2015年 自立支援事業の活動履歴


 ●2015年  10月  キリマンジャロ山における地域主体の森林管理の自立に向けて
           8月  TEACAによる養鶏プロジェクトの指導
           5月  女性グループが積立による新プロジェクト開始
           4月  森林の地域管理を目指す協議会、その自立への道





■キリマンジャロ山における地域主体の森林管理の自立に向けて('15/10)■


いま当会は、キリマンジャロ山で国立公園に取り込まれてしまったかつての住民たちの生活の森"ハーフマイル・フォレストストリップ"(以下HMFS)を、再び地域の人々の手に取り戻すための協力を行っています。そのためにキリマンジャロ山でも最大のHMFSを抱えるモシ県において、森林に沿った39村をまとめ、その連合体組織KIHACONE(Kilimanjaro Half mile forest strip Coservation Network)を立ち上げました。

現在このKIHACONEを中心として、国立公園指定解除後を睨んだ地域主体による新たな森林管理の枠組みを策定中です。しかしその持続性を担保していくためには、活動を長く支えていくための資金基盤の確保が欠かせません。そこでKIHACONEは、来年度から39の構成村のそれぞれから会費を集めることを決めました(タンザニアの会計年度は7月から)。ただしこれだけではとても活動維持のための資金には足りません。

次に検討しているのは、森を利用する住民自身が、森林保全のための費用を応分に負担していく仕組みの導入です。利用者負担原則といえば日本ではすでに馴染みのある言葉ではありますが、キリマンジャロ山でその導入を図ることは容易ではありません。タンザニアの独立以前、地域の手にHMFSの森林管理が委ねられていた時代、確かに彼らは自ら森林利用者に利用料を課し、見事に森を守っていました。しかし独立後HMFSが政府の管理下に置かれるようになると、政府はそうした利用料や林産物(木材)への税金を課す一方で、地域住民の森林へのアクセス制限を強め、それどころかまともな森林管理が出来なかったことから、住民は激しく反発することになります。

その後地域による木材の販売は禁止され(政府は伐採継続)、利用料の徴収はされなくなり、HMFSの管理はあってなきが如くの状態になっていきます。HMFSは政府の管理下にあり、その保全は当然政府の役割でしたが、住民にとってはただで森が利用できる期間が長く続くことになります。つまり住民の側には、自然はタダなのだから、タダで使えて当たり前という感覚が醸成されていきました。そこに再び利用者負担の原則を持ち出しても、容易には受け入れられるものではありません。

しかし地域がその利用する森を守れなければ、待っているのは再国立公園化という結末だけです。再度国立公園に編入されることがあれば、HMFSが再び住民たちの手に戻ることはないでしょう。自分たちの手で息長く森を健全に保ち、そして安心して利用していくために必要とされるコストがあること、そしてそのコストは利用する者自身も応分に負担していく必要があるということを、当会とKIHACONEは地域住民たちに何度でも説明を続け、理解を得ていくつもりです。かつて彼らがやり抜いていたことです。時間はかかっても必ず理解を得られると確信しています。


KIHACONEのリーダーたちのミーティングの模様
KIHACONEのリーダーたちのミーティングの模様



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■TEACAによる養鶏プロジェクトの指導('15/8)■


キランガ女性グループのママたち 村の女性グループが購入したイス
    (写真左) 女性グループの鶏小屋を注意深く観察するTEACAのンジャウ氏
     (写真右) グループのメンバーと問題点について話し合っています


写真は、キリマンジャロ山で活動する当会のカウンターパートTEACA(Tanzania Environmental Action Association)のプロジェクト担当リーダーのチャールズ・ンジャウ氏が、同山の標高約1,700mにあるキディア村のキディア女性グループが実施している養鶏事業の指導をしている時のものです(撮影8月1日)。

TEACAは現在キリマンジャロ山の南山麓から東山麓にかけての約40kmの範囲で、13のグループに対する協力、支援を実施しています。それぞれのグループで実施しているプロジェクトは植林、森林マネジメント、コーヒー栽培、養蜂等様々ですが、キディア女性グループとは植林、養鶏、グループ貯蓄の3つのプロジェクトを実施しています。

TEACAは毎月すべてのグループを回ってプロジェクトの実施状況や進捗をチェックし、また問題がないかをグループのメンバーと話し合っています。8月1日にはキディア女性グループが実施している養鶏プロジェクトの状況を、10人のメンバー一人一人の家を回って確認しました。キディア村では昨年から鶏泥棒が暗躍し、鶏を殆ど盗まれてしまったメンバーもいたため、その対策が必要となっていました。そこで村でこの問題を取り上げてもらい、相互監視体制で泥棒の動きを封じることを決めてもらった結果、現在ほとんど被害が発生しなくなったことが確認できました。

キディア女性グループは養鶏プロジェクトの経験がまだ浅く、利益を生み出すまでにはまだ至っていませんが、TEACAの実施した養鶏セミナーなどの結果、少しずつプロジェクト管理の知識を深め、メンバーのやる気もとても高くなっています。この日のTEACAとグループメンバーとのミーティングでは、この1年をかけてプロジェクトの採算ラインである1人最低30羽、最大50羽まで飼育数を増やしていくことを決めました。

当会では養鶏の基礎的知識をさらに固めていくため、引き続き同グループに対する養鶏セミナーの実施を支援していく計画です。そして養鶏プロジェクトが確実にメンバー一人一人に利益をもたらし、生活基盤の底上げに繋がっていくようにしていきます。



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■ 女性グループが積立による新プロジェクト開始 ('15/5)■


キリマンジャロ山麓にあるコリニ・カティ村でグループ積立に取り組んでいるキランガ女性グループ(メンバー6人)が、これまでコツコツと貯めてきた積立資金を役立てて新しい取り組みを始めました。

このグループ積立は、グループの自立を実現していくための新規収入事業を自分たちの力で立ち上げていくために取り組んでいるものです。そしてそのための積立目標額を100万シリングに設定しています。

このたびキランガ女性グループがついにその目標を達成し、積み立てた資金を役立てて彼女たちのかねてからの希望であった村内でのイスの貸し出し事業を開始することになりました。

キランガ女性グループのママたち
(写真1)キランガ女性グループのママたち



タンザニアでも冠婚葬祭時には多くの人が集まります。数百人規模となることも珍しいことではなく、それらの人たちが座るためのイスが必要になります。そのような場合、普通は山を下り、町まで行って借りてこなければなりません。借りるのにお金がかかるのはもちろんのこと、そのイスを運び上げるための運賃がまた高くつきます。冠婚葬祭は人のいるところ必ず発生するものであり、従って村にはイスを身近に安価に借りる事への潜在的なニーズが常に存在しています。つまりイスの貸し出し事業はとてもリスクの低い確実な収入向上事業ということができます。

キランガ女性グループのママさん達はさっそく積立資金を使ってイス60脚を調達して貸し出し事業を開始し、すでに収入もあげ始めています。彼女たちは養鶏事業による収入と合わせ、もう外部からの資金的な支援がなくとも自分たちで活動を維持し、さらに新しい取り組みを始めたり、それぞれのメンバーの家計収入の向上に繋げていけるようになりました。

今後はキランガ女性グループを自立を達成したグループの成功事例として、近隣の村々の同じような女性グループに紹介したり、また実際に訪問して学ぶための機会を提供するなどしていきたいと考えています。


村の女性グループが購入したイス
(写真2)購入したイスを嬉しそうに見せてくれました


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■ 森林の地域管理を目指す協議会、その自立への道 ('15/4)■


当会はキリマンジャロ山で地域が主体となった新たな森林保全・管理の仕組み作りを目指しています(※1)。そのためにこの数年をかけて森林沿いの39村(※2)を結び付け、森林を一元的に管理していくための協議体組織KIHACONE(Kilimanjaro Half-mile forest Strip Network)を立ち上げました。

(※1)
ここでいう森林とは、かつて地域住民たちが利用を許されていた"バッファゾーンの森"(Half mile forest strip)を指す。
(※2)
もとは37村であったが、昨年末の地方選挙の際、人口の多い村2つが分割され4村に分かれたことから、現在39村となっている。


KIHACONEは今後半年をかけて、地域主体による森林保全・管理のための具体的なフレーム(方法論)を構築していくことにしています。そこがまだ固まりもしないうちに、その先にある「自立」について論じるのは拙速なことかも知れませんが、持続性のない森林管理は、もとより森林管理と呼べるものではありません。

総面積5千ヘクタール以上ある森林を、地域の力で如何に持続的に管理していけるようにするか。この難題に応えるためには、大きく分けて3つの「仕組み」が必要だと考えています。1つ目は、"機能する規則"という仕組み、2つ目は(ある程度の規模の)"持続的資金確保"の仕組み、3つ目は、それらを担保する"法"という仕組みの3つです。

1つ目の"機能する規則"とは、規則は作られるだけでは意味がないということです。その規則が守られてこそ、それは規則たり得ます。当たり前のことのようですが、現地においてこの"機能する規則"を作り上げるのは本当に容易なことではありません。強力な罰則規定を設ければそれで良いかといえば、その罰則規定すら守られないということが十二分にあり得ます。規則が何故規則として機能しないのか、そのことへの考察を欠いてただ作り上げた形ばかりの規則は、決して機能することはありません。

2つ目の"持続的資金確保"の仕組みも、これも当然といえば当然の課題と言えます。現在KIHACONEの委員たちは、各村から会費を集めることを一案として考えています。しかしそれだけでは森林管理に必要で十分な資金を集めることはとても出来ません。では外部からの支援に頼るか?しかしそのこと自体が、すでに支援の切れ目が活動の切れ目となり得る危険性をはらんでいます。一時の支援は必要でも、恒久的な仕組みとしてアテにすることは出来ません。

3つ目の"法"という仕組み。これは上記の1、2を担保するための仕組みだと言えます。地域主体による森林保全・管理が国の政策の中で明文として規定(たとえば森林条例)されてこそ、その仕組みは容易に覆されることのない仕組みとして位置づけられることになります。

当会の役割は、今後KIHACONEと協力して地域主体による新たな森林保全・管理のフレームを作り上げていく中で、それを如何にこの"3つの仕組み"を備えたものとしていくかにあるといえます。まずはKIHACONEとの認識共有を更に深め、両者で納得のいくものを作り上げていきたいと考えています。


KIHACONEの代表者会議
(写真)KIHACONEの代表者会議での森林保全・管理のフレームについての話し合い




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