2006年 自立支援事業の活動履歴


    2006年 10月 『新たな課題に直面するTEACA裁縫教室』
           3月 『裁縫教室の現状と課題、今後の展望』



■新たな課題に直面するTEACA裁縫教室('06/10)■


【1.教室に通うことの困難さ】

 TEACAの裁縫教室については、これまでも
  @教室の運営面での問題(=自立運営)
  A受講する生徒側の問題(=とくに主婦層の継続受講の困難さ)
の2つの問題を指摘してきた。

 開講後1年を経て、とくにAの問題は、数字の上でも明らかとなりつつある。以下に現状を考察する。

 まず表1は、生徒総数(=第1期生と第2期生の合計数)に占めるDrop out者数を示したものである。現時点('06/8)において、Drop out者数がすでに全体の半数近い45%に達していることが分かる。

 これを第1期生と第2期生に分けて表したのが、表2である。'06/8時点で、第1期生は受講開始後1年2カ月、第2期生は8カ月が経過しており、経過期間が長い第1期生のDrop out率が高い(50%)のは当然といえる。

 ここで注目したいのは、それぞれ受講開始後半年程度が経過した時点(第1期生では'06/2時点、第2期生では'06/8時点)でのDrop out率が、ほぼ同じ35%と36%という点である(表2※印部)。偶然の一致と見ることもできるが、Drop outが近似の傾向を示して推移するとするなら、第2期生も、受講開始1年後には、Drop out率50%に達すると推測できる。

 TEACAの裁縫教室は2年間のコースであり、上記のことから、今後何らかの対策が講じられなかった場合、卒業時の生徒数は入学時の半分か、或いはそれ以下まで減ずると予測できる。
 "現状を放置すれば、卒業までに半数以上の生徒が脱落する(可能性が高い)"。これがTEACA裁縫教室が直面している現実であり、或いはこれまでも危惧されてきたことが、数字の上でも明らかになりつつあると言える。


(表1)Drop outした生徒数の推移
  立上げ時(05/07) 最盛時(06/02) 現在(06/08)
通っている生徒の数
Drop outした生徒の数
12人
0人
22人
6人
16人
13人
生徒合計数
Drop out率
12人
0%
28人
21%
19人
45%


(表2)第1期生と第2期生のDrop out内訳と推移
  Drop out数/生徒総数 ()内はDrop率
立上げ時(05/7)
最盛期(06/2)
現在(06/8)
第1期生 0人/12人( 0%)
第1期生 6人/17人(35%)※、第2期生 0人/11人( 0%)
第1期生 9人/18人(50%) 、第2期生 4人/11人(36%)※


 次に表3は、少女クラスと主婦クラスの別に、Drop outの実態を見たものである。 第2期生の募集では主婦の応募はなかったため、Drop outの傾向は、第1期生のデータを対象とする。
 表からも、主婦クラスのDrop out率が極めて高いことが分かる(下表※1。'06/8時点で7割近いDrop out率)。また少女クラスのDrop out率も、同時点で42%(同※2)あり、これも決して低い数字とは言えない。


(表3)少女クラスと主婦クラスのDrop put内訳
  '05/07 '06/02 '06/08 備考
一期生(2005)
少女
残生徒数
Drop put



Drop out除く
在籍数の外数

Drop out率

(0)
11
(27)
12
(42)

※2
主婦
残生徒数
Drop out





Drop out率

(0)

(50)

(67)

※1
小計
残生徒数
Drop put
12
11



Drop out率
12
(0)
17
(35)
18
(50)
二期生(2006)
少女
残生徒数
Drop put

11



Drop out率

(−)
11
(0)
11
(36)
 
主婦
残生徒数
募集せず
小計
残生徒数
Drop put

11

Drop out除く
在籍数の外数

Drop out率

(0)
11
(0)
11
(36)
合計
残生徒数
Drop out
12
22
16
13


Drop out率
12
(0)
28
(21)
29
(45)



 2年間のコースでのカリキュラムは、1年目に手縫い、そして足踏式ミシンを使って、決まったパターンによる衣服を作れるようになることを目標としている。2年目にはパターンのバラエティとデザインの多様化、より高度な縫製技術の習得を目指している。また2年目には、編み機による編み物の技術修得も目指している。残念ながらロックミシンによる仕上技術の修得は、冒頭に触れた事務所の電化遅延の問題から、現状では対応できない。
 今回の調査においては、昨年入学した第1期生はすでに女性用のブラウス、スカート、男性用のシャツ、ズボン、子供服などを一通り作れるレベルに達していた(決まった型を使用)。教室が始まった当初は、ミシンを使っている姿を写真に撮ろうとすると、みんなとても恥ずかしがっていたが、今では「これが私の作った服よ、写真に撮って!私の顔もちゃんと写すのよ!」といって誇らしげに服を広げて見せてくれる。ミシンを使う姿なども実に堂々としており、各自が実力と自信を付けてきている様子を伺い知ることができた。


【2.Drop outの背景を探る】

 今夏の現地調査では、こうしたDrop outの原因についての調査も実施した。以下は第1期生でDrop outした主婦、少女それぞれの生徒たちへの、Drop outの要因、背景に関する聞き取り調査である。

  @主婦(第1期生=Drop out 4名/総数 6名)
   (理由)・病気で断念   (1名)
       ・家事との両立不可(3名)
  A少女(第1期生=Drop out 5名/総数12名)
   (理由)・知的障がい (1名)
       ・家庭の事情 (1名)
       ・家庭の不理解(1名)
       ・未婚の母  (1名)
       ・行方不明  (1名)


 主婦については病気の1名を除き、残り全員が"家事との両立不可"を理由として挙げており、これは以前から懸念されていたことが、現実のものとなったと言える。
 これに対して現在も続けている主婦生徒2名に、「なぜ続けられるのか」についての聞き取りも行った。その結果、受講継続のためには、
  (1)本人の裁縫技術習得に対する確固たる目的意識と、継続への強靱な意志
  (2)家庭、とくに夫の理解(=家事の分担)
 が不可欠であることが分かった。
 家事との両立を図り、主婦にも参加しやすい環境を整え、その継続性を確保していくためには、基本的には裁縫教室サイドで、現在の主婦対象クラスの受講形式を抜本的に見直す(=現状の毎日受講を週2回程度に減らす)以外、方法はないものと考えている。その上で本人のやる気を強化し、家庭の理解を求めていく努力が必要となってくる。
 一方、少女はというと、Drop outした5人の生徒それぞれが異なる事情を抱えており、主婦に比べ、より複雑で根深い問題を見て取ることが出来る。このうち知的障がいを持っていた1名の生徒については、授業進度についていくことが出来ず、残念ながら、現在の裁縫教室では適切に対応していくことが出来ない。
 それ以外の4名の生徒については理由は様々であるが、生徒、親に対する面接調査の結果、概して村の中でも経済的困窮状態に置かれていることが伺われた。

 裁縫教室に通っている少女たちは全員、中学校に進学できなかった少女たちである。その理由には学力面で断念せざるを得なかった者もいるが、一方で学力はありながら、家庭の経済的事情で進学を諦めざるを得なかった者たちもいる。そうした少女たちの家庭は、たんに経済面での問題だけでなく、全般的な家庭環境そのものに問題を抱えており、そのことが少女たちの立場を微妙なものとし、また行動に少なからず影響を及ぼしている。

【3.少女たちを側面から支援する】

 彼女たちの、たんに裁縫教室への継続性を確保するためだけでなく、家計収入を少しでも向上させ、生活をより安定したものとし、さらには将来的な自活への道を確保していくためにも、こうした少女たちの継続受講を可能とする施策や、何らかの手だてが必要とされている。  そのためにまず求められるのは、本人、そして両親の、裁縫教室に通うことに対する強い動機付けである。それはとりもなおさず裁縫教室に通うことにより、上述したような収入向上や自活といった将来像が確信できるのかということにかかっており、そのためにも具体的成果や結果を示していく必要がある。

 もちろん裁縫教室自体の目的は、生徒たちの就業や収入向上を保証するものではない。しかしたんに技術を身につけさせるだけでなく、卒業した生徒たちがそうした機会やチャンスにより恵まれ、結果を得られるような具体的側面支援や補完、補強を、裁縫教室として実施していくことを決定した。

 その施策の一つとして、裁縫教室の卒業生が、卒業時にタンザニアの国立職業訓練校(VETA)で、技術認定試験を受けられるようにしていく。TEACA裁縫教室の技術レベルは、試験を合格するに十分な実力があると見ている。試験合格者には資格が付与され、生徒たちの就業可能性を具体的な形で後押しすることになる。
卒業生が公的機関の技術認定試験を受けられるようにするためは、TEACAの裁縫教室が公的に認可される必要があり、今年度その取得を目指し、担当行政機関との協議、調整を進めることとする。
 また、生徒たちが自分たちの技術レベルを客観的に判断できるように、他地域で実施されている裁縫教室へのスタディツアーを実施する。さらに可能であれば、就業先の選択肢やアイデアを具体的に広げられるよう、地元の零細な縫製工場などへの見学機会も提供したいと考えている。

【4.その他の課題・問題点、決定事項】

 また裁縫教室の別の問題として、教場(TEACA事務所の一室)の狭さが挙げられる。現状10人以上の生徒が6畳程度の広さの部屋で学んでいるが(当然ミシンも一緒)、教師が指導のために歩くことも容易ではなく、効率的な指導が行える環境とはいい難い。ただ教室の拡張(実際には別棟としての増築が必要)をするための予算は無く、現状手の打ちようがない。

 その他、今夏の調査において、以下の事項を取り決めてきた。
  ●ミシン等の機材の増設
    →編み機(×2)/オーバーロックミシン(×2)/ボタン穴用ミシン(×1)
  ●教師給与のアップ(月約3千円→約4千円へ)
  ●10月末に卒業する卒業生9名への卒業記念品の贈呈
    →ハサミ/テープメジャー/布



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■裁縫教室の現状と課題、今後の展望('06/3)■


TEACAの裁縫教室が立ち上がり、9カ月が経過した。ここではこの3月に実施した調査結果を受け、裁縫教室の現状と課題、今後の展望についてご報告する。


●現 状

【開校後から現在までの状況】

 まず生徒数であるが、この裁縫教室は村での評判も高く、生徒数も開校当初の11名(少女、主婦合わせ)から現在20名(同)まで増えている。この高評価の背景には教師の質の高さがあると思われ、他の裁縫教室からわざわざ移ってくる生徒がいることからも、そのことが推察できる。良い教師に恵まれたことは、この教室の大きなアドバンテージとなっている。
 一方、教室に装備されている機材は、足踏式ミシン10台、編み機2台、電動ロックミシン2台で立上げ当初と変わっていないが、事務所の電化工事が遅れており、電動ロックミシンの使用には目処が立っていない。電化工事の遅延は現地電力会社の怠慢と無計画によるものであるが、いつ電化が完了するのか、その見通しさえ立っていない。この点は、カリキュラムへの影響は避けられそうもない。
教室では各生徒が使うミシンをきちんと決めており、ミシンには各自の名前を書いた名札が下がっている。これはミシンが自己所有物でないことから、荒っぽく使いミシンを壊してしまうのを避けるための工夫である。機材を少しでも長持ちさせようとの細かい配慮が見て取れた。


【コース設定/クラス分け】

 本来この教室は、入学から卒業まで2年間のコースとして設定されている。授業開始は小学校の卒業(12月)に合わせて1月からの開始を基本としているが、昨年は教室自体が7月から立ち上がったため、12月末までの半年間に一年分の授業内容を圧縮して実施した。
 また授業は午前の部(8:30〜13:30=4時間)と午後の部(14:00〜16:30=2.5時間)の2部制を採用しており、これまでは少女対象クラスと主婦対象クラスの2クラスを、1週間毎に午前と午後をローテーションする形で実施してきた。


【カリキュラムと技術進度】

 2年間のコースでのカリキュラムは、1年目に手縫い、そして足踏式ミシンを使って、決まったパターンによる衣服を作れるようになることを目標としている。2年目にはパターンのバラエティとデザインの多様化、より高度な縫製技術の習得を目指している。また2年目には、編み機による編み物の技術修得も目指している。残念ながらロックミシンによる仕上技術の修得は、冒頭に触れた事務所の電化遅延の問題から、現状では対応できない。
 今回の調査においては、昨年入学した第1期生はすでに女性用のブラウス、スカート、男性用のシャツ、ズボン、子供服などを一通り作れるレベルに達していた(決まった型を使用)。教室が始まった当初は、ミシンを使っている姿を写真に撮ろうとすると、みんなとても恥ずかしがっていたが、今では「これが私の作った服よ、写真に撮って!私の顔もちゃんと写すのよ!」といって誇らしげに服を広げて見せてくれる。ミシンを使う姿なども実に堂々としており、各自が実力と自信を付けてきている様子を伺い知ることができた。


【生徒はなぜ裁縫教室に通うのか、その目的】

 この裁縫教室は、少女対象クラスと主婦対象クラスの2クラスに分けて運営されている。そして裁縫教室に通う目的も、少女と主婦とではそれぞれの置かれた立場の違いから、大きく異なっている。

1.自活の道を切り開くために通う少女
 様々な理由により進学の道を閉ざされ、小学校しか卒業していない少女たちにとって、自らの将来をどうするかは深刻な問題である。村を離れて職を得る道は男子より厳しく、かといって家に残り、両親の農作業や家事を手伝って日々を送るしかない彼女たちにとって、村も家も非常に居づらい、肩身の狭い場所となっている。それは自分自身へのやりきれなさへも繋がっている。
 そんな彼女たちにとって、自らが自活する術を得ることは何にも増して重要でなことであり、切望していることである。縫製技術を学び、手に職を付けることで、将来マーケットや町で小商いをして自活していくこと、それが彼女たちが裁縫教室に通う最大の目的であり、目標である。

2.ドメスティックユースに重きを置く主婦
 一方主婦にとっては、家を留守にして商売を始めることには必然的に制約がある。また、苦しいながらも家庭という生活基盤を持つ主婦にとって、裁縫教室に通う目的は自活というより、自分たちの生活の質的、経済的向上に重きが置かれている。
 縫製技術を身につけることで、夫や子供のための服を自ら作れるようになり(=支出の削減)、さらにこれまで外部に賃払いで頼んでいた、ほころびなどの修正も自分で出来るようになる(同)。また、村で縫製技術を持つ主婦はほとんどいないことから、村での衣服の需要(オーダーメード)を対象とした小商いが可能となる(=収入向上)。
 このように家庭内のニーズを満たし、支出を抑え、小規模な収入機会を得ていくことで、少しでも生活を安定させ、向上させていこうというのが、主婦が裁縫教室に通う目的となっている。


【その他−植林活動への参加】

 裁縫教室はTEACAの監督の元に運営されている。TEACAは教室の立ち上げ当初より、環境保護活動(育苗作業のサポート/植林活動)への参加もこの教室の活動の一環との位置づけで指導してきた。これまでの実践活動として、育苗ポットへの土詰め作業、ワークキャンプ時の植林活動への参加があり、既に具体的行動に移されている。
 但しこうした場合、TEACAが裁縫教室を、TEACAの諸活動のマンパワーの一部として考えているようでは問題がある。TEACAの事務所に教室があるというロケーションメリットも活かして、教室に通う中で、生活に役立つ様々な知識や技術とともに、環境保護(活動)の意義や実践についても自然と学べるという位置づけを、TEACA自身がしっかり認識して臨んでいくことが望ましいと思われる。



●課 題

 これまでの経過を通して、裁縫教室の解決すべき課題、問題点も浮かび上がってきている。それらは主に教室側の課題と生徒側の課題に分類して考えることが出来る。

【教室側の課題】

1.教室のキャパシティー
今年1月から、第2期生に当たる新入生(少女クラス、8名)が入ってきている。冒頭に述べたようにこの第2期生を合わせ、現在裁縫教室の生徒数は合計で20名となっている。
 これに対して現在裁縫教室として使っているTEACA事務所の部屋は、ミシンを入れると収容力10名がギリギリの限界である。教室そのものは午前/午後の2部制を敷いていることから、実際はこの20名全員が一緒に学ぶことはないが、人数が丁度半分半分ということではないため、部屋の外にまでミシンを持ち出して勉強しているというのが現状である(部屋の外ではあるが、事務所の敷地内)。
 今後さらに生徒数が増えた場合、教室のキャパシティーは問題になってくると思われる(当面は部屋の外も使うことで、何とか凌げる)。

2.クラス編成/授業のやりくり
 教室のキャパシティーの問題と相まって、生徒数の増加に対してクラス編成及び授業のやりくりをどうするかも問題となってきている。この問題は、クラスを少女対象クラスと主婦対象クラスの2クラス設けている、TEACA裁縫教室の特殊性にも起因している(通常の裁縫教室は、少女対象のみであるのが一般的)。
 これまではこの2クラスを、午前/午後のローテーションで回していたが、第2期生が入ってきたことにより、第1期生は少女/主婦の別を廃し、混成クラスに組み直した上で、今度は第1期生(混成クラス)と第2期生(少女クラス)を午前/午後のローテーションで切り盛りしている。
 後でも述べるが、少女と主婦とでは授業への出席可能日数が異なり、必然的に技術進度に差異が生じている。従って混成クラスで同じ内容の授業を行うことには無理があるといわざるを得ない。
 さらにこうした事情から、第2期生に関しては主婦クラスの募集が出来ずにいる。TEACAは4月から募集をかけると言っているが、このような状態で果たして教室の運営が上手くいくのか、また裁縫教室の高評価に繋がっている質的、技術的なレベルの高さを維持できるのかは懸念されるところである。この問題を解決するためには、
 (1) 少女/主婦対象という"クラスの持ち方"に対する考えを根本的に見直す
 (2) 無理矢理混成クラスにねじ込む
 (3) 1週間の授業日数を調整し、カリキュラムを再編する
 (4) 教室・教師ともに増室・増員を図る
のいずれかが考えられるが、少なくとも現状は"(2)"の方向で進められている。

3.機材不足/消耗品の補充/調達の難しい道具の確保
 (1)機材不足: 生徒数の増加(現状20名)に伴う機材(ミシン、現状10台)の不足も、今後起きてくるものと思われる。但しこれについては、新規にミシン5台分の予算はつけてあり、当面は凌げる状況。
 (2)消耗品の不足: 教師、生徒への聞き取り調査の結果、ミシン針の消耗(=破損)が激しく、不足しているとの問題提起があった。TEACAは「ミシンの使い方に問題があり(=無理に布を引っ張る)、それが破損を招く原因となっている。補充は出来ない」との見解である。どんな事情にせよ、ミシン針が不足しては授業に支障をきたす以上、補充はすべきと考えるが、ミシンの使い方には細心の注意を払うよう、教師に指導の徹底を依頼する必要がある。
 (3)調達の困難な道具: これも聞き取り調査の結果、手縫い用の細い針が現地では入手困難であることが分かった。これについては日本から供給することも考えたい。

4.自立運営の困難さ
 これは教室立ち上げ前の事業シュミレーションからも分かっていたことであるが、現状裁縫教室の自立運営は困難といえる。教室の数、教師の陣容を現状のままとした場合(=受け入れ可能な生徒数もこれにより限定される)、裁縫教室の運営に必要となる事業費は年間約12万シリングである。一方、現在の生徒が全員授業料を納めたとしても年間2.5万シリングにしかならず、外部資金に頼らなければ、裁縫教室の運営は不可能である。しかも実際の納入実績は約1.5万シリングでしかなく、残りは未納となっている。
 授業料収入で教室を賄おうとすれば生徒数を増やすしかなく(授業料のアップは現実的でない)、そのためには教師の新規雇用や教室の増設が必要となり、さらに運営コストが嵩むという悪循環に陥る恐れがある。
 自らの自立の道も探っていかなければならないTEACAにとって、裁縫教室運営によるコスト増は確かに頭の痛い問題ではある(そのあたりが、ミシン針補充のための支出でさえ、厳しく臨むTEACAの姿勢にも繋がっている)。長期的に見て裁縫教室の自立運営をどのように考えていくのか、またその実現可能性を少しでも高める方策を、これからも現地と継続的に協議していく必要があるだろう。


【生徒側の課題】

1.継続出席の困難さ
 次に、生徒側の課題、問題点を見てみたい。その第一に、少女、主婦の生徒がともに抱える、裁縫教室への継続出席の困難さが挙げられる。
 下表は裁縫教室が立ち上がってから現在までの9カ月間の生徒数の推移である。第2期生はまだ入ってきたばかりなので、ここでは第1期生の生徒数推移に注目したい。教室開始当初11名であった生徒数は、その後12名→15名と増えてきたが、今年2月に12名に減少している。これは途中でドロップアウトが発生したことを意味している。途中で加入してきた生徒もいるので、表面的にはマイナス3名であるが、実質的なドロップアウト数は少女2名、主婦3名の5名である。彼女たちが残っていれば、現在の第1期生の生徒数は17名であったはずで、ドロップアウト率約30%という数字は、決して低いといえるものではない。
 ではなぜドロップアウトが起きたのか。その原因はこれも少女、主婦とでは事情、背景が異なる。
 (1)少女の場合: 彼女たちは、村そして家庭内においてさえ、日々やることもなく過ごしていることへのプレッシャーを受けており、自らもそのことを恥ずかしく思っている。そのためそれがどんなものであれ、何か働き口などの話があった場合、「やりなさい」と言われれば、それを承諾するしかない。それが彼女たちが置かれている立場である。ドロップアウトした少女たちは2人とも授業料を完納しており(=本人たちのやる気の現れといえる)、それにも関わらず教室を途中で辞めざるを得なかったというのが現実である。
 こうした状況を少しでも改善するためには、何よりもまず裁縫教室に通うことへの両親の理解が欠かせない。そして裁縫教室に通い技術を修得することで、自活に繋がる未来を手に入れられるという「結果」を、裁縫教室自体が実績として示せていかなければならないだろう。
 (2)主婦の場合: 家庭の主婦にとってはやはり家事、育児、農作業、家畜の世話など、家庭での仕事との両立の困難さが、ドロップアウトの一番の原因となっている。現在の授業は月曜日から金曜日の5日間行われており、その間毎日、午前か午後を拘束されることになる。多くの仕事をこなさなければならない主婦にとって、授業への継続出席は非常に厳しいものである。主婦の第2期生を募集しても、恐らく同様の結果を招くだろう。TEACAはこのことに対してまだ特段の対策を講じていないが、主婦に関しては授業進捗をたとえ遅らせたとしても、授業日数を減らすなど、カリキュラムの工夫をしなければならないと考えている。


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