり、そのいかんによっては、村内に経済的格差を生み、最悪の場合コミュニティの崩壊という危険性をも孕んでいるだろう。
二つ目は旅行者と住民との対話から得られるメリットである。従来のマスツーリズムと違い、基本的には少人数参加型のツアーであり、必ず住民がガイドとして村を案内する。途上国でかつ農村部の場合、インターネットやテレビなどへのアクセスは非常に限定的であるので、村人の側からすると、外部からの情報をキャッチし、かつ外部に直接情報を発信する手段ともなりうる。
また、旅行者の側からすると、村の自然や文化、村人の生活等を詳細な説明・解説と共にガイドから得ることが出来る。先進国からの旅行者であれば、先進国での自らの生活を問うよい機会となるだろう。
そして、三つ目は、村の再認識と保存・継承の役割である。コミュニティベースドツーリズムを地域に導入しようとする場合、まずはその地域にある観光資源を掘り起こしていくという作業から始めなければならない。
観光資源となるものは村人自身が観光客に見せたい、紹介したいと思うものであり、それは地域の自然かもしれないし、文化や伝統芸能、あるいは生活の知恵や人々の暮らし方そのものであるかもしれない。
また、現存するものであるかもしれないし、あるいは、既に失われてしまったものであるかもしれない。いずれにせよ、それらの観光資源は、その地域にとって大切な、あるいは貴重なものである可能性が高い。
そして、その次に、そういった観光資源を観光用に磨き上げていく必要がある。具体的には、観光資源となるものについての歴史的事実・意義・知識の再確認や、有形で現存しているものであればその整備、有形で既に失われてしまったものであれば、その再現や復元等の作業である。また、観光を定着させ、永続的なものにしていくためにも、それら観光資源の定期的な観察や整備が求められ、場合によっては、それらの保護が必要となる。
私はこの過程に、コミュニティベースドツーリズムの持つ最大のメリットが存在していると考えている。観光資源の発掘と磨き上げという作業は、まさしく、村人自身による村の再認識に他ならず、普段から何となく目にしている村の自然や文化、伝統、生活を改めて見つめ直すことで、それらの大切さを再認識するチャンスとなるのである。さらに、観光を永続的なものにしていくという努力は、それらの保存と次世代への継承を意味する。つまり、コミュニティベースドツーリズムを通して、『観光客に自分達にとって大切なものを見せることで、それらを守ることができる』、という事であり、逆説的に言えば、『守るために、見せる』のである。このように、観光を主体的に扱うことによって、自分たちの村のために、自分たち自身のために、観光を利用することができるのではないだろうか。

  終わりに
 タンザニアのコミュニティベースドツーリズムはまだ始まったばかりであり、課題も非常に多いと感じている。
実際に行われているツアーでは、前述のツアー紹介からも分かる通り、その目的も取り組みの仕方も、当事者によってまちまちである。
また先日、タンザニア観光局の出しているTanzania Cultural Tourism Programme の宣伝用DVDを見たが、どうしても、「私達を助けるために、観光に来てください」、というニュアンスが強く出ているように感じた。
だが、村人総出で主体的に観光に取り組むことにより、「助けてください」という観光から脱却し、先進国からの旅行者と現地住民が対等の関係で、お互いにとって実りの多い、そんな観光を作ることができるのではないだろうか。


(文責: 在タンザニア、元事務局アルバイト 石原)




  〔No.55 その他の内容〕

     ● 私の体験記          : コーヒー生産ひきこもごも
     ● 菜園コーナー         : 砂漠化現象進行中!?〜今冬は大乾燥警報〜
     ● 手工芸品プロジェクト     : 手工芸品ミーティング報告
     ● ポレポレ伝言板


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