自立支援事業の取り組み状況


 ●2017年   5月 村の女の子による幼稚園プロジェクト
           4月 ポーランドNGOによる自立支援事業
           1月 養鶏プロジェクトの天敵!

 ■2016年分
 ■2015年分
 ■2014年分
 ■2013年分
 ■2012年分
 ■2011年分
 ■2010年分
 ■2009年分
 ■2008年分
 ■2007年分
 ■2006年分
 ■2005年分
 ■2004年分
 ■2003年分

2017年分はこちら


■ 村の女の子による幼稚園プロジェクト('17/5) ■


幼稚園

前回は現地カウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Associaiton)が、ポーランドのNGOと開始した代替燃料プロジェクトの様子をお伝えしましたが、今回は私たちが長く活動しているキリマンジャロ山の南東山麓標高1,500mほどのところにあるテマ村の女の子たちが始めた幼稚園プロジェクトについて紹介したいと思います。

タンザニアの教育制度は、2年間の就学前教育(5 〜 6 歳)、7年間の初等教育(小学校、7 〜 13 歳)、4年間の前期中等教育(Oレベル、中学校に相当、14 〜 17 歳)、2年間の後期中等教育(Aレベル、高校に相当、18 〜 19 歳)、3年間以上の高等教育(大学に相当)となっており、このうち初等教育の小学校だけが義務教育です。

就学前教育については環境も整備されておらず、2000年より以前は一部の教会などが細々と受け入れていた程度だったように記憶しています。最近多少は良くなったようにも見えますが、専門教育を受けた教師はまだほとんどおらず(おそらく3%くらい)、無資格教師が教えているのが現状のようです。政府は就学前教育1年間を義務教育化しようとしているようですが、このような現状ではそれもいつのことになるやらと思えます。

子ども

ただ、生活を維持していくためには女性も一家を支える重要な働き手であり、育児に専念することなどとても出来ません。掃除、炊事、洗濯は女性の役割となっていますが、それに加えて終日農作業、家畜の世話、薪集め、青空市場での収穫物販売などに追われ、とにかく一日中働きづめです。そうなると幼児を家に残しておかなければならないことも当然あり、小さな子どもたちが親代わりに面倒を見ていることが当たり前のようにあります。

しかし実際居合わせたことがあるのですが、転んだり、熾火の残ったカマドに手を入れてしまったりと、小さな子ども達だけでは対処できないような大けがや火傷を幼児が負ってしまうこともあり、やはり親が安心していられる環境とは言えません。

そうした中で、テマ村に暮らしているアナシアを含む5人の女性(全員20代)が集まってグループを作り、山の麓にある青空市場の近くで幼稚園を立ち上げました。アナシアは中学校を卒業した時点で、将来幼稚園を立ち上げることを考えていたのでしょう。人より多くの年数をかけ本当に苦労して中学校を卒業した後、専門学校に通って教師の資格を取り、その後1年間教会が運営する幼稚園でボランティアで教師を務め、ついに自分で幼稚園を立ち上げました。

アシアナと村の女の子

写真右側がアナシア。村の女の子がもう一人、幼稚園を手伝ってくれています。


もちろん彼女の力だけで幼稚園など始められるはずもなく、そこで彼女を助けようと結成されたのが先のグループです。みんなで少しずつお金を出し合い、彼女たちのプロジェクトとして実施していくことにしました。もともと人一倍の働き者で器量も良いアナシアは、若いのに村の中でも信望が厚く、市場近くの教会の牧師さんも幼稚園用に土地を無償で使って良いと許してくれました。こうして彼女たちの幼稚園プロジェクトは、教会の敷地に掘っ立て小屋のような幼稚園を建てることから始められました。

ただ、先も触れたように、村の女性たちは青空市場で小商いするときなど、家にまだ小さな子どもを残してこなければならないことが間々あります。市場近くで幼稚園を始めることにしたのはそうした村の女性のニーズを考えてのことで、しっかりマーケティングもできていることに感心しました。「ここなら家を出るときに一緒に子どもを連れてきて、夕方帰るときに連れて帰れるし、何かあってもすぐ近くにいるから村に幼稚園があるよりお母さんたちもずっと安心できるのよ」とはアナシアの弁。

幼稚園は朝7時45分から始まり、夕方5時まで。その間に勉強(読み書き、計算、歌、お絵かき)や礼儀・しつけの時間、ちょっとした科学の勉強や宗教の時間まであるのには驚いてしまいました。それにお昼(ウジと呼ばれる、モロコシの粉をお湯で溶いたお粥)の時間とお昼寝の時間があります。かなりしっかりしたプログラムだなと感じます。

写真2:調理中

教室の裏で昼食のウジを調理中のアナシア


現在2歳から5歳まで18人の子どもを預かっていますが、幼稚園を経済的に維持していくためには25人程度は必要だと言っていました。ただ、今は幼稚園の存在を知ってもらうことの方が大切なので、入園料を普通の半分ほどにしてアピールし、その代わりにお給料を我慢して運営しています。

友達と力を合わせたプロジェクトではありますが、これは一人の女性の立派な自活、自立のプロジェクトなのだと思います。まだ幼さの残る彼女の顔に、一人の起業家としてのもう一つの顔を重ねて見ていました。


このページの先頭へ戻る   トップページへ戻る


■ ポーランドNGOによる自立支援事業 ('17/4) ■



写真1: ポーランドNGOの支援によりTEACAの事務所敷地に完成した代替炭製造プラント

写真1: ポーランドNGOの支援によりTEACAの事務所敷地に完成した代替炭製造プラント


現地カウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Associaiton)は、昨年からポーランドのNGO・PEAEF(Poland-East Africa Economic Foundation)からも支援を受け、新規プロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトは作物等の残滓(バイオマス)を利用した代替燃料(炭)の製造プロジェクトです。

使用する残滓とは、たとえば現地の主食作物であるモロコシを収穫した後の茎の部分や、山羊の餌とした後の木の枝などです。また、新たなバイオマス原料を村内で確保するためにヒマワリやキャッサバの導入などを図っています。

タンザニア全体を見た時に、森林減少の主要な要因は日々の煮炊きに使用される薪炭材ですから、代替燃料の確保は森林への圧力を減ずるための効果的なアプローチだといえます。また薪の採集は女性も担う重労働であり、代替燃料が村内で確保できるようになれば、そうした労働の軽減にも繋げることができます。加えてこのプロジェクトは、製造した炭の販売によるTEACAの収入事業としていくことを意図しており、成功すれば一石三鳥のプロジェクトということになります。

TEACAはPEAEFの支援を受け、昨年モシ県にある小中学校および村で活動している様々なグループの合計20カ所を対象として、この代替炭製造プロジェクトを開始しました。2、3月の現地調査時にはTEACAの事務所脇にもすでに製造施設が建っており(写真1)、それ以外にも何カ所かプロジェクトが導入された現場を訪問する機会がありました(写真2)。


写真2: 中学校に導入された代替炭用の学校給食調理用大型コンロ

写真2: 中学校に導入された代替炭用の学校給食調理用大型コンロ


見て回った範囲では稼働している施設はなかったのですが、一石三鳥を狙うこのプロジェクトにはいくつか課題があるように思えます。まず、炭の原材料となる作物等のバイオマス残滓ですが、それらは残滓だからと言って決して捨てられているわけではなく、家畜の餌や畑の肥料とするために利用されています。これを炭の原材料として使われてしまうと、それらが不足することになります。かといってバイオマスを確保するための新たな作物は、いまのキリマンジャロ山のようにすでに空いている土地がない地域では導入するにも限界があります。

もっとも大きな問題の一つは、大量のバイオマスをコンスタントに確保する手段です。TEACAは毎日50kg程度の隅を製造したいとしていますが、そのためには最低でも250kg程度のバイオマスが必要とされ、その分量の確保や運搬手段、コストが課題となってきます。さらに集めた大量のバイオマスを炭化、粉砕、成形するプロセスの作業負荷の問題があります。TEACAは普及にあたって女性グループも対象としていますが、女性にはこの作業は相当大変なものです。学校でも作業人員の確保やそのコストが問題となってきます。

各家庭でも現在は煮炊きに薪を使用していますが、これを炭に切り替えるには炭用のコンロを買わなければなりません。その価格も決して安くはなく、これも普及の障害になってきます。


写真3: TEACAの製造プラントに設置されている代替炭製造用の器具類

写真3: TEACAの製造プラントに設置されている代替炭製造用の器具類


最後はプロジェクト自体のランニングコストで、それなりの量の炭を製造しようとすれば、専従要員を確保する必要があり、その人件費が重くのしかかってきます。炭を買ってもらうためには売価をかなり安く設定する必要があり、炭販売による収入ではプロジェクトのランニングコストをカバーできない恐れが多分にあります。

こうしたことから、プロジェクトを導入したのに稼働していないという状況が生まれています。といってもまだ失敗と決めてしまうのは早計で、上記のような課題、問題点を2年くらいかけて一つ一つクリアしていく必要があるだろうと思ってみています。

これからも折々、このプロジェクトの状況をお伝えしていきたいと思います。


***********************************************************************

タンザニア・ポレポレクラブはキリマンジャロ山麓で改良カマドの普及に取り組んでいます。
改良カマドを使うと、現地で使われている普通のカマドに比べ、薪の消費量を6割以上削減することができます。
ぜひ改良カマドの普及にご協力ください!(以下の当会サイトから直接ご寄付できます)

 ● 寄付ページ → こちら


このページの先頭へ戻る   トップページへ戻る

■ 養鶏プロジェクトの天敵! ('17/1) ■


写真1: 「今日も私のニワトリたちは元気かしら?」。鶏小屋をのぞき込む女性グループのメンバー

写真1: 「今日も私のニワトリたちは元気かしら?」。鶏小屋をのぞき込む女性グループのメンバー


キリマンジャロ山の2つの女性グループで実施している養鶏プロジェクト。それぞれ順調に飼養数を増やしていますが、悩みの種は盗難と捕食動物の存在。ニワトリ泥棒は村の警戒呼びかけで一時減ったものの、未だにたまに出没します。小屋に鍵をかけても、家人の不在時に壊して侵入し盗んでいきます。何で鶏が騒がないのか不思議なのですが、「やつらはそんなヘマしやしないよ」と村人たちは言います。対策は犬を飼うのが一番なのですが、家人が犬嫌いだったりする家があって、そういう家ではなかなか対策が打てません。もしくは堅牢な鶏小屋を建てるかなのですが、これはそれぞれの村人たちの家計事情によって左右されてしまいます。

写真2: 鶏小屋の形態も、メンバーの家計事情でいろいろ 写真3: 鶏小屋の形態も、メンバーの家計事情でいろいろ

写真2、3: 鶏小屋の形態も、メンバーの家計事情でいろいろ


そしてもう一つの捕食動物ですが、これはラーテルで、とにかく凶暴です。夜行性で直接目にすることはめったにないのですが、鶏小屋に侵入すると片っ端から襲います。しかも獲物を全部食べるわけでもなく、首だけ噛みちぎって胴体はそのまま残しておくなど、明らかに殺すだけが目的と思える場合もあります。

写真4: ラーテル(出典:wikipedia)

写真4: ラーテル(出典:wikipedia)


このラーテルは、英名のハニーバジャーの通り、ハチミツが大好物で、当会の養蜂プロジェクトが被害に遭ったこともあり、本当にタチが悪いです。同じ白黒のツートンカラーでも、キリマンジャロ山に暮している村人たち(チャガ民族)が"森の象徴"として尊んでいる黒白コロブスモンキーとはえらい違い、でしょうか。でも、同じ森に暮す動物たちとして、仲良く折り合いをつけていくしかなく、金網を支援しようと考えています。

写真5: キリマンジャロ山の

写真5: キリマンジャロ山の"森の象徴"黒白コロブスモンキー(出典:wikipedia)



***********************************************************************

黒白コロブスモンキーやラーテルが暮すキリマンジャロ山の森。その森がいま、国立公園に取り込まれた故に危機にさらされています。国立公園が、森の守護者であった村人たちを追い出してしまったからです。「国立公園が森を壊す」。そんな矛盾した政策を改めていくため、当会はいまクラウドファンディングによるプロジェクトの実現に挑戦しています。

プロジェクト実現のため、ぜひ多くの皆様のご理解、ご支援を賜れますよう、なにとぞお願い申し上げます!

●クラウドファンディング・プロジェクトページ→ こちら



このページの先頭へ戻る   トップページへ戻る  

※当サイトに掲載している、記事、写真等の無断転用を禁止します。
Copyright(C)2008 タンザニア・ポレポレクラブ All Rights Reserved.